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zoom RSS 映画評「あの日の声を探して」

<<   作成日時 : 2016/07/14 09:37   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2014年フランス=ジョージア合作映画 監督ミシェル・アザナウィシウス
ネタバレあり

フレッド・ジンネマン監督「山河遥かなり」(1947年)を土台にしたドラマである。かの作品は映画ファンになりたての頃から知っていて観たい作品の一つだったが、未だに観るチャンスが恵まれていない。その思いすらすっかり忘れていた。こちらの脚本・監督は「アーティスト」が話題を呼んだミシェル・アザナウィシウス。

9歳のチェチェン人少年ハジ(アブドゥル・カリム・マムツィエフ)が侵攻してきたロシア軍の若い兵士に両親と姉を殺されて、乳飲み子の弟を抱えて逃げ出す。弟を別のチェチェン人の家に置いてきた少年は、赤十字が営む児童保護施設に預けられるが、窮屈な感じを覚えて逃げ出し、EU人権委員会の女性委員キャロル(ベレニス・ベジョ)と出会う。少年は口を利かない。
 死んだと思われていた姉ライッサ(ズフラ・ドゥイシュヴィリ)が弟を探すうち保護施設にたどり着くが、所長(アネット・ベニング)はかつて逃げ出した少年の姉と思いもせずに彼女を働かせてみる。
 キャロルと過ごすうち心を開いたハジは話を始め、再び保護施設に向かうことになる。少年の名を聞いた所長は、帰郷の途についたばかりのライッサの弟と気づいて慌てて追いかける。

というメインとなるお話が「山河遥かなり」を基にした部分で、母親の代わりに姉、アメリカのGIの代わりにEU委員という違いはあるが、大体同じような感じらしい。終盤のすれ違いの部分に作為が目立って些か鼻白んでしまう、と言いつつ、例によってひしと姉弟が抱き合う幕切れで涙腺を熱くする僕である。

本作が独自なのは、そのお話に、街角で逮捕された若者コーリャ(マクシム・エメリャノフ)がひどい目にあった後前線に送り出される、という物語が並列に描かれていることである。そして正確に解るのは、当初人を殺してうろたえていたコーリャが面白半分にハジの両親を殺したこと。従って、時系列としてはコーリャの部分が先ということになる。なかなか興味深い構成であるが、それを拾ったカムコーダーで別のロシア人兵士が撮っている、という発端にしたのは匠気が勝ちすぎ、策士策に溺れるという感じがする。

人権意識の高いフランスが作った映画であるから、ロシアが悪くチェチェン人は被害者であるという立場ではあるものの、勿論そういうプロパガンダ的側面は直接の目的ではなく、戦争というものがいかに人を不幸に或いは狂気に陥らせるかということが主題である。その意味ではコーリャが一番の被害者かもしれない。

気分は第二次大戦直後。

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映画・あの日の声を探して
原題 The Search2014年 フランス、グルジア ...続きを見る
読書と映画とガーデニング
2016/07/16 14:58

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
意味深なタイトルでありますね。
前回の作品もそうですが、タイトル製作者が凝りだしましたかね。
ねこのひげ
2016/07/18 17:04
ねこのひげさん、こんにちは。

一時、原題をそのまま横文字で使うのが隆盛しましたが、その流行は収まり、日本語のタイトルが好きな僕は喜んでおります。
その意味で、邦題を余りに批判するのは良くないと思っているのであります。
オカピー
2016/07/18 20:07

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