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zoom RSS 映画評「トレヴィの泉で二度目の恋を」

<<   作成日時 : 2016/04/14 09:17   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督マイケル・ラドフォード
ネタバレあり

リチャード・アッテンボローがマッチ・カットを巧く使って僕を感銘させた「あの日の指輪を待つきみへ」(2007年)と同じくシャーリー・マクレーンとクリストファー・プラマーが【老いらくの恋】を見せるドラマである。ロマンスであるが、70代以上のロマンスは僕らには人生ドラマである(笑)。

妻を失ってすっかり家に籠ってしまった80歳の老人プラマーは、娘マーシャ・ゲイ・ハーデンに強制的にアパートに引っ越しさせられる。隣人の老女シャーリーが止めていたマーシャ夫婦の車にぶつけた為に弁償しに彼の部屋を訪れ、嘘の悲話を聞かして帰っていく。偏屈だが実に人の好い老人は小切手を“可哀想な”彼女に返し、それを内緒に自分の現金を娘に渡す。
 老女は気に入った老人を外に出そうとけしかけ、老人も彼女に好意を覚えてデートを重ねる。彼女の強引さや嘘つきぶりに閉口して縁を切ろうとするが、一度蘇った“人を恋する心”はそう簡単には消えない。
 老人は、明るく見える彼女が先の長くないことを知って、娘夫婦に投資として贈る気になった資金を、トレヴィの泉(ローマ)でフェデリコ・フェリーニ中期の傑作「甘い生活」(1960年)におけるアニタ・エクバーグを真似る50年来の彼女の夢を実現させる旅費に当て、老人もマルチェッロ・マストロヤンニに扮して満更でもない。しかもあの映画と同じように泉のそばで泣いている子猫を拾ってムードを添える。
 彼女が死後プラマーは、彼女の嘘と決め込んでいた「ピカソに書いてもらった肖像画」が実在することを知(って感慨を覚え)る。

アルゼンチンとスペインの合資で2005年に作られた"Elsa y Fred"という作品のリメイクということである。フェリーニ晩年の秀作「ジンジャーとフレッド」(1986年)にタイトルが似ていることから、「甘い生活」とを以ってフェリーニにオマージュを捧げた部分がある作品なのかもしれない。本作は、旅を終えるところで「フェリーニのアマルコルド」(1973年)に出てきたような客船まで点出しているので、個人的にラドフォード監督もフェリーニがお好きなのではないだろうか。

翻って、物語の通奏低音を成すのは嘘である。彼女が話す家族の悲劇も嘘であるし、自分の病気を隠すのも一種の嘘である。70代前半という年齢も詐称であろう。しかし、一番嘘っぽかったピカソの件(くだり)が実話であることが判った瞬間に彼女の青春時代を思いを馳せ、僅かに胸が熱くなる。飾る必要のない若い時と違って、嘘をつくことで無理に明るく過ごさなければらない切なく微笑ましい老人の性(さが)が逆説的に鮮明に浮かび上がるからである。
 しかし、僕の趣味ではその肝心の幕切れが字足らずな感じで不満が残る。具体的に例を挙げることはできないが、共同脚本と監督を担当したマイケル・ラドフォードラドフォードの実力を以ってすればもっと余韻を残す方法があったと思う。

悪くはないけれども、アッテンボロー作には大分及ばない。

「トレヴィの泉を待つきみへ」でした。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
アッテンボローと比べたらかわいそうな気もしますが。
フエリーニがお好き・・・賛成!
あの客船のシーンは圧巻でありました。
ねこのひげ
2016/04/17 12:04
ねこのひげさん、こんにちは。

映画ファンが映画を見ない時代ですね。
この映画も見ていない人が多そうですし、若い人はフェリーニも知らない。彼らはもはや映画ファンではないです。

この監督は秀作「イル・ポルティーノ」を作っている実力派なんですけどねえ。
オカピー
2016/04/17 21:51

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