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zoom RSS 映画評「The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛」

<<   作成日時 : 2016/04/01 08:50   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2011年フランス=イギリス合作映画 監督リュック・ベッソン
ネタバレあり

NHK−BSが昨年も放映したが、未公開映画か何かかと思って観なかった。
 そして今回、何とはなしに監督名を調べたらリュック・ベッソンだったので観ることにした。ベッソンとアウンサンスーチーと全く結びつかないから、却って興味をそそられた次第。考えてみれば、ベッソンは「グラン(グレート)・ブルー」(1988年)という伝記映画で出世したわけだからこの手の作品を作ってもさほど不思議ではないのだ、と自分の思い込みを反省する。

1947年ビルマ独立の英雄アウンサン将軍がクーデターで死亡する。娘アウンサンスーチーはこの時2歳である。
 時は飛んで1998年彼女の英国人の夫マイケル・アリス(デーヴィッド・シューリス)が前立腺癌と判明するが、本人はビルマ即ちミャンマーに入る自由がなく、一度出国すれば再入国できなくなるアウンサンスーチー(ミシェル・ヨー)を呼ぶこともできない為、彼が死ぬまで結局会えずに終わる。
 ここからお話は10年前に戻って本論に入る。瀕死の母親を看る為に英国から帰国した彼女は、反政権運動の気運が高まる中、父親の将軍を崇拝する人々に擁立されて国民民主連盟の代表となるが、政権は彼女の人気の高さを恐れて自宅に軟禁、同志を次々と逮捕する。1990年連盟の運動の成果である総選挙は392対10で連盟が圧勝するものの、結局、総選挙の結果は無視される。
 彼女の国民の自由獲得のための運動が評価されて1991年ノーベル平和賞を受賞。94年軟禁は一時解除されるが、前述した通り夫君の死に目には会えない。
 その後軟禁−自由は何回か繰り返される。2007年僧侶のデモを経て2010年アウンサンスーチーは軟禁を完全に解除される。

本作が作られた2011年においては政権との闘争は継続中だったわけだが、ご存知のように昨年11月の総選挙で再び圧勝、国際的圧力に抗しきれず今度は軍事政権もその座を連盟に譲った。

と書くと政治的伝記映画のようであるが、実際に映画が目指したのは私人としての彼女の描出である。余りにも特殊であるからストーリー説明上は政治部分が増えたが、実際には夫君が彼女のために色々と努力する様子が彼女がミャンマーで耐える様子と拮抗するくらいのバランスで描かれている。ノーベル平和賞を取ったのも彼がノーベル平和賞委員に近い人に根回しした結果である。
 平和賞受賞の効果、父親アウンサン将軍の威光、父親のように殉教者化しては困る政権の思惑の為、彼女が自宅軟禁のみで済んだという面が、独裁者ネ・ウィン将軍の前近代的な迷信に関係する描写を交えて浮かび上がる。この辺りが伝記映画として興味深い。

かかるミャンマーの特殊性に首をかしげながら、世界的に名高い一人の女性を巡る家族愛を味わえば良いと思うが、その点においてベッソンの進行ぶりはかなりきちんとしている。それが欧米的な観点によるものという印象は否めないにしても、娯楽映画として一通り楽しめる。本格的な政治映画や社会派映画を期待すると物足りないだろう。

特別損(とくベッソン)はしないでしょう、とウソならで洒落を言ってみるエイプリル・フールかな。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
映画というのは楽しめるように作ってくれないと金を払って観に来てくれる人に失礼でありますね。

アウンサンスーチーさん・・・・政治家としての実力のほどはどうなんでしょうかね。
演説を聞いていると危うい気がするんですがね。
ねこのひげ
2016/04/03 06:33
ねこのひげさん、こんにちは。

はなはだ勘の悪い鑑賞者もいらっしゃいますけれど。

しかし、ミャンマーもついに暗黒時代を抜けたようで、めでたしめでたし。半世紀近い停滞がありますから、これから経済的に伸びるでしょうねえ。
オカピー
2016/04/03 20:33

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