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zoom RSS 映画評「コンドル」(1975年)

<<   作成日時 : 2016/07/30 08:51   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1975年アメリカ映画 監督シドニー・ポラック
ネタバレあり

ジェームズ・グラディの小説「コンドルの6日間」をシドニー・ポラックが映画化したサスペンス。

ニューヨークにあるアメリカ文学史協会は、実は、CIAの下部組織で、世界各国の書籍や新聞などの文章を分析して本部に情報を届けるのが仕事。ある秘密に気付いて本部に連絡した暗号名コンドルことジョー・ターナー(ロバート・レッドフォード)が裏口から抜け出し昼食を買い出しに行くのとすれ違いに入って来た三人の男が残っていた6名全員を射殺する。
 戻ってきたターナーは惨状に腰を抜かし、本部に連絡を取ると、部長ウィクスと友人の捜査官サムが保護にやってくるが、何故かウィクスに撃たれる。この騒動でサムが死亡しウィクスは重傷を負う。ターナーは現場から逃げると、通りがかった女性写真家キャシー(フェイ・ダナウェイ)を人質に立てこもって作戦を練り、追いかけて来る殺し屋(マックス・フォン・シドウ)の襲撃をかわしながら、CIA内部に味方になりそうな人物を探す。

というお話で、映画的に一番優れているのは、序盤の全員射殺のシークエンスで、どちらかと言えばムードの良い作品を作る印象のあるポラックとしては実に強烈なタッチで見せている。強烈と言えば、エレベーターでターナーが殺し屋と出くわす心理的サスペンスも秀逸。その続きの、不良黒人に話しかけることで殺し屋の銃口から逃れるサスペンスもなかなか行ける。

全体としては、協会のメンバーや自分を狙わせている黒幕の正体を掴むまでの一連の調査模様が面白く、固定電話しかない時代の電話のスパイものならではの使い方が巧い。

【追われながらの犯人探し】の構図ながら、この構図のお話を得意としたヒッチコック作品と違って、主人公の知らないことは観客も知らない。従って、サスペンスよりミステリーに傾き、時にすっきりしない部分が出て来るが、ネタが具体的で面白く、本格的スパイ映画が多かった70年代の作品群の中でもトップ・クラスの出来栄えと言って良い。不甲斐なくもハイティーンの初回鑑賞時には面白さが解らず、およそ40年ぶりの今回の再鑑賞で大いに評価を上げた次第。

配役陣では、僕のご贔屓マックス・フォン・シドウが好調だが、個人的にはフェイ・ダナウェイが気に入った。こんなストレートな役柄の彼女が珍しいからで、それ故にいつもよりぐっと可愛らしく感じられたのである。

ターナー氏にこの先も艱難が待ち受けているという余韻を漂わせる幕切れのストップ・モーションが、良い味を出していました。

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コンドル
(1975/シドニー・ポラック監督/ロバート・レッドフォード、フェイ・ダナウェイ、クリフ・ロバートソン、マックス・フォン・シドー、ジョン・ハウスマン/118分) ...続きを見る
テアトル十瑠
2016/07/30 10:48
『スコルピオ』@〜国家情報組織の活動〜
 CIA(アメリカ中央情報局=Central Intelligence Agency=)は、アメリカ合衆国大統領の直轄の諜報機関であり、本部はワシントンD.C.郊外に設置され、国家の安全保障を目的にした情報活動のために世界各国に配置された諜報員によって、軍事・外交等における情報収集・分析を実施しています。  基本的な業務範囲には、国家安全保障法に基づき、各情報活動として、各関係部局への助言・調整や政府内部への情報提供業務があります。また、公開情報だけでなく、非公開の情報の収集・分析なども多く、... ...続きを見る
時代の情景
2016/08/02 00:31

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
冒頭の沈黙の中の襲撃、エレベーターでのニアミス。ピックアップしたシーンは同じですね。
観終わると、七人もの(サムを入れると8人)のCIA仲間を殺害するほどの重要機密だったのかと突っ込みたくなりましたが、博士は如何?
十瑠
2016/07/30 11:00
十瑠さん、こんにちは。

ポラック氏には珍しいストレートなサスペンスでしたけれど、きっちり作っていて、さすがだなあと思いました。
 その中でも良かったのが、ピックアップした二つの場面。アクションとなると途端に画面を揺らし始める今の若い監督に見習ってもらいたいですよ。

>殺害するほどの重要機密だったのか
その通りなのですが、スパイ組織は理不尽なところであるという主題であると見做せば、重要度が低ければ低いほどテーマが強調されると考えられなくもないです・・・
 今年の初めに観た邦画「予告犯」で女刑事が「こんな小さなことのために・・・」と絶句する場面を思い出させます。
オカピー
2016/07/30 18:04
自分の都合の悪いことを隠蔽しようとする人間は些細な事でも気になるものでしょうね。

ハラハラドキドキの俊悦な作品でありました。
ねこのひげ
2016/07/31 06:51
ねこのひげさん、こんにちは。

>都合の悪いことを隠蔽
人間の性(さが)なんでしょうね。
それで死ななくてもよい人間が8人も死ぬのですが、人の心の闇とは・・・いやはや。
オカピー
2016/07/31 21:18
>オカピーさん、こんばんは。
「コンドル」は地味な作品ですけれど、秀作ですよね。このころのハリウッド作品は、社会派も娯楽派もリアルであったと思います。この作品も丁寧にプロットを組み立てて実際に起こっても全く不思議のない現実感がありました。この作品を観たのは40年も前、小学6年生のときでしたが、私は、いまだに昼休みに外で弁当を買うときは、帰ったら同僚たちはみんな殺されているかもしれない?などと、思いながらコンビニから職場に戻る事も多いんです(笑)。
出演者たちも華やかなスターでしたけれど、アクターズ・スタジオ以降のリアルな演技で勝負していたように思えます。レッドフォード、ダナウェイ、シドー・・・みんな素晴らしかったです。
ところで、同時期に公開されたドロンの「フリック・ストーリー」も実話を題材にした作品でどちらもそれなりに話題だったと記憶しています。また、同様にCIAを題材にした「スコルピオ」とも比較してしまいますので、古い記事ですがTBします。
では、また。
トム(Tom5k)
URL
2016/08/02 00:30
トムさん、こんにちは。

リアリティが一番良い意味で発揮されていたのがこの頃ではないでしょうか。80年代はともかく、90年代になると、CGを駆使したファンタジーとリアリズム至上主義のような作品に両極化され、僕にとってはどちらも余り美味しくない。どちらも想像力を駆り立てない。

>小学6年生
6年生でこの作品、見たですか。
ませていましたねえ(笑)
僕はもう少し大人でしたが、まだ面白さが解らなかった。ガキだったんですね(笑)

>コンビニから職場に
一種トラウマになっているわけですね(笑)
僕も今咄嗟に思い出せませんが、そういう場面がありますよ。
オカピー
2016/08/02 21:30

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