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zoom RSS 映画評「ブルー・リベンジ」

<<   作成日時 : 2016/01/28 09:24   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2013年アメリカ=フランス合作映画 監督ジェレミー・ソルニエ
ネタバレあり

家族を殺された者が復讐するというのはメジャー映画の一ジャンルを形成するくらいお馴染の素材だが、ジェレミー・ソルニエという人が脚本・監督・撮影を担当した本作は完全なるインディペンデント仕様である。

おんぼろ車のポンティアックに寝泊まりしているホームレスのドワイト(メイコン・ブレア)が、かつて両親を殺した男が司法取引で早めに出所したことを知って後をつけ、レストランのトイレで殺す。
 この後姉サム(エイミー・ハーグリーヴズ)の許へ寄って殺人を告白するが、何故か事件の報道がない。「さては家族が私的に処理するつもりだな」と勘づいた彼は、姉の一家を避難させた後その家で待機していると、案の定殺した男の兄テディ(ケヴィン・コラック)が襲ってきたので逆襲し、負傷させる。ドワイトもボーガンで足に重傷を負う。車のトランクにテディを乗せて移動した彼は、同級生のベン(デヴィン・ラトレイ)に頼って猟銃を手にいれると、姉に手を出さないように交渉する。しかし、交渉は決裂してテディは遠くで見守っていたベンに射殺される。
 かくして、残る一家の人々と対峙する以外に方法のなくなったドワイトは、唯一非暴力的な末弟を解放した後撃ち合うことになる。

主人公が復讐を果たし生き残りカタルシスの中に虚しさが残る、というメジャー映画のスタンスであろう。虚しさは多くの場合後味の悪さに通ずる。ところが、インディの本作にカタルシスはなく、虚しさだけが残る。カタルシスのない虚しさは必ずしも後味の悪さには通じない。最初から後味も何もないからである。文字通り空虚感だけが後を引く。これが全きインディペンデント仕様の所以である。メジャー映画でもありうるかもしれないが、なかなか難しいであろう。

復讐の連鎖という点から現在のイスラムとの戦いに敷衍して考え、それに関して否定的なジャーナリスティックなメッセージ性を感ずることも可能であるが、インディ故のこじんまりした作りのせいか、復讐しないではいられない人間という生き物そのものに焦点を当てた文学的な作品のように思えて来る。

反面、彼の行動には理解しにくい部分があり、早めのうちから相当気になった。彼は犯人(厳密には父親の身代わり)を殺した後、姉一家を守ることに必死になるが、そうした考えがあるのなら、何故姉と再会する前に殺害を敢行したのか。衝動に駆られて後で反省するというのが人間というものである・・・と言えないこともないし、それを指摘したら物語が始まらないが、ドラマ的に整合性の不足を禁じ得ない。
 しかし、かかる復讐譚の発端が親同士の不倫というのが異色で、多分にシェークスピア悲劇に通ずる人間臭さが濃厚に漂い、興味深い。

People are strange when you are a stranger.

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
三歳児が殺された事件で、○○の二文字しか頭に浮かばないと書いていた人がおりました。
人の怒りというものは限界を超えると止められない物なのでしょう。
たとえ虚しさしか残らなくても。
ねこのひげ
2016/01/31 09:16
ねこのひげさん、こんにちは。

>三歳児
しかし、この事件の場合は、自分が子供なんだろうと思います。
子供が子供を育てていれば、こういう事件も起こるなあ。
昔も碌でもない親はいましたが、彼らは欲望を抑えきれなくても幼稚ではなかったでしょう。どちらにしてもこんな親を持った子供が可哀想ですけどね。
オカピー
2016/01/31 13:35

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