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zoom RSS 映画評「エイプリルフールズ」

<<   作成日時 : 2016/02/22 09:24   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2015年日本映画 監督・石川淳一
ネタバレあり

TVのドラマは基本的に観ないので、石川淳一という監督は知らない。古沢(こさわ)良太は僕も観た映画の脚本を何本かものしているが、TVが中心らしく僕の記憶になかった。

本作を観た理由は唯一タイトルにある。嘘はシチュエーション・コメディーの基本中の基本だからである。七つの嘘が交錯する群像劇仕立てで、「大停電の夜に」のコメディー版のような感じ。

その中で重要なのが、対人恐怖症みたいな戸田恵梨香が、掃除婦として働く病院で親切にしてくれた医師実は偽医師の松坂桃李の子供を孕み、そのデート先のレストランで大騒ぎした末に出産騒動が起きる。観客をミスリードするエピソードで、嘘かと思わせておいた妊娠が本当であったというのが可笑しい。また、一種の虚言症である松坂桃李が実は彼女が好きなのではないか、というのは人間の心理を垣間見せる面白さがある。嘘と真実が表裏一体的に進行するのは本作の基本コンセプトらしい。

次に重要な、ヤクザの寺島進が死ぬか服役する覚悟を決めた敵対組長刺殺実行の前に実の娘・浜辺美波をそうとは言わずに誘拐するエピソードも概ねそんな感じだが、序盤のうちから見え見えのお話に推移するのは残念。娘が余りに自虐的からだろうか、男が風俗店の実情を見せて回るところは反面教師的説教なのかもしれない。

UFO騒動を起こす引きこもりの中学生など弱者が多く出て来るのはちょっとした“奇跡”を効果的に見せる必要性からと思われる。
 誘拐される娘の継父・滝藤賢一がハイヤー(リムジンと言うほどではない)で連れて回るのが自称・皇族の里見浩太朗と冨士純子のエピソード。皇族が嘘であることが早めに解るのは自明の理、夫婦は実は癌を患う妻の為に溜めたお金で豪勢な一日を過ごそうという計画であったと語る。が、夫君の言う「癌細胞が奇跡的にほぼ消え去って」というのは妻を思う愛情からの嘘と判明するのが一応の工夫。

この三つの挿話は互いの関連性が深いので良いが、りりぃ扮する老詐欺師のエピソードはともかく、大学生二人による“嘘から出た実”は全く他のエピソードと絡まないので全く不要。TV局による嘘の感動話は出産騒動に絡むとは言え、効果は変わらないのでなくもがな。
 お話の流れから言えば中学生のUFO騒動も要らないが、弱者への視点を加えたいというモチーフを考慮すればあっても良いだろう。

余り小難しく考えなければ、それなりに楽しめる。

4月1日に記事を発表しようかと一時考えましたが、そこまではちと待てない。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
4月1日に公開するとちとあざといかもね。
全部を絡み合わせれば、もっと良くなった気がしないでもないが、混乱するかな?
ねこのひげ
2016/02/28 15:50
ねこのひげさん、こんにちは。

この手は物凄く上手く作った先例があるので、ちょっとやそっとでは感心させられなくなりましたね。
これを1990年代に出していたら、誰もがもっと高い評価するでしょう。
オカピー
2016/02/28 18:55

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