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zoom RSS 映画評「兵隊やくざ」

<<   作成日時 : 2016/02/03 09:18   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
1965年日本映画 監督・増村保造
ネタバレあり

大映のアクション・コメディー・シリーズ第1作。二十代の頃名画座で観た記憶があるが、或いはTVだったのかもしれない。いずれにしてもノーカット完全版で観た。
 とにかく、階級が全てと思われている軍隊において、時には年功が幅を利かすことがあると教えられたことが妙に印象に残っている。満州で軍隊生活のある有馬頼義が原作者であるから、ごく稀であってもこういう下剋上が実際にもあったのだろう。

昭和18年満州、一年後の退役の為に無気力を決め込んでいる関東軍歩兵隊三年兵の有田上等兵(田村高広)が、用心棒上がりの初年兵・大宮二等兵(勝新太郎)の世話係を仰せつけられる。傲岸で腕っぷしの強い大宮は上官にも食ってかかり、砲兵隊の黒金伍長(北城寿太郎)に殴られると、知恵袋の有田は相手が二年兵であることを知り、三年兵の威力を知れと殴り返させる。敵も黙っては引き下がらないが、結局は保身の為になかったことになる。

といった喧嘩騒動に終始明け暮れる他愛ないアクションで、日本映画が伝統にしてきた軍隊コメディーの任侠映画的ヴァリエーションである。
 この第一作は、喜劇色は抑えられているが、一つ階級が違えば神様扱いである日本の軍隊において、年功という要素を交えることで、本来なら有りえない下剋上が偶然も手伝って上手く行ってしまうところにそこはかとない可笑し味が生まれている。
 下の者が上の者をやっつける爽快感が当時の大衆に大いに受けたらしく、興行収入では東映の「網走番外地」シリーズに及ばなかったものの、この第一作は【キネマ旬報】男性読者の総合評価で4位に入っている。

軍隊映画ではお馴染の慰安場面が勿論あって、淡路恵子扮する音丸の“へそ酒”場面は退廃性を帯び、増村保三監督の面目躍如。これも可笑し味醸成に寄与している。

サスペンス面では最後の脱走に使うべく、娼婦に上官の拳銃を奪わせる場面があるが、やや疑問。大量に拳銃があるわけでもなし、娼館に行ってあるべき拳銃がなくなっていればすぐに盗んだ犯人(娼婦)が解り、実行前に作戦がばれてしまうであろう。これについては結局上手い説明がなく、脚本にそそっかしい印象を覚える。

前回の印象よりやや落ちるが、採点は維持しておきましょう。

脱走・脱獄映画は爽快感に繋がり、昔から人気があるのだなあ。トータルの完成度を考えると、「ショーシャンクの空に」がIMDb1位なのは僕には理解できませんがね。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
この『兵隊やくざ』は原作者の有馬頼義さんの実体験をもとにしている小説だそうでありますけどね。
実際に大宮みたいな人間がいたようです。
『人間の条件』と同じ時代背景ですが、こうも違う作品が作られるものなんですね。
ねこのひげ
2016/02/07 10:42
ねこのひげさん、こんにちは。

有馬氏が満州に出征しているので、多かれ少なかれ、実体験が元になっているのだろうなあと思っていましたが、やはりそうなんですか。

>『人間の条件』
つらいことをつらいと書くと余計につらくなりますから、こういう溜飲が下がるような作品も出来るのでしょうね。
オカピー
2016/02/07 19:13

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