プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「きっと、星のせいじゃない。」

<<   作成日時 : 2016/02/02 09:11   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 8 / コメント 2

☆☆☆(6点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督ジョシュ・ブーン
ネタバレあり

何度も言ってきたように、あらゆるジャンルの劣化が激しい中、何故か死病映画だけは向上している。安易に難病・死病で人を殺して紅涙を絞ろうなどという志の低い作品が減っている。韓国映画みたいに前半陽気で後半突然病気が判明して悲劇になるなんてのはダメな典型で、アメリカ映画も日本映画も主人公が死病であるのを最初から打ち出してお話が始まるのがまず良い(かつての死病映画大国イタリアからは全く輸入されていない)。
 残念ながら日本映画にはまだ甘いところがあるものの、アメリカ映画は相当洗練されて感心させられることが多い。

末期癌で肺が弱って酸素ボンベによる補助が必要な17歳の少女シェイリーン・ウッドリーは、両親の懇願に従って“サポートグループ”なる同病相憐れむ人々の集会に出た時、骨肉腫で片足を失った18歳の少年アンセル・エルゴートと互いに好感を覚える。
 彼女は癌の少女を扱った小説を愛読しているが、途中で唐突に終わる形に不満で、アムステルダムに住む作者にメールを出す。エルゴート君の尽力により作者から「結末を知りたくば当地まで来訪のこと」という返事が来る。
 病院の許しを貰って母親ローラ・ダーンと共に現地に赴いた二人は、酔いどれで厭世的な言葉を吐く作者ウィレム・デフォーに幻滅、僅かにアンネ・フランクの家で慰めを見出すが、恐らくそんな作者との出会いも無駄ではなく、彼女は、実は彼女以上に末期状態にあり何事もなしえず忘れられることを恐れるエルゴート君に「一人に忘れられなければ良いではないか」と成長したところを見せ、彼の死後立派に弔辞を述べる。

それほど明確ではないが、彼女の回想形式による進行で、主人公が死病を患っていることを早々に観客に示して映画の方向を決める態度が良い。逆に気に入らないのはアメリカ製ヤング・アダルト映画お決まりの、モノローグによるナレーション。これで暫し興醒めた気分が続く。

しかし、ハイティーン二人の言動はなかなか立派なもので、かつてのイタリア児童死病映画のように単に親が右往左往する様子を描くのではなく、寧ろ病人たちが自分が死んだ後残される家族のことを考えている。アメリカ死病映画はもはや【死=悲しい】という単純な図式を取らない。死を懸命に考えることで生の意味が浮き彫りになる作品が多い。これは向上である。

僕も何もせずに死ぬようです。名前は残らずとも、もう少し何かやり遂げたかったなあ、とは思う。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(8件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
きっと、星のせいじゃない。
知ってはならない「アンネの日記」の結末 公式サイト。原題:The Fault in Our Stars。ジョン・グリーン原作、ジョシュ・ブーン監督。シャイリーン・ウッドリー、アンセル・エルゴート、 ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2016/02/02 09:19
きっと、星のせいじゃない。★★★★
ジョン・グリーンのベストセラー小説「さよならを待つふたりのために」を基にした青春ロマンス。ガン患者の集会で出会った若い男女が恋に落ち、憧れの作家と対面しようとオランダへ旅する姿などを追う。『ダイバージェント』に出演したシャイリーン・ウッドリーとアンセル... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2016/02/02 11:03
予め死を受け入れた二人のために〜『きっと、星のせいじゃない。』
 THE FAULT IN OUR STARS ...続きを見る
真紅のthinkingdays
2016/02/02 11:14
『きっと、星のせいじゃない。』
□作品オフィシャルサイト 「きっと、星のせいじゃない。」□監督 ジョシュ・ブーン□脚本 スコット・ノイスタッター、マイケル・H・ウェバー□原作 ジョン・グリーン□キャスト シャイリーン・ウッドリー、アンセル・エルゴート、ローラ・ダーン、        ウ... ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2016/02/02 18:59
「きっと、星のせいじゃない」☆透き通った涙
清らかで濁りのない、透き通った美しい涙がほろほろと流れる映画。 自分の境遇を後回しにして、残される者に対して愛を注ぐ物語。 湿っぽいお涙頂戴にしないところが、さすがアメリカ☆でも大判ハンカチは最初から用意しておこう! ...続きを見る
ノルウェー暮らし・イン・原宿
2016/02/03 15:44
『きっと、星のせいじゃない。』('15初鑑賞17・劇場)
☆☆☆☆− (10段階評価で 8) 2月21日(土) 109シネマズHAT神戸 シアター9にて 13:10の回を鑑賞。 ...続きを見る
みはいる・BのB
2016/02/05 13:11
『きっと、星のせいじゃない。』
(原題:THE FAULT IN OUR STARS) ...続きを見る
ラムの大通り
2016/03/14 22:43
映画評「ハッピーエンドが書けるまで」
☆☆☆★(7点/10点満点中) 2012年アメリカ映画 監督ジョシュ・ブーン ネタバレあり ...続きを見る
プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
2016/03/19 09:41

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
まあ、これだけ映画についてブログに載せているのはオカピーさんぐらいでしょうから、ギネス記録になるかも。
ねこのひげ
2016/02/07 10:32
ねこのひげさん、こんにちは。

>ギネス記録
そういうのがあったか!
ねこのひげさん、有難うございます<(_ _)>
記録になるかはともかく、1万くらい記事は書きたいですね。
2030年くらいまでかかりそうですが、それまで命が続いていればできるかも^^
書いた映画評はとうの昔に1万を超えていますが、古い映画評を載せるのも姑息でしょうね(笑)
オカピー
2016/02/07 19:07

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「きっと、星のせいじゃない。」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる