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zoom RSS 映画評「激突!2015」

<<   作成日時 : 2016/04/23 15:32   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2015年アメリカ映画 監督マイケル・バファロー
ネタバレあり

本日は二本立てなり。未公開シリーズその2。

WOWOWのパンフレットは「スピルバーグの『激突!』(1972年)を彷彿とさせる」とぼかして書いているが、今時珍しいくらいオリジナルの要素を取り込んだ紛れもないリメイクである。映画本編がそれを謳わず、要素がここまで同じであれば、オマージュではなく、世間で言うパクリと言わなければならない。但し、それを問題とするには及ばず。

妙齢美人アンナ・ハッチスンが親友アンドレア・ホイットバーンを連れて山道をドライブしていると、自動車をけん引しているディーゼルのレッカー車がちんたらと登っている。これを抜いたところレッカー車は物凄い勢いで追いかけてきて色々な嫌がらせをする。遂には命がけの対決となる。

「行っていいよ」と手で合図をされたので抜こうとし対向車とぶつかりそうになったり、レストランで運転手を探そうとしたり、探し当てたと思った男がレッカー車に乗るのかと思わせておいて違う車で去っていく肩すかし、電話をかけているところを襲ってくるなど、細かい要素で似ているところが多い。

これならあれほどの傑作をリメイクするに及ばないが、女性二人の旅にして途中でアンドレアが消えてしまうことで、単純に逃げ去ることも出来なくなり、やっつけることも難しくなる。
 この辺り脚本陣の最低限の工夫と言えるが、その代わり運転手を意識させない、太古の狩猟族対マンモスという図式がほぼ消えてしまい、もっと単純な現代的恐怖映画に仕立て直されている。幕切れで音を立ててレッカー車が落ちていくのはオリジナルに準じても、最後に破壊し尽くしたはずのレッカー車が中古店に置かれている(オカルト的でもあり、中古自動車店が移送したとも解釈できる)という幕切れで脚本陣がオリジナルの意味を全く理解していない、形だけのリメイクと判明してがっくり。レッカー車は人に運転されていることを意識させては駄目である一方、オカルトにしても駄目。どちらの解釈でもオリジナルの面白味を損なう。

同時に、全く同じならリメイクする意味がないのも事実。しかるに、お話の合理性から言って、オリジナルのおんぼろプリマスと違い、二人の乗る車がオイルに問題があるとは言え比較的新しい高級車マスタングであり、車をけん引しているレッカー車に追いつかれてしまうのは奇妙である。オイルの問題を指摘されているのに結局ガソリンで困るシチュエーションはあってもオイルで困る場面がないのも手落ち。
 かかる隙間が幾つかあるから、IMDbの投票者が次々と最低点を進呈しているのだろうが、それでも彼らが口を揃えて言うほど退屈ではない。米国人にはこの手のシンプルな恐怖が解らないのだろうか?

女性二人と高級車に変えた段階でお話が壊れちまった。中原中也風に言えば、「壊れっちまった悲しみに今日も虚しさ降りかかる」だ。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
記事を読んでちょっと見てみたいなあと思いました。さほど期待せず気楽にたのしむつもりで見るといいかな、と。スピルバーグ作品のすごさが再認識できそうだし。
オカルト風な味付けもしてあったようですが、スティーヴン・キング「クリスティーン」は映画化もされてて、あれが車に悪霊が宿っているという設定だったんですね。
話はだいぶちがうものだったと記憶しますが、あのへんの影響もあるのかなあと。
これまでの映画からいいとこどりしてやろうとしたけれども、もうひとつだったかんじですか。でも、こういうアメリカ映画は好きですよ、道の狭い日本が舞台だとできないものだったりしますので。
nessko
URL
2016/04/23 19:45
nesskoさん、こんにちは。

>スピルバーグ作品のすごさ
改めて認識できますよ。

>オカルト風
露骨にされているわけではありませんが、最後に無事に中古自動車に戻っているのはどういうわけかな。と。

>これまでの映画
というより「激突!」の下手なリメイクですね(笑)
馬力が大分違い、車が良すぎるので興醒めしますが、僕はそれなりに楽しみました。
オカピー
2016/04/23 21:05
ハリウッド映画では、リメイクするとオリジナルと寸分たがわない映像の構図や構成まで一緒の映画があってあきれさせてくれますがね。
ねこのひげ
2016/04/24 16:36
ねこのひげさん、こんにちは。

観客は気まぐれなので、同じだと「違いが解らない」と文句を言い、余りに違うと「オリジナルと違いすぎる」と批判する。
僕は文句を言う立場ですが、作るほうの気持ちも分かります(笑)
オカピー
2016/04/24 22:03

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