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zoom RSS 映画評「フェイス・オブ・ラブ」

<<   作成日時 : 2016/02/11 10:08   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2013年アメリカ映画 監督アリー・ポーシン
ネタバレあり

恋愛心理映画の佳作だが、観ている人が少ないようである。

5年前にメキシコの海岸にて溺死で夫ギャレット(エド・ハリス)を失って悲嘆に暮れ、隣人(ロビン・ウィリアムズ)の求愛も退けている中年女性ニッキー(アネット・ベニング)は、かつて夫と出かけた美術館で夫に瓜二つの男性トム(ハリス二役)を見かけ、大学で美術講師をしていると知ると、強引に大学まで押し掛け、知り合いになる。
 夫が死んでいること(彼女はleft【去った=死んだ】とは言うが、leftが死を意味すると具体的に言わない)、彼が夫に瓜二つであることをひた隠しにつき合い、彼は純粋に愛を捧げる。
 母の新しい恋人が父親そっくりであることを知った娘サリー(ジェス・ワイクスラー)が怒り狂ったその明け方、ニッキーは思い出のメキシコにトムを連れて行く。トムはそこで真実に気付き、(最後の)契りを結ぶ。恐らく彼は彼女が夫の面影を払いのけきれずに只管その容貌故に自分を求めていることに堪えきれず、二人の関係はこの旅を以って終わったらしい。お話が1年後に飛んで、彼の前妻アン(エイミー・ブレネマン)から送られてきた彼の追悼展の案内を見てニッキーがひどく驚くからである。

僕ら男性から見ると、ヒロインの気持ちも解らないではないが、瓜二つであることで故人の代理ですらないと自覚せざるを得ないトムが気の毒でならない。心臓病でいつ死ぬとも知れず怏々として楽しめない日々にあって純粋に愛情を捧げていたのに、彼女の愛情は彼の瓜二つの容貌に捧げられていたに過ぎないと知った時の切なさは想像に余りある。
 故に、本作のハイライトはヒロインが追悼展を訪れる幕切れと言うべし。そこで彼女は彼女のスイム姿を描いた絵に胸を打たれる。その絵に、銘打って「愛の肖像(フェイス・オブ・ラブ)」とあるからである。彼の捧げた愛に彼女は切なさを禁じ得ないであろう。僕ら観客は、それを想像して余韻に浸ることになる。

彼女がトムが亡夫にそっくりである為彼に周囲を(或いは周囲に彼を)近づけさせない心理が興味深いが、やはりこの幕切れの余韻を買って★はやや多めに進呈したい。最近では珍しく純粋に大人向けの作品であることにも強く惹かれる。

監督は若手のアリー・ポーシン。

題名はダスティ・スプリングフィールドの「ルック・オブ・ラブ」と似た感じ。トムの立場から言えば、昔よく聞いた小椋佳の若き日の曲「少しは私に愛をください」が頭に浮かぶ。

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フェイス・オブ・ラブ ★★★
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ねこのひげはこの映画は観ておりませんが・・・死んだ旦那にそっくりだからといって恋はしないような気がしますがね。
ただ、ねこのひげが付き合った女性を振り返ってみると、どこか似たようなところがありましたけどね。
ねこのひげ
2016/02/14 15:42
ねこのひげさん、こんにちは。

このヒロインは、相手の男性に恋したのではなく、旦那と同じ顔だけを求めたようですね。好きなのは依然旦那なので、それを知った相手ががっくりするというお話でした。

>どこか似たようなところ
そうでしょう!
僕は実際の恋愛ではよく解りませんが、好きな女優を比較すると似た感じの人が多いですね。
オカピー
2016/02/14 19:49

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