プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「天の茶助」

<<   作成日時 : 2016/05/11 09:32   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 2

☆☆★(5点/10点満点中)
2014年日本映画 監督SABU
ネタバレあり

天使が女性に恋したことから始まる「気まぐれ天使」(1947年)と天使が地上に落ちた後女性に恋する「ベルリン・天使の詩」(1987年)に着想を得たような、SABU原作・脚色・監督の和製ファンタジー。

天には脚本家がいてそれぞれ担当する人々の人生を好きなように書いている。そのお茶番たる茶助(松山ケンイチ)は自分が脚本に口を挟んだことから、ご贔屓の女性ユリ(大野いと)が交通事故死することになってしまい大慌て、それが起きる前に地上に降りてその運命を修正しようと画策を始める。
 最初に知り合ったのは脚本で知っている古道具屋店主(大杉漣)、続いてラーメン店店主(伊勢谷友介)で、彼らを通してユリとの関連性を構築していくが、結局運命は変えられない。

がっかりした時出会った生まれつき足の悪い少年にパワーを与えて治したことから世間にその情報が広まって救世主になってしまう。
 言わずと知れたキリストのパロディーであるが、この瞬間に勘の良い(笑)僕は、「あまのちゃすけ」と読んでいた題名が「てんのちゃすけ」であることに気付いた。つまり「天の助け」のダジャレなのだ、と。

死んだと思っていたユリが植物状態ながら生きていたと知った茶助はそのパワーで彼女を完治させ、彼女を救命事業の仲間に加えるが、ここにある人が反感を覚えたらしい我儘な人々が描写される。要は、奇跡を授けられるのを待ち切れずに「早くしろ」と文句を言う幾たりかの人たちである。
 「こんな(日本)人はいない」と彼は言うが、世間の何を見ているのか? これは学校へ押しかけるモンスター・ペアレンツ、病院の避けられないミスにも文句を言って裁判を起こす人々、店主に土下座させる傲慢な客・・・等の象徴である。こんな事件はもう随分前からニュースになっているではないか。
 勿論こうした人々は日本人のほんの一握りに過ぎず、多くは5年前の東日本大震災でも今回の九州震災でも静かに待ち続ける世界でも珍しい我慢強い人々である。しかし、「いない」なんてことはない。本作の中でも全員が文句を言っているわけではない。
 こうした類の文句はおしなべて感情論である。文句は感情論的スタンスを排して言うべし。特殊事項の象徴が理解できないと、逆に特殊なお話を普遍として理解させようという目的もまた理解できまい。小説や映画は殆どがその中で描かれた特殊と普遍の関係をどう理解するかにより本当の意味や価値が現れてくるのだ。

閑話休題。
 いずれにしても、本作は基本的にパロディーにより構成されている。僕は「気まぐれ天使」などといった古い映画も思い出したし、キリストのパロディーあり、先の我慢強くない傲岸な人々も実社会のパロディーと解することができよう。ラーメン店主の人生シークエンスは「ゴースト ニューヨークの幻」「タイタニック」などの解りやすいパロディーのオンパレード。任侠映画もあるでよ。

不幸な為に口を利かなかったユリが最後に「助けて」と言っているのかと思いきや「茶助さん」と言っていると判明。やはり「天の茶助」は「天の助け」のダジャレなのであった。高い料金を払って観るにふさわしいか疑問は付くが、TVあたりで観るなら多少金を払って観ても良いくらいの内容だろう。

ピエール・ロティ「お菊さん」を読んだ。貶している部分と褒めている部分と半々くらいだが、130年前の日本が興味深く描出されている。日本の家の中は物が少なくて整理され綺麗と言っているが、今はどうだろうか?

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
天の茶助 ★★★
『蟹工船』、『Miss ZOMBIE』などのSABU監督が、処女小説を自ら映画化したラブストーリー。脚本家たちが地上で生活している人間の“人生のシナリオ”を執筆している天界で、お茶くみ担当が地上の女性に恋するも、死ぬ運命にあることを知って地上に降り立ち、彼女を救うため... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2016/05/11 17:18
『天の茶助』
□作品オフィシャルサイト 「天の茶助」□監督・脚本・原作 SABU□キャスト 松山ケンイチ、大野いと、大杉 漣、伊勢谷友介、田口浩正、寺島 進■鑑賞日 7月1日(水)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<感想> 地上に生きる人間たちの人... ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2016/05/11 23:09

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
海外に邦画を売る仕事をしている人が言っておりましたが・・・
最近の邦画は、用地で俳優の演技も学芸会並で、海外に紹介したくてもできないと嘆いておりましたね。

ねこのひげの家はゴミ屋敷に近くなっておりますな〜
死ぬまでには整理しておかなければ・・・・
ねこのひげ
2016/05/15 06:55
ねこのひげさん、こんにちは。

>最近の邦画
できないでしょうね。
内弁慶で国内ではヒットしていますが、内容が伴っていません。

>ゴミ屋敷
時代ですからねえ。
僕はもう雑誌も買わないですし、生のブルーレイ以外のソフトも買わないことにしましたよ。性格的にあまり捨てられないほうですし。
両親は僕の部屋を見て「汚い」と言っていましたけれど、自慢ではないですが、社員寮時代当方より部屋を綺麗にしている人はいませんでしたよ。彼らの部屋は歩くと足の下に必ず何かがありましたから(笑)。
彼らは引っ越しするとき大変だったでしょう^^
オカピー
2016/05/15 17:31

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「天の茶助」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる