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zoom RSS 映画評「ホドロフスキーのDUNE」

<<   作成日時 : 2016/04/17 09:29   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2013年フランス=アメリカ合作映画 監督フランク・パヴィッチ
ネタバレあり

デーヴィッド・リンチの「砂の惑星」(1984年)は案外面白く見た。世評がさんざんであることは後で知った。その原作であるフランク・ハーバートのSF小説を、映画館で観たカルト映画「エル・トポ」(1971年)「ホーリー・マウンテン」(1973年)のアレハンドロ・ホドロフスキーが最初に映画化しようとして結局挫折した超大作の、挫折した理由とその制作の経緯を辿ったドキュメンタリー。「ロスト・イン・ラ・マンチャ」(2001年)と同じ趣きの作品である。

挫折した理由は簡単で、彼の芸術志向で十何時間にも及ぶ哲学SFに賛同する製作者・映画会社が現れなかったからである。製作に取り掛かったのは1970年代前半だから「スター・ウォーズ」(1977年)以前で、「2001年宇宙の旅」(1968年)により宇宙SFが一応市民権を得た後とは言え、まだSF映画は映画製作者から継子扱いされていた時代である。

初めは彼のイメージを具現化する画家やデザイナーの発掘で、メビウス、クリス・フォス、「エイリアン」(1980年)でお馴染みH・R・ギーガーなどがホドロフスキーの精神性と合って採用される。撮影監督に「2001年宇宙の旅」の特殊撮影監督ダニエル・トランブルを蹴って若手ダン・オバノンを起用する。
 呼びかけた俳優は息子のブロンティス以外は、個性派の有名人が多く、TVシリーズ「燃えよ!カンフー」に出ていたデーヴィッド・キャランダイン、ミック・ジャガー、オースン・ウェルズといった面々。異色なのは70歳近くなっていた画家サルバトーレ・ダリで、難しいこれらのメンバーを納得させる為にフランスの製作者ミシェル・セドゥーと共に色々と知恵を絞り出したエピソードが相当興味深い。
 かくして大体準備が終わり、いざ撮影開始という段階でお金の問題が出て来る。

これが2時間くらいの作品で仕立てる気ならすんなり撮影開始になったであろうが、それはそれで後年にこうして騒がれる作品になったか甚だ疑問である。撮影もされず、膨大なプロダクション・デザイン(設計)だけが映画会社各社に残されたからこそ、あだ花としてこうしてSF映画ファンに注目されることになったのではあるまいか。
 「スター・ウォーズ」「フラッシュ・ゴードン」(1980年)以下への影響云々が出演している映画評論家や監督ニコラス・ウィンディング・レフンに取り沙汰されているが、映画化されていない以上、文字通りパクったというのが実際であろう。ヒッチコックや黒澤明や小津安二郎の作品や演出スタイルが後世の作家にオマージュ的に流用・借用されているのとは意味が違い、影響という言葉はしっくり来ない。

対訳で気になったのは比較的早めにホドロフスキーが訛りのきつい英語で言う"long shot"を「ロング・ショット」としている点。その背景で流れている映像は文字通りロング・ショットから始まり徐々に接近していく異常に長いショットである。ホドロフスキーは映画用語としての「ロング・ショット」ではなく「長回し」「長尺のショット」の意味で使っていると推測するのだが、如何であろうか?
 言わずもがなであるが、日本語でロング・ショットは、専門用語として、対象への距離が長い、被写体が小さく映るショットを指す。

エリッヒ・フォン・シュトロハイムの「グリード」(1924年)も本当は十時間に近い大作だが、映画会社が編集権を行使して100分にまとめた。これで彼は呪われた作家になり、間もなく監督を廃業することになる。今ならディレクターズ・カット版で紹介されるのでしょうがね。

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コメント(2件)

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分けて作ればよかったかも。

24時間。延々と同じビルが写されているという映画がありましたね。
85時間という映画がギネス記録かな?
ねこのひげ
2016/04/17 12:19
ねこのひげさん、こんにちは。

「スター・ウォーズ」以降ならそれも可能であったでしょうし、ましてここ20年くらいなら3部作は当たり前になっていますので、可能だったでしょうがねえ。
ホドロフスキーの作家性では、現在でも難しいかも(笑)

まあ商業映画では単独で4時間、連続もので12時間が限度かなあ。
オカピー
2016/04/17 22:10

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