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zoom RSS 映画評「誘拐の掟」

<<   作成日時 : 2016/05/22 09:45   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督スコット・フランク
ネタバレあり

ローレンス・ブロックのミステリー小説「獣たちの墓」をなかなか堅実な脚本家たるスコット・フランクが脚色して自ら映像に移したハードボイルド映画の佳作だが、世評は日米共に伸びず。かくも映画的な作品がこの評価では、映画芸術的な角度から作品を見る映画ファンが減ったということなのだろう。そんな状態だから、映画的感覚の全くない作品が跋扈している邦画のほうに多少はましであろう洋画より客が入るのだ。

リーアム・ニースン主演で「誘拐」が付く邦題であれば「96時間」の焼き直しみたいなものか、と高をくくって見始めたが、プロローグのショットから大いにいける。カメラが優秀である。

1990年代、元警官で現在無免許の私立探偵をしているニースン(役名マット・スカダー)は、妻を誘拐されて殺された男ダン・スティーヴンズに頼まれて、犯人を探し当てることになる。彼は依頼者が麻薬ディーラーと察知し、その前の同種の犯行から墓守に辿り着き、その線から麻薬捜査局(DEA)が何らかの形で絡んでいることと掴む。その間にコンピューター音痴の探偵は不良黒人少年アストロを助手のような存在として便利に使ううち、またまた類似の犯行が起きる。
 今度はロシア系麻薬組織のお偉方で、誘拐された少女もまだ生きている。さて、スティーヴンズの兄弟を含めた被害者グループは、いかに犯人側と交渉・解決していくのか。

というお話は、最近アメリカ映画でタケノコのように作られている誘拐映画群にあってそれほど目新しいとは言えないかもしれないが、北欧ミステリーのような冷ややかにしてウェットなハードボイルド・ムードが、アメリカ的なドライなハードボイルド映画とは一線を画すものがあり、注目に値する。

同じような引退した元官憲という設定であっても超人的に強いわけではなく、元アル中のやさぐれた風情の中に人情味を内包した主人公の性格造形は、むしろ「96時間」より本来のニースンらしい精神性が味わえて僕にはぐっと好印象である。
 主人公は、9年ほど前の事件で酔った状態で強盗犯を追って犯人3人を仕留めたものの流れ弾で少女を一人を殺傷してしまうという事件を起こしている。為に彼は禁酒をし、キリスト教的ルールを守ろうと努める。最後彼が対峙する事件の被害者が少女であるのは、事件解決こそが彼の贖罪であることを暗示する映画的レトリックであり、お話の収斂の仕方としてなかなか鮮やかなものあり。

犯人の一人が被害者キャリーを脅す時に口ずさんでいた歌は、ホリーズの「キャリー・アン」。

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ノルウェー暮らし・イン・原宿
2016/05/22 11:47
誘拐の掟 ★★★★
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パピとママ映画のblog
2016/05/22 14:55
『誘拐の掟』
□作品オフィシャルサイト 「誘拐の掟」 □監督・脚本 スコット・フランク□キャスト リーアム・ニーソン、ダン・スティーブンス、デビッド・ハーバー、       ボイド・ホルブルック、ブライアン・&ldquo;アストロ&rdquo;・ブラッドリー■鑑賞日 6月1日(月... ...続きを見る
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2016/05/22 16:49

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ねこのひげはマッド・スカダーというだけで大喜びでありますがね。
流れ弾で少女を殺したためにアル中になり、探偵家業を始めたが、いつの間にかまた酒に溺れてしまうという日々を送っている男。
リーアム・ニースンに似合った役です。
『96時間』が当たったばかりにアクション俳優に見られてますけどね。
USを見習っていると、バカばかりが増えていく気がします。
ねこのひげ
2016/05/22 11:13
ねこのひげさん、こんにちは。

>マッド・スカダー
これもまた一作くらいは読まないといけないようですね(笑)
図書館にいっぱい蔵書がありました。

>USを見習っていると
本当に。
オカピー
2016/05/22 21:08

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