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zoom RSS 映画評「ブラック・シー」

<<   作成日時 : 2016/07/29 09:03   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2014年イギリス=ロシア合作映画 監督ケヴィン・マクドナルド
ネタバレあり

サルベージ会社を首になって妻子に去られたジュード・ローが、元同僚の話から、ソ連がドイツに送った金塊を積載したUボートが黒海に沈没していると聞き、おんぼろ潜水艦を使って、英国人とロシア人計12名でUボートごと引き上げることにする。

黒海はグルジアとロシアが睨み合っている場所であり、ロシア軍の偵察が頻繁に行われている。これが外的サスペンスの要素である。この外的サスペンスに関しては描写がサルベージ側に限られるので強いサスペンスは醸成できない。従って、映画の眼目は、「黄金」(1948年)にも似た黄金への執着から始まる艦内メンバー間の確執を描くことである。

ローは国や仕事の重要度に関係なく公平に分配すると宣言するが、これが面白くない一部のメンバーが暴力を振るったことから数名を失う惨事となる。これによりメンバーの中から黄金より命が大事であるという者が現れ、邪魔になる者を殺すという事件が起きる。しかも、実はこのプロジェクト自体がかのサルベージ会社の陰謀であることが判明、捲土重来と復讐を期していたローは益々黄金奪取と待ち受ける逮捕の道を逃れることを画策する。
 かくして生き残ったメンバーはローのほか2名。その中には彼がスカウトした18歳の少年ボビー・スコフィールドがいる。彼は離れ離れになった息子への思いをこの少年に重ね、自分の命を犠牲にすることで二人に生命と一部黄金をプレゼントするのである。

終わってみれば、父親の息子への愛情が浮かび上がる構成で、少しジーンとさせるものがあるが、この手の娯楽映画では仲間割れは面白くない。若い人は葛藤や確執を有難がるものの、基本設計をきっちりとし、純粋に外との関係からサスペンスを生み出すべきなのである。勿論、確執が全て悪いということではなく、本作のように英ロの対立構図が最初からはっきりしているようなケースでは無難に観られることが多い。が、個人的にこのレベルでは感心できないというのが実際。

寧ろ僕はケヴィン・マクドナルド監督が例の悪癖、即ち揺れるカメラにより客観描写が主観描写のように見えてしまう悪癖が出ないか注目して観ていたが、カメラは揺れても主観描写には見えず、落ち着いて観ることができたのは収穫。極限状況ドラマとしてしっかり作られている。しかし、新味は足りない。

「黄金の十二人」でした。

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ブラック・シー ★★★
ナチスドイツの潜水艦に眠るといわれる金塊引き揚げに挑む12人の男たちの野望を描く海洋サスペンス。一獲千金を夢見るくせ者ぞろいの男たちが乗り込んだ海底の潜水艦を舞台に、緊迫感あふれるドラマが展開。監督は、『ラストキング・オブ・スコットランド』などのケヴィン・... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2016/07/29 10:36

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こういう素直な冒険ものが少なくなったので楽しみました。
『冒険者』などのような作品が出てこないものですかね。
時代小説家の山本一力さんが初の現代物の短編集で題材にしておられますがなかなか面白かったです。
ねこのひげ
2016/07/31 06:45
ねこのひげさん、こんにちは。

内輪もめが少なくして、外部とのサスペンスが多ければもっと楽しめたかな、と思いますが、ストレートで味の良い冒険映画なんて本当に見当たりませんね。

>時代小説家の山本一力さん
( ..)φメモメモ
オカピー
2016/07/31 21:15

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