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zoom RSS 映画評「ベニシアさんの四季の庭」

<<   作成日時 : 2016/06/22 08:58   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2013年日本映画 監督・菅原和彦
ネタバレあり

僕は映画、(おバカ系を除く)クイズ番組、スポーツ番組以外殆どTVを観ないわけだが、このベニシア・スタンリー=スミスさんという女性が出ていたNHKの番組は偶然一回観たことがあり、知っていた。その番組と関連するドキュメンタリー。

彼女は、上方から眺めるとヴァネッサ・レッドグレーヴに似ているところがあるれっきとした英国貴族で、ヒッピー・ブームの頃その流れに乗って世界を旅し、インドから日本へやって来、最初の日本人男性と結婚するのだが、結局別れて9歳年下の現在の夫君である写真家・梶山正氏と結婚、本作のテーマである京都・大原の古民家に引っ越してくる。

映画は、前半その庭でハーブ作りに勤しむ彼女の姿を中心にのんびりと推移するが、後半そのイメージを覆す逸話が紹介される。
 一つは、最初の夫との間に生まれた長女・蜂須ジュリーさんの統合失調症による悩み。孫の浄君を産んだ後から発症したらしく、現在は浄君の支えがあってかなり改善されているらしい。彼女の作るハーブ茶の効果もあるかもしれない。
 もう一つは、夫君のフランス人女性との浮気問題で、結局仕事中に考えることがあって戻ってくる。加えて、頭蓋骨骨折で生死を彷徨う事件が起こり、「判子がなければ手術ができない」という医師の考えをひっくり返した行動を起こした彼女に対して、旧悪により捨てられてもしかたがないと思っていた夫君は頭が上がらないようである。

こうした彼女の伝記が、様々なハーブの植えられた庭の四季による移り変わりのうちに綴られ、40年以上も日本に暮らしながら会話は問題なくても日本の字が読めないなど、どこか呑気で小事に拘泥しない彼女の性格と人生観が浮かび上がってくる様子になかなかの魅力がある。夫君との騒動が上記のように終わったのもその性格があってのことだろうと思わせる。一生懸命すぎないのが良い。

彼女とかかわっている京都の人々も実に良い。

こうした人々を見るうちに、日本や日本人の良さを強調する様々な書物の何と馬鹿らしいことか、と思えてくる。通常の日本人なら現在の日本や日本人の良さなど生活のうちに感じているはずで、今ことさら強調する意味合いを僕は全く感じない。彼らは寧ろ日本や日本人に自信がないのである。外国人が日本を悪くしているというのも、全くないとは言わないが、事実を針小棒大に言っているように感じる。
 伝統でも何でもないことを伝統と言ったり(多数あるが、一々挙げまい)、明治以前の日本に関する歴史修正主義も目立つ。例えば、近年研究によって士農工商という身分制度が存在しなかったのはほぼ確かになったが、それは武士と武士以外の人々の間に差別や格差がなかったことの証明にならない。それを言ったら歴史の修正である。ここまで言って日本や日本人を特別扱いにするのは不自然極まりない。そんなことをしなくてもドナルド・キーン氏やベニシアさんのように日本や日本人を愛し、定着する外国人はかなりいる。

実は保守的な僕だから別に外国人が日本で増えることを望んでいるわけではないが、そんなくだらない本を読むより本作を見るほうが自然に日本への愛情が湧く。

現在の日本人が殆ど穿かないモンペを穿いているのが面白いベニシアさんでした。

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読書と映画とガーデニング
2016/06/26 09:24

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
日本は凄いですね〜と連発されると鼻じらんでしまいますね。
実際彼女だけでなく、BONNSAIも世界的になってきて外人でのめり込んでいる人が増えてきているようです。
ねこのひげ
2016/06/26 18:42
ねこのひげさん、こんにちは。

江戸時代の良き習慣を取り上げた本もウソ満載で、江戸時代の風俗をよく調べればありえないこともかなりあるみたいです。そこまで日本人を持ち上げたいかな。

まあ、コミックとアニメの人気はすごいし、ギャルのファッションなんかも日本発が結構多いそうですね。
オカピー
2016/06/26 21:16

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