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zoom RSS 映画評「ラスト・シャンハイ」

<<   作成日時 : 2016/02/14 09:17   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2012年中国=香港合作映画 監督ウォン・ジン
ネタバレあり

中国語原題は“大上海”、英語原題はイーリア・カザンの遺作と同じ"The Last Tycoon"で、邦題はその二つを折衷して意味不明になった。

1913年から40年までの上海が主な舞台。
 地方都市の青果店で働く若者チェン・ダーシー(ホワン・シャオミン)が、警察署長を消したい国民党の軍人マオ(フランシス・グ)に嵌められて仕方なく所長を殺害、上海に出て大親分ホン(サモ・ハン・キン・ポー)に認められ盃を交わし、遂には上海マフィアのトップになる。

17世紀から300年も存続した上海の革命的秘密結社・青幇(チンパン)のトップだった杜月笙(とげつしょう)の生涯から着想を得たらしい。37年からの40年までのダーシー壮年期はチョー・ユンファが演じている。

マフィア絡みの部分は「ゴッドファーザー」(1972年)のムードを再現している感じで、抗日運動家の妻で有名な京劇役者になっている幼馴染ジーチウ(ユアン・チュアン)を夫と共に飛行機で逃す場面は「カサブランカ」(1942年)からの拝借。この辺りまでは青年期と壮年期とを往復する作劇が些か煩わしく感じられながらも、堂々たるフィルム・ノワールぶりに悪くない印象を覚えたが、抗日部分が強調される後半はつまらなくなる。
 こんなものを右派のように一々反日的と大騒ぎするには及ばない。ヤクザの愛国者ぶりを義侠心の中に打ち出す作劇が紋切り型に落ちて全くつまらないのである。

彼には幼馴染ジーチウと上海に出て知り合って妻に迎える歌手アーバオ(モニカ・モー)という二人の大事な女性がいるのだが、彼女たちに対する主人公の感情が明快に描けていず、中途半端に終わる。人妻になったジーチウはひたすら守るべき対象、アーバオは愛する対象ということだろうか。結果的に彼よりアーバオの自己犠牲精神が目立つようではダメである。
 これではジーチウの作劇上の役目がうすら寒いと思ったか、ヒッチコック「引き裂かれたカーテン」(1966年)のバレリーナよろしく(多分参考にしている)、日本軍人を前に公演中のジーチウを暗殺者に仕立てるのは、サスペンスとしてはそれなりに面白いものの、荒唐無稽に過ぎる。

監督のウォン・ジン(バリー・ウォン)としては格調高い作品になっているが、設計が十分でなく残念でした、といったところ。

中国映画 ブームは遠く なりにけり

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ラスト・シャンハイ ★★★.5
1930〜40年代の激動する上海で裏社会のトップへのぼりつめ、愛する女性との別れと再会を繰り返しながら、やがて戦争の渦に巻き込まれていく男の姿を描いたドラマ。 貧しい家庭に生まれ育ち、果物屋で仕事をして生計を立てるチェン・ダーチーは、愛する女性ジーチウと別れ... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2016/02/14 14:48

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
日本を悪人に描く事に中国の若い人たちもウンザリしているでしょうね。
戦争は遠くなりにけれでありましょう。
『上海バンスキング』みたいなのに中国が資金提供して、壮大な作品にしてほしい物です。
ねこのひげ
2016/02/14 15:53
ねこのひげさん、こんにちは。

昨年、中国共産党がTV局に対して「余り抗日ドラマを作るな」とお達しを出したと聞いて少々吃驚しました。自分がそう仕向けておいて、白ける話ですが。

映画では結構日中共同制作がありますし、映画人同士にはそんなわだかまりは全くないのですけどね。中国当局が五月蠅いのでしょう。
オカピー
2016/02/14 19:59

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