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zoom RSS 映画評「カンバセーション・・・盗聴・・・」

<<   作成日時 : 2016/07/12 08:50   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1973年アメリカ映画 監督フランシス・フォード・コッポラ
ネタバレあり

「ゴッドファーザー」(1972年)の大ヒットで一躍巨匠扱いされることとなったフランシス・フォード・コッポラ監督の注目作である。大学時代TVで観て以来の鑑賞で、原語完全版は初めて。

盗聴屋ジーン・ハックマンが、ある企業の専務ロバート・デュヴォールの依頼で、若い細君シンディ・ウィリアムズと浮気相手らしいフレデリック・フォレストの会話を盗聴する。
 アルフレッド・ヒッチコックの映画のように俯瞰から入る導入部が抜群の感覚で、一瞬ライフルかと思ってしまう望遠鏡型のマイクや3台のオープンリール・デッキといった機材が紹介される。特にあのでかいデッキは格好良い。

業界最高の盗聴屋と自負するハックマンは盗聴した内容には興味はないのだが、恋人たちによる「彼は我々を殺すかもしれない」という言葉が引っ掛かり、繰り返す聞くうちに強迫観念を覚えていく。二人が密会の約束をしたホテルの部屋の隣に陣取り、様子を盗聴すると、やはりテープを証拠に乗り込んだ夫が妻を責めていて、彼は血がトイレから吹き出る幻想を見るほどのノイローゼに陥ってしまう。
 ところが、直後に彼が知る実相はまるで逆で、死んだのは依頼者。或いはただの浮気調査だったのかもしれないが、ノイローゼを進行させた彼は今度は自分が盗聴されているという被害妄想に苦しむ。

依頼者の死の真相や逆盗聴の真相は両義的であるが、部屋を半壊させるほどばらしても何も出てこないところを見ると、引き金となった専務秘書ハリスン・フォードの電話自体が幻想(幻聴)なのであろう。だから、「さっさと引っ越せばよいのに」という指摘は的外れである。
 彼が盗聴に対して反道徳という意識を覚えていくことを強調若しくは裏打ちするのは、出品会で同業者アレン・ガーフィールドが自分たちの会話を盗み録りするのを咎める場面で、全体の構成を振り返った時、必要以上と思える程じっくり見せるあのシークエンスはその為に置かれたものと理解できる仕組み。

テーマは、現代科学文明は人間の神経を引き裂く、といったところか。「ゴッドファーザー」とは違うセミ・ドキュメンタリー・タッチで、アメリカン・ニューシネマ時代末期の当時こういう生々しい感覚は珍しくなかったものの、本作にはどこか欧州映画のような香りも漂うのである。僕は、盗聴模様を精細に見せて興味を覚えさせる内容以上にその画面を買う。

プライバシーの権利は、他の権利が上回る場合、多少阻害されても仕方がないと思う。それに気を遣うあまり助けられる命が放置されてしまった例もある。権力による一般人の盗聴は論外ですがね。

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カンヴァセーション・盗聴
「盗聴(a bug)」のメカ自体は 今なら超進歩してるんでしょうねえ。 ...続きを見る
映画と暮らす、日々に暮らす。
2016/07/12 16:29

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
当方久しぶりに“お立ち寄り”できる作品ご覧に。(^^)

コッポラ氏、いい仕事してましたよね。
今じゃ、でっぷりと貫禄つけたハックマンでさえ
上り坂真っ最中でしたもん、本作での彼には
殺気まで感じられたような。細部忘れてますが、
あの雰囲気と硬質さ、好きでした。
vivajiji
2016/07/12 16:37
vivajijiさん、コメントは本当に久しぶりですね^^/

コッポラは本来は「ゴッドファーザー」のような作品を作るタイプではなく、変わった味の小品が本来のフィールドではないかと勝手に思っていますが、本作は正にフィールドのほうで、小品でもない代わりにメジャー映画らしくもない。
本作がコッポラ一番の作品という人も結構いますよね。

ハックマンは「フレンチ・コネクション」でスターダムに上り、「ポセイドン・アドベンチャー」「スケアクロウ」そして本作と秀作に立て続けに出て、この頃が黄金期。
その後は安定した仕事ぶり。ニューシネマ期に出現した名優中の名優ですね。
オカピー
2016/07/12 20:46
これは新宿の劇場で観たかな?
コッポラ監督作品とは気がつかないで観ておりましたが、実によい作品でありましたよ。
ねこのひげ
2016/07/18 16:57
ねこのひげさん、こんにちは。

この映画が公開された時はまだ群馬にいまして、東京時代も名画座のラインアップを飾った記憶がないのですが、あるいはTVで先に観たので、観なかったのかな。

「ゴッドファーザー」は万人向けによく出来た作品ですけど、本作の小品ぶりは映画作家の作品という気がしますね。
オカピー
2016/07/18 20:01

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