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zoom RSS 映画評「夏をゆく人々」

<<   作成日時 : 2016/05/31 09:51   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2014年イタリア=スイス=ドイツ合作映画 監督アリーチェ・ロルヴァケル
ネタバレあり

2014年度カンヌ映画祭でグランプリを獲ったイタリア映画である。
 ご存知の方も多いであろうが、1990年以降パルム・ドールが最高賞になったのでグランプリは二番目の賞でございますので、一応注意の程をば。

トスカナ地方のある夏、ドイツ人の父(サム・ルーウィック)とイタリア人の母(アルバ・ロルヴァケル)の間に生まれた長女ジェルソミーナ(マリア・アレクサンドラ・ルング)は、父親の指導の下、家業の蜂蜜製造に奮闘しているが、法律の要請によりシステムを改変しないといけなくなり費用が掛かると知らされる。父親は祖国から更生プログラムとして非行少年(ルイス・フイルカ)を受け入れて報奨金を狙う。
 ジェルソミーナはある時ローカルの商売を紹介するTV番組“ふしぎの国”の番組宣伝撮影現場に遭遇、そのコンテストに優勝すると少なからぬ賞金が貰えると知り、父権主義の父親が強硬に反対するコンテストに勝手に申し込んでしまう。
 結果的に優勝はできず、その際に少年が行方不明になる事件も起きるなど色々とゴタゴタするが、最終的に一家は一時(いっとき)の儚い平穏を取り戻す。

ひと夏の少女の成長を描く、若手女性監督アリーチェ・ロルヴァケルの半自伝的内容で、全体としての印象はネオ・レアリスモの伝統を感じさせる作品であるということ。特に1970年代から活躍しているタヴィアーニ兄弟の作品などを思い起こさせるものがあるが、ヒロインの名前にフェデリコ・フェリーニ監督「」(1954年)と同じジェルソミーナを用いていることからイタリア映画界の偉大なる先輩フェリーニに対するオマージュも含まれているようである。但し、TV番組が凝らした古代王国エトルリアの趣向に「サテリコン」(1969年)の匂いを少し感じる(らくだもフェリーニ的だろうか)くらいで、パオロ・ソレンティーノ監督「グレート・ビューティー/追憶のローマ」のようにストレートにフェリーニを思わせる部分は多くない。

日本やアメリカのメジャー作品のようにシークエンスの繋ぎが極めて解りやすいということはなく、それなりに頭を使わないといけないにしても、カンヌ好みの作品としては決して難解ではなく平明な部類に属する。
 一番頭をひねらせるのは幕切れである。家の前に敷かれたシーツの上に一家そろって雑魚寝した様子を捉えたカメラが右にパンしてまた元に戻ると、そこに一家はいない。そしてさらに映される家にも誰もいないようである。
 僕の想像であるが、カメラが戻った後は現在なのである。彼女は蜂蜜製造業を継がずに映画監督になった。そこには現在30歳を過ぎた(1981年生まれ)アリーチェ即ちジェルソミーナやその家族はいない。監督ならではのノスタルジーの表現なのであろう。

イタリア映画人にとってフェリーニは日本映画人における小津安二郎のような存在なのだろうな。知らないうちに影響を受けている。

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夏をゆく人々 ★★★
2014年のカンヌ国際映画祭でグランプリに輝いたドラマ。イタリアの人里離れた土地で養蜂業を営む一家の昔ながらの暮らしぶりと、徐々に訪れる変化の中で12歳になる4姉妹の長女の大人への成長を丁寧な筆致で描く。監督は、これが長編2作目のイタリアの新鋭アリーチェ・ロ... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2016/05/31 15:37

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
まあ、日本人の映画作家も大なり小なり小津の影響を受けておりますからイタリアの映画人でフェリーニの影響を受けてない人は居らんでしょうな。
ねこのひげ
2016/06/06 11:32
ねこのひげさん、こんにちは。

僕はそう思うデス^^
アンチも一種の影響ですしね。
オカピー
2016/06/06 20:09

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