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zoom RSS 映画評「死への逃避行」

<<   作成日時 : 2016/06/23 09:48   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
1983年フランス映画 監督クロード・ミレール
ネタバレあり

観たような記憶もあるがはっきりしなかった。どちらにしても、若きイザベル・アジャーニが出るなら観ておいて損はないだろうと思って見始め、全然思い起こすところがないので「初見だったか」と見終えて、IMDbに投票しようと訪れてみたら採点済み。何てこった。記憶力の衰えを感じる。

ジュヌヴィエーヴ・パージェが所長を務める探偵事務所の探偵ミシェル・セローが、実業家の依頼でその息子が付き合っている娘イザベルを調査し始める。彼女は彼の眼前で御曹司を湖に沈めたのを手始めに、交際する金持ち連中を次々と殺害する殺人鬼と判明、彼女に亡き娘の面影を重ねた探偵は時に殺人の後始末までするが、彼の何気ない手引きも空しく、行き詰った彼女は高層駐車場から車ごと飛び降りて自殺する。

以前観た時の鑑賞メモには「娘が何故殺人を続けるのか、いかに彼女と娘を重ねているとは言え、黙って見ている探偵の心境も全く分からないので、最初盛り上がったミステリー的興味も途中で半減。理不尽なドラマ展開が狙いとも思えない」と、左脳人間らしく論理性の面からかなり厳しく評価している。
 その評価は根底において間違っていないと思うが、僕の左脳派ぶりが少し弱まったか、あるいは昨今の映画のふがいなさのせいか、後半においても、探偵の独白と娘の独白が物理的に全く別のところにいながらリンクしていく辺りの幻想性が、娘が9歳で死んだ1962年に生まれたヒロインが死んだ娘の代わりに話しているような印象を伴い、なかなか面白く感じられる。

死の前に撮られた学校の集合写真から亡くなる4年前に別れた妻マーシャ・メリルと出て行ったまま再会することのなかった娘を発見するゲームを元妻と楽しんでいるかのような探偵は、イザベルを失った後、その無念により自分を写真の中に追い込んでいくのである。つまり、死んだということだろうから、“故人による”回顧録みたいなお話とも考えられ、幻想映画と位置付けることもできそうだ。

視覚面ではイザベルの七変化が大いなるお楽しみ。

監督は先年亡くなったクロード・ミレールで、のんびりした進行ぶりが怖いお話の中にユーモアを醸成している。いかにもフランス流で、昔の印象よりはずっと興味深く観たが、★一つのアップに留めた。
 原作は「シャレード」(1963年)の原案、「HELP!4人はアイドル」(1965年)の脚本を担当したこともあるミステリー作家マーク・ベームの小説で、1999年に「氷の接吻」として再映画化されている。

この素材なら彼の師匠的存在のフランソワ・トリュフォーに映画化してもらいたかったなあ。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
フランソ・トリュフォー・・・・どんな仕上がりになったでしょうね。
ねこのひげ
2016/06/26 18:38
ねこのひげさん、こんにちは。

トリュフォーはこの年に「日曜日が待ち遠しい」という素敵なミステリーを作ってその後亡くなりました。
彼のミステリー系は何故か評判が悪かったのですが、僕は秀作・傑作揃いと思っているのです。もっと洒落っ気が出て、ヒッチコックへのオマージュがあり、楽しい作品になったでしょう^^
オカピー
2016/06/26 21:19

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