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zoom RSS 映画評「ターナー、光に愛を求めて」

<<   作成日時 : 2016/05/24 09:36   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2014年イギリス映画 監督マイク・リー
ネタバレあり

1970年代買ってもらいずっと愛用している「ジャポニカ百科事典」に≪世界美術名宝辞典≫という巻があり、中高時代よく眺めていた。どちらかと言えば風景画が好きで、よって本作の主人公たる英国の画家ジョゼフ・マラード・ウィリアム・ターナーも一応は知っている。
 本作は全く内容を知らずに見たが、邦題からかの画家の話と予想、正にその通りだったのでニヤッとした。

27歳でロイヤル・アカデミー正会員となった成功者につき、画家としてはゴッホのような波乱万丈な人生でなく、ドラマティックなお話は期待できない。まして監督が人生の滋味を描いてきたマイク・リーではなおさら。僕には、現代ものを作ってきた彼がどう歴史ものを作るかという興味が先に立つ。

前述したように、ターナーは画家として成功者である反面、風采に問題があるためか社会の中では孤独をかこつ人だったようで、映画は彼が二人の女性によりその孤独を慰める様子に重心を置かれ構成されている。

19世紀半ば、かなり良い年になっても助手を務めてきた父親(ポール・ジェッソン)が物故した後、彼はチェルシーで泊まった宿の女将ミセス・ブース(マリオン・ベイリー)が好きになり、結局18年の“夫婦関係”の後彼女に看取られて死ぬ。
 ロンドンの自宅には彼の小間使ハンナ・ダンビー(ドロシー・アトキンスン)がただ一人残される。彼の最初の愛人でその間に二人の娘を設けた未亡人ミセス・ダンビー(ルス・シーン)と同じ苗字ながら、映画を見る限り姻戚関係はなさそう。画家に仄かな思慕を寄せていたように思え、エミール・ゾラの小説にでも出てきそうな孤独な老女の漂わせる哀れさが案外に後を引く。

マイク・リーは現代劇同様に点出を積み重ねる手法を取り、流れとうねりを持つような作劇をしていないので、とても万人受けはしそうもないが、総合的には幸福と言える人生を送ったのではないかと思えるターナーの生涯に人生なるものの機微が浮かび上がり、なかなかの味わいを残す。

大作家サッカレー、高名な美術評論家ジョン・ラスキン(この時代はまだ30代で新進)、ヴィクトリア女王の彼への評価を取り上げ、また、船に縛られて画想を練ったり、高額の申し込みを一蹴して国にほぼ全作品を残したという有名なエピソードがきちんと盛り込まれ、恐らく英国人にあっては彼の後半生を満遍なく描いたという印象を持たれる方が多いのではないだろうか。

一番気に入ったのは、ターナーの初期画風に通じそうな見事な構図の美しい風景のショットの数々。ティモシー・スポールも好演。

日本でも「FOUJITA」という藤田嗣治の伝記映画が作られましたよね。本年末か来年初めくらいに見られると良いなあ。

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ターナー、光に愛を求めて★★★
18世紀末から19世紀にかけて活躍したイギリスの風景画家ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの謎に満ちた人生に迫る伝記ドラマ。『秘密と嘘』『ヴェラ・ドレイク』などの巨匠マイク・リー監督が構想に10年を費やし、愛と光を求め旅を愛した天才画家の創作への情熱や... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2016/05/24 15:03

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ねこのひげもターナーの風景がは好きであります。
『FUJITA』は、よい映画でありましたよ。
レオナルド藤田のあのおかっぱ頭とメガネとちょび髭は好きになれませんがね。
ねこのひげ
2016/05/29 18:44
ねこのひげさん、こんにちは。

おーっ、ご覧になっていますか!
独特の外見ですよね、彼は。
オカピー
2016/05/29 20:17

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