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zoom RSS 映画評「インサイド・ヘッド」

<<   作成日時 : 2016/05/16 09:53   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2015年アメリカ映画 監督ピート・ドクター
ネタバレあり

欧米には抽象概念を擬人化する伝統がある。印象深いところで古代ローマ時代の「哲学の慰め」や中世イングランドの「農夫ピアズの幻想」など。前者を読む前は哲学することで慰めを見出すのが主題かと思っていたら、幽閉されていた作者を擬人化された“哲学”が慰めるので、びっくりした。

本作は、一週間ほど前に最初の20分だけ見た邦画「脳内ポイズンベリー」にかなり似ているものの、突発的でなくそうした欧米の伝統が着想のベースにあるのではないかと想像される。

天真爛漫だった11歳の少女ライリー(声:ケイトリン・ディアス)が生まれ育ったミネソタからサンフランシスコへ引越しした途端悲しみに沈み、家出を考えるようになる。
 その時、彼女の脳内の司令塔では、ヨロコビ(声:エイミー・ポーラー)、カナシミ(声:フィリス・スミス)、イカリ(声:ルイス・ブラック)、ムカムカ(声:ミンディ・カリング)、ビビリ(ビル・ヘイダー)がそれぞれに奮闘しているのだが、ヨロコビの押しの強さがカナシミを悲しませたことからトラブルが発生、二人とも司令塔から排出されてしまって司令塔は収拾がつかなくなる。
 それがライリーの外見上の行動となって表れる、というわけ。

最終的には、ヨロコビがカナシミの存在価値を知るのだが、これはライリーの精神的成長を示すものであり、彼女の混乱の背景にあったのが実は思春期の芽生えであったということも判ってくる仕組み。

アニメだから子供向けという理解は早計である。その先入観こそ、日本人に、本作が、哲学的・心理学的に本作を理解しようとしたアメリカ人ほど受けなかった原因であろう(相対的には高い評価と言えるが)。

「ディズニーは日本人に太刀打ちできない作品を作る」「ディズニーとは思えない解りにくさでつまらない」。この二つの対照的な意見は共に過ちではないだろうか。ピクサーはディズニーに併合され、その影響が相互にあることが伺えるとはいえ、その名の下に制作される作品は良い場合でも悪い場合でも依然ディズニー本体とは分離されている。その意味において、本作はあくまでも(従来通り)ディズニー配給のピクサー作品なのであって、ディズニーの枠でくくるのは間違いと思うのである。

「脳内ポイズンベリー」もその後見終えました。連日のディズニー・シリーズもひとまず終わり。

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「インサイド・ヘッド」
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
デイズニー傘下にはいたとはいえ、ピクサーはピクサーでありましょうね。
手塚漫画で悪魔と天使がささやきあういうのがありましたが、あれのアニメ版というところでしょうか。
このアニメは監督が引っ越した時に幼い娘さんが情緒不安定になり色々な人格を作り出したことから思いついたそうであります。
現在は正常に戻っているそうでありますがね。
ねこのひげ
2016/05/22 07:54
ねこのひげさん、こんにちは。

>ピクサーはピクサー
作品傾向を観ればそういう結論は出ると思いますよねえ。

>娘さん
ほぉっ、そんな背景がありましたか。
西洋人はそういう着想が日本人よりしやすい気がしますね。
オカピー
2016/05/22 20:15

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