プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「S−最後の警官− 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE」

<<   作成日時 : 2016/07/10 09:34   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 2

☆☆★(5点/10点満点中)
2015年日本映画 監督・平野俊一
ネタバレあり

TBS系TVシリーズの劇場版だそうである。原作はコミック。勿論どちらも知らない。

SAT(警視庁特殊部隊)とSIT(警視庁特殊犯捜査係)という実在する官憲組織の後に組成されたことになっている、NPS(警察庁特殊急襲捜査班)なる架空の組織の活躍を描くポリティカル・サスペンスで、「天空の蜂」で自衛隊員として少しだけ出てきた向井理がNPS隊員として活躍する。題名を含めて「海猿」シリーズに近いと言えば当たらずと雖も遠からず。

このNPSの特徴が実は重要なテーマである。NPSは、SATとSITと特徴を併せ、かつ、制圧しない即ち犯人を生かして拘束するのをポリシーとしている。虫も殺せない博愛主義者だから若い時なら好感を覚える設定かもしれないが、本作鑑賞当日第一報が入ったバングラデッシュの事件を見ても人質はともかく犯人を殺さないというのは、余りに非現実的な設定としか思えず最初から興醒めるものあり。

とにかく、引退した老政治家なのであろう、NPSのようなハト派的な官憲組織の存在を面白く思わない近藤正臣扮するタカ派の老人が、それに共鳴するテロリストのオダギリジョーを使ってプルトニウム(MOX燃料)を積んだタンカーを乗っ取らせ、SATとSITとを出陣させ犯人を殺して事件を平定させることでNPSを廃止に追い込もうとするが、この三組が(睨み合った末に)協力することで青写真と違う展開になり、絶望のうちに死んでしまう。
 オダギリジョーは暴走し、脅迫に応じてのこのこやって来た政府首脳を艦内に軟禁して人質とし、プルトニウムを噴出させて本当に関東を壊滅させようとする。それを海上保安庁特殊警備隊員を加えた官憲たちが阻止しようと乗り込んでくる。

日本のこの手のサスペンス特にTVドラマの映画版はヒューマニズムが重視され、どうしても組織員の家族や恋人たちの関係が絡んでくるので、ハードボイルドな作風に徹しきれず、展開が鈍重になりがちである。
 本作もSATだかSITだかの隊長の子供がNPSの狙撃手・新垣結衣に撃たれて重体になる事件を入れて、現場と病院を往復することになる。向井理の事実上の恋人・吹石一恵はその病院の看護婦につきそれ以上現場と関係のない場所が出てこないのは良く、病院の描写も最小限だから贅肉感は少ない。

しかし、子供を心配してまともな活動ができないようでは日本の将来が不安になるという実際的なことを置いても、タンカーをハイジャックしてテロを起こすのに子供人質作戦は不必要なので、展開をモタモタさせるこの類のエピソードは加えて貰いたくないのである。それをやってサスペンスとともにヒューマン・ドラマとして作るのが日本映画なのだが。

映画はタカ派的な防衛術の否定こそしていないが、NPSが任務をきちんと果たすことでやはりハト派的な防衛がベターであるという日本国の在り方を主張する。これに関してどちらが正しいとは僕には言い切れない。歴史のダイナミズムに従うしかないのだと思う。

これから参院選の投票しに行ってきます。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(3件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
S−最後の警官−奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE★★★★
小森陽一の漫画を基に、向井理と綾野剛が共演を果たしたポリスアクションドラマの劇場版。今回は海上を舞台に、日本の治安維持のために尽力するSAT(警視庁特殊部隊)、SIT(警視庁特殊犯捜査係)、NPS(警察庁特殊急襲捜査班)の奮闘を描く。向井や綾野をはじめ、新垣結衣、... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2016/07/10 09:57
『S 最後の警官 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』
□作品オフィシャルサイト 「S 最後の警官 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE」□監督 平野俊一□脚本 古家和尚□原作 小森陽一、藤堂 裕□キャスト 向井 理、綾野 剛、新垣結衣、大森南朋、平山浩行、吹石一恵       オダギリジョー、青木崇高、高嶋政宏■鑑賞日 8月29日(土)■劇場  TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★★★(5★満点、☆は0.5)<感想>  NPSにバスジャック事件の現場への出動要請が入り、神御蔵一號(向井 理)ほか、 NPSメンバーが現場... ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2016/07/10 14:50
S−最後の警官−奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE
安倍首相似の辰巳琢郎首相が意外に一番の見どころ? 公式サイト。小森陽一原作、平野俊一監督。向井理、綾野剛、新垣結衣、大森南朋、オダギリジョー、辰巳琢郎、青木崇高、高嶋政 ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2016/07/11 14:00

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ねこのひげも午前中に行ってきましたよ。
現実を見ると、人質もくそもないですからね。
『マッドマックス』みたいに、冷酷に描くことが出来ないのかと思いますが日本人には無理なのかな?
ねこのひげ
2016/07/10 16:43
ねこのひげさん、こんにちは。

有言実行、この10分後に出かけました。
候補者の下の名前を間違えたことに後で気づきましたが、同じ苗字の方がほかにいないので、無効にならないはず^^;
午前中の投票率は少し悪いようですが、期日前投票者が200万人くらい増えていますので、前回を大きくマイナスすることはないと予想。

>日本人には無理なのかな?
オリンピックで緊張する日本人がだいぶ減ってきたように一時思いましたが、実際にはそうではないようで、柔道など重圧に負けるせいか、世界選手権よりメダル数が大概少ないですよね。
それと同じように、ヒューマニズムで感動させようという感覚はなくならないみたいです。ましてTVドラマの映画版ではなおさら・・・
オカピー
2016/07/10 17:49

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「S−最後の警官− 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる