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zoom RSS 映画評「インヒアレント・ヴァイス」

<<   作成日時 : 2016/03/09 09:47   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督ポール・トーマス・アンダースン
ネタバレあり

高校の先輩で大学でも教わった佐藤良明氏が翻訳と研究の第一人者を務めるトマス・ピンチョンの比較的新しい小説をPTAことポール・トーマス・アンダースンが映画化したコミカル・ハードボイルド映画。フィリップ・マーロウものをぐっと70年代ヒッピー風に仕立て直したと思えば当たらずと雖も遠くない内容である。

1970年ロサンゼルス、麻薬が抜けないヒッピー探偵ホアキン・フェニックスが、別れた恋人キャサリン・ウォーターストンから頼まれ、彼女が現在つき合っている不動産王エリック・ロバーツの失踪事件を調べるうちに、麻薬輸出とマネー・ロンダリングを影でやっている怪しい団体“黄金の牙”に突き当たり、甚だややこしい出入りの後、団体や官憲の活動に巻き込まれて死んだことにされてしまった男オーウェン・ウィルスンを救出するなどして、何となく事件を解決してしまう。

雑多な人物が入り乱れるので解りにくいと言えばその通りであるが、お話のアウトラインは案外すんなり頭の中に入って来る。その代わり細かいところを質問されても全く答えられない。それがこの映画を普通に鑑賞した時の総合印象である。麻薬が絡み、ニール・ヤングの「ハーヴェスト」がかかって70年代初頭らしいサイケデリック・ムードを醸成、社会学的な或いは風俗的な面白味に横溢している。

お話がややこしいのは、ハードボイルド小説、中でもマーロウものの相場みたいなもので、ましてマーロウの主戦場LAが舞台であることを考えると、前世紀から今世紀にかけての大作家(ノーベル賞候補)が酔狂でマーロウものをサイケデリック色を施してパロディー化したのだろうかとさえ思いたくなる。ついでに、マーロウは地方検事局の捜査官出身だが、本作ではリース・ウィザースプーンが地方検事補として主人公に絡んで来る。こういうところも面白い。

普段映画をご覧にならない方には全くお薦めできない特殊なタイプの作品であるし、149分と些か長いが、好事家には結構おいしいだろう。

ピンチョンの代表作「重力の虹」は読まないといけないらしいが、難解そうで未だに手がつかない。そのうちに読みますよ。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
『重力の虹』。ぜひお読みください。
すごいですよ。
ねこのひげ
2016/03/13 07:12
ねこのひげさん、こんにちは。

>『重力の虹』
ぎょぎょっ!
読まれたんですか!
オカピー
2016/03/13 20:23

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