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zoom RSS 映画評「奇跡の2000マイル」

<<   作成日時 : 2016/04/21 09:49   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2013年オーストラリア映画 監督ジョン・カラン
ネタバレあり

アボリジニの少女たちが故郷を目指して歩き続ける「裸足の1500マイル」(2002年)の邦題を多分に意識した邦題のせいでリメイクかと思ったが、何気なく人気のあるミア・ワシコウスカが主演では違うだろうと判断して観た。
 20世紀後半の主要文学的テーマの一つに“自分探し”というのがあり、最後の20年間くらいその手の映画が少なからず作られた。本作はその時代の最中1977年頃のお話である。原作はロビン・デーヴィッドスンという女性の体験記。

少女時代に両親を失ったロビン(ミア・ワシコウスカ)は、社会に所在なさを感じて、アフリカで姿を消した父親の冒険を真似するかのように、オーストラリア西部の砂漠地帯を下って海にまで出るという無謀な旅を計画する。相棒は黒い愛犬一匹で、旅に必要なラクダ3頭を得る為にラクダ牧場で働くが、最初の牧場主からは約束を反故にされる。イスラム系の人物からラクダの慣らし方をみっちりと教わった後子ラクダ一頭を貰い、さらに発情期のラクダの暴力性に恐れをなした素人牧場主から二頭のオスを譲り受ける。

彼女の旅に出る理由が“自分探し”以外にはよく解らないが、彼女がナショナル・ジオグラフィック誌と契約を結ぶ理由も不明確。その癖余り関わってくるのを嫌い、写真も積極的に撮られる様子もない。この辺の彼女の心理がよく解らない。発意が「何となく」という感じだから手に力が入りにくい難点となる。

準備が終わっていよいよ旅に出ると、当然難儀に当たり、へこたれそうになり、さすがにそんな時には雑誌社派遣のカメラマン、リック・スモーラン(アダム・ドライヴァー)が傍にいると慰められる。

砂漠地帯に孤立する一軒家の老夫婦にお世話になるが、何と言ってもアボリジニの老人(ローリー・ミンツマ)からの影響力が大きい。女人禁制の聖域を通る為に案内人を買ってくれるのだが、彼から「女性は動物を捌いてはいけない」と言われたのを思い出し、折角の獲物も捌けない。

彼との描写は野趣に溢れ、時々絡んでくる興味本位の一般人の点出も面白い。しかし、お話が平板なのである。所謂「起伏がない」というやつである。
 世評に触れると、お門違いの作品にドラマティックな起伏を求めたり、或いは心理の起伏など沈潜しているものに全く気付かずに「起伏がない」と言って、僕の首を傾げさせることが少なくないが、この作品は起伏を求めて良い内容である。少なくとも邦題はそれを期待させる。
 ところが、ジョン・カランという監督が、「バニシング・ポイント」(1971年)の全裸女性ライダーを思い出させるような感じで全裸のヒロインが砂漠を歩いている場面を撮るなど、インディ映画的なタッチ(実際インディ映画なのかもしれないが)で進行させる為、観客の期待との間に齟齬感が生じる。とは言え、IMDbの平均得点は高いからこの映画を見た観客は多く、この作品のインディ的方向性を理解し好意的に受け止めた模様。

やはり問題は彼女が何故旅に出たか不鮮明な為に興味・共感が湧きにくいことである。

ヒロインは頑張りましたけれど、贅沢病です。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
彼女がなぜ旅に出たか?・・・・そこに砂漠があったから・・・
では遺憾でありましょうかね。
人間は衝動的になにかをしたくなるときもありますがね。
映画としてはちょっと弱いかな?
ねこのひげ
2016/04/24 16:53
ねこのひげさん、こんにちは。

>・・・・そこに砂漠があったから・・・
本編開始早々に、本人が、そういうことを仰っているのですが。
ただ、僕のような凡俗な人間には、例えば逃げないと敵につかまる、どうしても親に会いたい、といった必然性がなく、危なければやめれば良いと思える逃げ場のあるシチュエーションでは、頑張ってほしいという気になりにくい感じがしましたねえ。
今と違って携帯電話がないのは良いですけど。
オカピー
2016/04/24 21:51

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