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zoom RSS 映画評「花嫁の父」

<<   作成日時 : 2016/01/06 09:34   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1950年アメリカ映画 監督ヴィンセント・ミネリ
ネタバレあり

四十数年前の中学生の時続編の「可愛い配当」を先に観て、正編の本作を観たのは多分それから十年以上経ってからだった。いずれにしても、この時代のエリザベス・テイラー(18歳)の美しさは神々しく、「黒騎士」と共に一番綺麗なリズが観られる。

結婚式を終えて娘リズを見送ったばかりの父親スペンサー・トレイシーがここに至るまでの騒動を回想する形式で進行する。今も昔もアメリカ映画は回想が大好きだ。

3か月前、娘に恋人の居て結婚を希望していることを知った弁護士の彼が家に訪れた有象無象の若者たちを思い起こし、やがて当人ドン・テイラーを迎える。まあそこそこの人物と思うが、相手の家は我が家ほどではないだろうと見込んで訪れてみると意外や立派な邸宅なので吃驚。とにかく相手の親とも意気投合しあっさり結婚が決まると、トレイシーもリズも簡素な結婚式が良いと思っていたのに、かつて地味な結婚式で済ませた細君ジョーン・ベネットがリーダーシップを取った結果かなりの大袈裟なものになってしまう。あれやこれやの大騒ぎの末に結婚式を無事に終えた彼はホッとすると同時に僅かに寂しさを味わう。

家制度の観念があやしくなってきた昨今では日本人でさえ娘を“嫁に出す”というムードが希薄になっているし、まして個人主義の大国アメリカではそうであろうと数多結婚を扱ったアメリカ映画を観てきた経験から推測できる一方、本作を観るとアメリカの親も戦後日本の親と似たようなものと感慨を持つし、結婚前の準備のゴタゴタも現在の日本とさほど変わらない印象がある。
 そうした親の心境や準備におけるゴタゴタをお笑いに転じさせて、その中に親の娘に対する愛情を浮かび上がらせる筆致が鮮やか。貢献の多くは脚本(アルバート・ハケット、フランセス・グッドリッチ)に帰するべきであろうが、ミュージカル、コメディーをお得意としたヴィンセント・ミネリの筆捌きも無視できない。

演技陣では、トレイシーの滋味溢れる演技が抜群。リズは演技がどうのこうのではなく、とにかく可憐だ。ジョーン・ベネットや相手の母親ビリー・バークも好演ながら、ドン・テイラーは凡庸。リズと同じ姓だが互いに全く関係なく、後に「新・猿の惑星」など中級作品の監督となる。

スティーヴ・マーティン主演でリメイクされた「花嫁のパパ」(1992年)は、甚だ散文的で感心しなかった。

子供が独立することに関しては、家制度も個人主義も関係ない、普遍的な親の心情があるということじゃろ。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
この映画を見てリズのファンになりました。きれいなのはもちろんですが、的確に役を演じていた記憶が。ほのぼのコメディタッチで、お父さんの家族への愛情が自然にやさしく出ていましたね。私は、家にやってきた業者が奥さんに皮肉を言うのが妙に気に障って。アメリカじゃああいうの普通なのか、だったらこわいなと思った。
>リメイクされた「花嫁のパパ」(1992年)
もう50年代のようなドラマは作れそうにないですね、残念ながら。観るほうも、昔の映画みたいな話を楽しむゆとりがなくなってる気がします。
nessko
URL
2016/01/06 14:03
nesskoさん、こんにちは。

当方は、リズの作品の中では、どちらかと言えば後の方に観ました。
「黒騎士」「可愛い配当」「クレオパトラ」「ジャイアンツ」「愛情の花咲く樹」「雨の朝パリに死す」「いそしぎ」といった作品の後。
この当時の彼女は、可憐で綺麗で、言うことなかったなあ。

>業者
レオ・G・キャロルですか。
家の構造についてとやかく言っていましたが、どこの場面かなあ?
確認しなくては。
日本では家で大掛かりな披露宴などできませんから、そういう光景はまず観られませんが、アメリカでは中流階級でもやるんですね。

>昔の映画
アメリカでは、ほのぼの系も、シチュエーション・コメディーもほぼ絶滅状態。21世紀は入り、コメディー=下品と相場が決まってしまった。
アメリカ映画も長らく愛してきたから、悲しいです。
オカピー
2016/01/06 19:27
こういう人生の一部分を切り抜いて魅せる映画というのは昨今は少なくなりました。
ど派手で暴力的な映画というのも好きですがね。
NHKが去年の暮にやった4Kの実験ドラマ『ビューティフル・スロー・ライフ』。
なかなかよかったですよ。
ねこのひげ
2016/01/11 06:44
ねこのひげさん、こんにちは。

シネフィルやインテリが嫌がる、作り物めいたホームドラマも決して悪くないと思うのですがねえ。

>4K
へえ、4Kの実験ドラマですか。
東京オリンピックでかなり普及するのでしょうねえ。
我が家もお金が余っていれば買っても良いですが、現在のハイビジョンで不足はありましぇん(笑)
オカピー
2016/01/11 18:39

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