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zoom RSS 映画評「ポセイドン・アドベンチャー」

<<   作成日時 : 2016/02/19 08:20   >>

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☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1972年アメリカ映画 監督ロナルド・ニーム
ネタバレあり

1973年の初公開以来よく観たパニック映画である。
 この作品に続いて74年に同じく名脚本家スターリング・シリファントの脚本(本作はウェンデル・メイズとの共同)により「タワーリング・インフェルノ」が発表され、パニック映画が数年間ブームになった。

大西洋を航海中の豪華客船ポセイドン号はバラストが足りないため重心が高く高波に弱いことに船長が気付くが、折悪く大型の海底地震が発生し、高波により横転、結局上下が逆さまになってしまう。そこから乗客がどう助かる道を探るのかを見せるサスペンスを眼目にしている。

異端牧師ジーン・ハックマンが、警官アーネスト・ボーグナインとその妻ステラ・スティーヴンズ、歌手キャロル・リンリー、足手まといになりがちな彼女を助ける紳士レッド・バトンズ、美少女パメラ・スー・マーティンとその弟エリック・シェア、孫に逢いに行く途中の老紳士ジャック・アルバートスンとその妻シェリー・ウィンターズ、そして乗務員ロディー・マクドウォールを引っ張っていく。

というお話は文句なく面白い。

20年くらい前だろうか、新聞のTV番組に関する投稿欄に「前の放送より人生模様が減り作品が台無しになった」という高齢者からの投書があった。しかし、僕はこの見えぬ人に心の中で「ちょっと待ってくれ」と言う。
 リメイク「ポセイドン」の評においても述べたように、パニック映画ではサスペンスが酒であり、人生模様は酒の肴である。どちらかがカットされなければならない場合、話が解らなくならない限り、ドラマ部分がカットされるべきなのではないか。
 観客だけの問題ではない。大半のパニック映画製作者が勘違いして酒肴と言うべきドラマ部分を盛り込みすぎて肝心のサスペンスが中断してしまうのが実際であったと思う。
 そのバランス感覚に優れ、かつサスペンスそのものも強烈だったのが先述の「タワーリング・インフェルノ」と本作である。映画ブログなどを見てもジャンル映画に関して「深い」とか「深くない」といった文言をよく見かけるが、ドラマ性やメッセージ性などそれが専門の映画に任せておけば良いのである。そこを勘違いしてはいけない。勿論、人生模様があっていけないということではないし、それがプラスに働けばなおヨロシイ。

映画論的講釈はともかく、本作はなくても良いかもしれないドラマ部分がサスペンスの繋ぎとして実に上手く機能してヒヤヒヤさせて貰いながら同時になかなか感動もさせてくれる。余り好きな言い方ではないが、このジャンルとしては「深い」部類。

そして、恐らく毎回観る度に気付くことだと思うが、その度に発見したような気になることがある。それは、脚本コンビがジーン・ハックマンの異端牧師をキリストに模していることである。
 彼には9名の使徒ならぬ乗客・乗員が従い、他の乗客・乗員とは違う方向へ行く。そして死ぬ直前になって彼は神に「どこまで我々を苦しめれば気が済むのか。助けなくても良いから邪魔だけしないでくれ」と不服を言う。唯一度「神は我を見捨てたもうか」と神へ質問を投げ掛けるキリストに通ずるものがありはしないだろうか。それに気付くと妙に感動するのだから僕も単純であります。

因みに、僕はこの作品でキャロル・リンリーのファンになった。足手まといになるので感情移入しすぎる一部ファンに文句を言われたが、この作品の場合こういう意見を放つ人は、脚本家の掌(てのひら)の上で踊らされてしまっていると言うべし。

シェリー・ウィンターズの挿話には毎度泣かされます。彼女は「陽のあたる場所」(1951年)の時は細かったけれど、「アンネの日記」(1959年)の頃は少し太っていたっけ。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
封切りで観て楽しんだくちですが、その後TV放送も観た記憶があります。
でも、もう何年も観てないですね。
逆さまになった男子トイレの画がシュールだと言われたり、キャロル・リンリーとレッド・バトンズが撮影現場では犬猿の仲だったとか、変な噂が海馬に残ってます。

>大半のパニック映画製作者が勘違いして酒肴と言うべきドラマ部分を盛り込みすぎて肝心のサスペンスが中断してしまう

“大半”というのが哀しいですが、実際その通りで、僅かな中断が全体の面白さを大きく損なっている例があまりに多すぎます。
TVならいいですけど、映画ではねぇ。
十瑠
2016/02/19 14:31
十瑠さん、こんにちは。

ご贔屓のキャロルが出ていることもあって、チャンスがある度に観ていました。
その割にジーン・ハックマンの牧師がキリストを模していることは忘れ、その度に「あっ、キリストだ!」なんて思うそそっかしい僕であります。

>男子トイレ
憶えています。

>撮影現場では犬猿の仲
それは知りませんでした。
どうして知らないのでしょ(笑)

>僅かな中断が全体の面白さを大きく損なっている
「ハイジャック」とか「大地震」とかいけませんでしたなあ。
邦画になるともっとお粗末。肝心のスペクタクルがダメなのに(ダメだから?)、ハリウッド映画以上にだらだらの人間模様がしゃしゃり出て来る。
比較的最近の「感染列島」はひどかったなあ。尤もあれは人間模様がダメなのではなく、お話が成立していない感じでしたが(笑)
オカピー
2016/02/19 20:12
パニック映画としては最高でしたね。
しかし、予告では美少女がミニスカート履いていたのが劇場で本編観たときは短パンになっていたのには驚いたりガッカリしたりしましたよ(苦笑)
ねこのひげ
2016/02/21 10:53
ねこのひげさん、こんにちは。

あははは、男性的な失望ですなあ(笑)
オカピー
2016/02/21 22:02

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