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zoom RSS 映画評「ぼくたちの家族」

<<   作成日時 : 2016/06/21 09:02   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2014年日本映画 監督・石井裕也
ネタバレあり

昨日上げた「アリスのままで」に続いてまた50代女性の若年性アルツハイマーかと思ったら、脳腫瘍でした・・・というのがお話の始まり。

その腫瘍を患うのが東京郊外に住む主婦・原田美枝子で、脱サラしたものの成功しているとは言えない夫・長塚京三はその余命が一週間内外と知って気が動転してしまう。
 そこで頼られるのが、かつて引きこもった経験のある長男・妻夫木聡。家計が火の車であることは薄々知っている長男は、入院費捻出のために色々と調べていくうちに両親夫々の少なからぬ借金を確認、妊娠三か月の妻・黒川芽以に頭が上がらない為に袋小路に追い込まれる。すべてを正面から受け止めてしまう彼には、ノンシャランな次男・池松壮亮が実は羨ましい。
 しかし、病院側が治療の見込みのない母親を体よく追い出そうとしていることに気づき、抗うことを決意、弟と手分けして新たな見立てをする病院を探すうち、空いているベッドのない病院の医師・鶴見慎吾から脳外科医・板谷由夏を紹介され、悪性ではあるが治療の余地のあるリンパ腫であることと告げられる。

早見和真の同名小説を石井裕也が映画化した難病ホーム・ドラマである。
 テーマは明確で、心の離れていた家族四人が、母親の難病発覚により家庭の問題をはっきりと示されたことから、却って絆を深めていく様子を描く。絆が深まって行くだけでなく、家族全員が新しい人生を切り開いていく力まで湧いてくる、という終幕によりすこぶる後味の良さを覚えさせる。

逆境が各々の隠れていた素性を明らかにしていくというところが面白く、権威的に見えた父親がみっともないばかりにおろおろとし、恐妻家の長男は細君に気を遣いながらもやがて男気を発揮していき、楽天的に見えた次男がそんな長男をその楽天さで長男をバックアップした後実は母親の手術に立ち会えない弱気を見せたり、等々と人間観察的見地から楽しめる作品になっている。

また、母親が脳の病気の為に時に人物が識別できず(本人の前で)本音を吐いてしまう部分がユーモラスで、この辺りは仮に原作由来であったとしても、石井監督らしさが大いに発揮されている。台頭した頃個人的に感じた力味みたいな印象が殆どなく大変素直に見ることができるのも良い。

“ぼくたち”は長男夫婦のことかもしれないが、ぼくたち=家族という同格関係と思っても問題ない。日本語の「の」は同格(〜という)を示すことも多い。

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ぼくたちの家族〜吉祥寺に住めなかった主婦の物語
バブルに翻弄された夫婦とポストバブル夫婦 公式サイト。早見和真原作、石井裕也監督。原田美枝子、妻夫木聡、池松壮亮、長塚京三、黒川芽以、ユースケ・サンタマリア、鶴見辰吾、 ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2016/06/21 10:12
ぼくたちの家族 ★★★
映画化もされた「ひゃくはち」の作家・早見和真の小説を、『舟を編む』などの石井裕也監督が映画化した人間ドラマ。母親の突然の病気をきっかけに、それまでバラバラだった家族に隠されていたさまざまな問題が噴出し、その後関係を見つめ直し家族が再生していくさまを描く。... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2016/06/21 13:06
『ぼくたちの家族』
□作品オフィシャルサイト 「ぼくたちの家族」□監督・脚本 石井裕也□原作 早見和真□キャスト 妻夫木聡、原田美枝子、池松壮亮、長塚京三、黒川芽以 ■鑑賞日 5月25日(日)■劇場 109CINEMAS川崎■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5) <感想> ... ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2016/06/21 19:17
ぼくたちの家族
製作年度 2013年 上映時間 117分 原作 早見和真 脚本:監督 石井裕也 出演 妻夫木聡/原田美枝子/池松壮亮/長塚京三/黒川芽以/ユースケ・サンタマリア/板谷由夏/鶴見辰吾 ...続きを見る
to Heart
2016/06/21 22:24
世界の中心は母である〜『ぼくたちの家族』
 東京郊外の住宅地。物忘れが酷くなった若菜家の母(原田美枝子)が、脳腫瘍 で一週間の余命宣告を受ける。動揺する父(長塚京三)に対し、身重の妻を持つ 長男・浩介(妻夫木聡)と大学生の次男・俊平(池松壮亮)は、母を救うべく奔走 するのだったが・・・。 ...続きを見る
真紅のthinkingdays
2016/06/23 12:52
映画・ぼくたちの家族
2014年 日本 ...続きを見る
読書と映画とガーデニング
2016/06/25 14:34

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
うちのオフクロも大腸がんの手術をしたら、痴呆の症状が改善されたときは驚きましたね。
その後、年齢ととも痴呆は進行していきましたけどね。
ねこのひげ
2016/06/26 18:46
ねこのひげさん、こんにちは。

そういうことはあるようですね。
内臓と脳とは関係あるとか聞きますし。

「アリスのままで」のヒロインが「ガンのほうが良かった」と言うように、認知症は嫌な病気ですね。
わが母はボケるどころか、どんどん頭がクリアになっていく感がありましたよ。僕より記憶が良かったくらい。
オカピー
2016/06/26 21:11

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