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zoom RSS 映画評「ニューヨークの巴里夫(パリジャン)」

<<   作成日時 : 2016/01/03 09:54   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2013年フランス=アメリカ=ベルギー合作映画 監督セドリック・クラピッシュ
ネタバレあり

セドリック・クラピッシュは、デジタル時代のトリュフォーと名付けて大いに関心を寄せている。
 トリュフォーをクラピッシュのアンチテーゼのように言っているコメントを見たが、それは「突然炎のごとく」「柔らかい肌」「隣の女」系列のトリュフォーであって、僕の言うのは所謂“アントワーヌ・ドワネルもの”のトリュフォーである。ドワネル・シリーズは第1作の「大人は判ってくれない」こそ深刻な問題を含んでいたが、後続の作品は恋愛をテーマにした軽妙なコメディーだから、「スパニッシュ・アパートメント」「ロシアン・ガールズ」と続くこの“グザヴィエ・ルーソーもの”は正にドワネルものの趣きなのでござる。

スペイン留学時代の恋人マルティーヌ(オドレー・トトゥ)と別れた後グザヴィエ(ロマン・デュリス)は「ロシアン・ドールズ」で結ばれた英国人の妻ウェンディ(ケリー・ライリー)との間に息子と娘を設けるが、スペイン時代の仲間のレズビアン女性イザベル(セシル・ド・フランス)に精子提供したのがウェンディの不興を買い離婚、彼女は子供を連れて渡米してしまう。子供の為にアメリカに暮らす必要を覚えた彼は、グリーンカード(永住権)取得の為に中国人の女性ナンシー(リー・ジュン・リー)と偽装結婚する。

“グザヴィエ・ルーソーもの”はコスモポリタン的風潮の中にカルチャー・ギャップを見せる面白味が第一にあると思うが、本作では勿論民族のるつぼたるニューヨークのカルチャーが多少の揶揄性をもって描かれてなかなか興味深い。
 中でもグリーンカードをめぐる一幕が多様な人間の交錯と相まって終幕シチュエーション・コメディーとして抜群の効果を発揮し、げらげら笑わせてくれる。以下の如し。

子供を産んで暫くしたイザベルが浮気相手の女性のベビーシッターとよろしくやるので、彼が彼女の同棲相手ジュ(サンドリーヌ・ホルト)から借りている部屋を少しの間貸してくれと頼む。ところが、そこへ移民局の査察が抜き打ち的に入ることになり、それを知ったジュから情報を聞いた彼はナンシーに呼びかけ急いで帰宅し、裸の二人を追い出す。彼、ジュ、ナンシーと揃ったところへ査察官が到着するが、そこへNY滞在中のマルティーヌが自分と彼の子供4人と赤ん坊を連れて舞い戻った為査察官は目を白黒させる。

正にシチュエーションに立脚したドタバタの面白さここにありと楽しんだ次第であるが、マルティーヌや彼の息子の勘の良さが手伝って何とか疑問を持たれずに収拾、結局マルティーヌと寄りを戻すことになる。

というお話が作家グザヴィエの新作の中身として進行していることを匂わせる洒落っ気も愉快で、四半世紀前にやはりフランス人の偽装結婚を扱った「グリーン・カード」より大分面白い。

基本的には混沌する恋愛模様を描いた恋愛喜劇として見れば良いと思うが、NYを背景にしたことによる人種・民族のるつぼ、多様な価値観が溢れる街の局所的コスモポリタニズムが爆発する映画としての面白味を記憶しておきたい。

巴里のアメリカ人」のアンチテーゼを邦題にしたのが洒落ている。それなら“ニューヨーク”を“紐育”にしてほしかったが。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
『ニューヨークの巴里夫(パリジャン)』
(原題:Casse-tete chinois) ...続きを見る
ラムの大通り
2016/01/05 18:12

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ニューヨーク・・・紐育・・・
古い映画を観ている人もいないだろし、観ようという意欲をもっている人は少ないだろな〜
ねこのひげ
2016/01/03 15:37
ねこのひげさん、こんにちは。

邦題が洒落ていたので敢えて言ってみましたが、40歳以下の人で、紐育を読める人は、百人に一人ぐらいでしょうねえ。
僕の考える映画文化はもはや終わったのではないかとも思います。
古い映画に専念するのもそう長くないでしょう(と10年くらい言っていますが^^;)
オカピー
2016/01/03 20:32

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