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zoom RSS 映画評「ビッグ・アイズ」

<<   作成日時 : 2016/01/26 09:03   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督ティム・バートン
ネタバレあり

ティム・バートンの「ビッグ」シリーズ第2弾・・・などとデタラメで紹介するのは僕くらいのものだろうが、そんなことを言ったらゲイリー・マーシャルの「プリティ」シリーズだって本当はシリーズでも何でもなかったではないか(笑)。実話もの。

1958年、職業を持たない画家志願マーガレット(エイミー・アダムズ)が娘を連れて夫の元から去り、野外で大きな目(ビッグ・アイズ)の似顔絵を書いている時にフランスで画業を習っていたと自称するウォルター・キーン(クリストフ・ヴァルツ)の調子の良さに騙されて結婚する。
 彼は、彼女と自分の絵をジャズ・クラブのトイレへの通路に置いてもらうと、彼女の大きな目の子供の絵を買ってくれた客に対して自作であると認めたのを手始めに、殆ど詐欺師と言っても良い調子の良さで彼女の絵を売りまくる代わりに、彼女の名前を封印してしまう。
 金と名誉さえ入れば何でもする俗物の彼に対して、画家として自分の名前を公表できない彼女はアイデンティティを失い苦悩する。強欲がエスカレートした彼が彼女と娘を襲おうとしたことで別居し、彼女の名なしで絵を提供することを条件に離婚を認めるが、【エホバの証人】に入信して俄然我慢することを止め、遂に夫と新聞社を相手に<誰が本当の作者であるか>を巡る訴訟に踏み切る。

というお話で、女性がひたすら耐える存在であった時代を背景に、調子の良さが売り物みたいなウォルターとマーガレットの関係性をほんの僅かだけオーヴァーに即ちコミカルに見せる前半はどういう風にこの物語が進展していくのか、という興味が持てるが、後半に入りウォルターの歪んだ性格が露呈し演ずるクリストフ・ヴァルツが徐々にオーヴァーアクトになるに従って調子が落ち、裁判の段で遂に失望に至る。
 何となれば、誰が本当の作者であるかなど、小説などと違ってその場で描かせれば大概のことは解るわけで、実際その通りに進行するのだから芸がない。実話だから仕方がないとは言え、ならばこそ簡潔に描くべきであって、ヴァルツの一人二役のおふざけは判事ならぬとも上映時間稼ぎにしか見えず、イライラさせられた。極論すればこの裁判模様は字幕で済ませても良いくらい。

画面の色彩設計にバートンらしさがある一方、お話のタイプ、進行ぶりは彼としてはオーソドックスで見やすい。
 作劇的にやや引っかかるのは、ウォルターは誤解から絵を自分のものにしたように見える前半と、後半彼が自作と称していたものも他人の絵に自分の名前を重ねたものであることが判明する後半との整合性。最初からかかるひどい“フェイクな人物”であったことから推して、彼が誤解から始めたように見える最初からこの手を使う気であったのではないだろうか。最悪の場合、彼女に接近したこと自体が策略の端緒であったかもしれない。この辺りがはっきりせず隔靴掻痒の思いがするのである。

ウォルターは営業マンとしては優秀。上司の営業部長が国際電話で余りに調子の良いことを言うのを聞き、僕が「嘘ばっかり」と笑っていると、上司答えて曰く「嘘じゃない。少し大袈裟に言っているだけ」と。実話。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ねこのひげは、人のウソがわかるので困るんですな〜
言葉のニュアンスや大げさな言い方でピンときます。
でも「こいつ嘘をついているな」とわかっても騙されるふりをしてやることが多々ありますがね。
ねこのひげ
2016/01/31 09:09
ねこのひげさん、こんにちは。

>人のウソ
見事に詐欺に遭った僕はダメですね。
解る解らない以前に人が良すぎるの問題なのかも。
かく言う僕も、営業マンの嘘に関しては騙されている振りも多いです。
オカピー
2016/01/31 13:28

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