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zoom RSS 映画評「ショート・ターム」

<<   作成日時 : 2016/01/23 08:38   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2013年アメリカ映画 監督デスティン・ダニエル・クレットン
ネタバレあり

こういう映画が高い評価を得、下ネタコメディーがヒットするのは、日本で久本雅美が高い好感度を得るのと似た現象なのではないだろうか。つまり、ぶりっ子でない人物や作品が受ける時代なのである。
 40余年前僕が恋した女子生徒は、今で言うぶりっ子であったらしい。母の死後我が家を訪れた生協の女性が偶然にも僕の同級生で、当時の話に花を咲かせた時、彼女が「ああ、あのぶりっ子ちゃんね」と言ったのである。その7,8年後に出てきた松田聖子がぶりっ子と言われたが、僕らの時代に既にこの言葉はあったのだろうか。しかし、それが当人の本質であれば、この言葉は当てはまらないだろうと、僕はかなり前から思っている。

閑話休題。

“こういう映画”とはどういう映画か。
 ショート・タームというのは日本語で短期間という意味ということくらいはちゃんと英語を学んだ人なら解るだろうが、文字通り一時的(と言っても1年以上であることがかなりあるらしい)に親の虐待やネグレクトなどに遭っている18歳までの子供を預かる施設の名前(正確にはショート・ターム12)で、子供たちの面倒を見るマネジャーは一種の監視人であって、セラピストのようなことは出来ない。そのリーダー的な存在であるブリー・ラースンは、恋人であるマネジャーのジョン・ギャラガー・ジュニアの子供を宿すが、素直に打ち明けられない。
 やがて、この施設に15歳くらいの反抗的な少女ケイトリン・デヴァーがやって来る。少女は告白しないがどうも父親から虐待を受けているらしい。似た経験をしてきた為すぐにそれを察知したブリーの悲惨な過去や子供を産むことに躊躇する心理的背景が、ケイトリンとの交流から判ってくる。
 週末だけ引き取ることにした父親の車の窓ガラスを二人で叩き割った少女は恐怖を脱却して漸く父親との接触を断つことを施設に要求、ブリーは過去を断ち切って子供を産むことにする。

というメインのお話だけでは“こういう映画”の正体は解らない。要は、下ネタや汚い言葉(施設内では一応禁止)を絡めながら、悲しい子供たちの物語の中にカタルシスを感じさせる場面を設け、良い後味を残す、というスタイルである。
 確かに“構えて”観るような映画ではないし、こういう施設や仕事の存在を知らしめるジャーナリスティックな価値がある。しかし、古い映画で育ってきた人間は、本作のような本格的セミ・ドキュメンタリーには概して物足りなさを感じることが多い。内容的には現実的に過ぎ、芸術的には映画文法即ちカット割りの巧みさ・的確さ、カメラワークの面白味、ちりばめた布石や張り巡らせた伏線の面白味といった技巧的要素が殆ど味わえないからである。

まして、棺桶に足を半分つっこんでいる熟年ともなると若い人の辛い現実を見た時同情は出来てもなかなか共感が湧かないことをご想像されたし。内容、出演者共に充実しているが、映画的興奮はない。

"term"は実に多義な単語で、「人間関係・交流」を意味することも多い。"good terms"は「仲が良い」を意味する。

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ショートターム
いい映画!! 終わり方も良い! ...続きを見る
Akira's VOICE
2016/04/20 12:03

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ドキュメンタリー映画は動物物だけでけっこうと思ってしまいます。
何とかしたくても自分にはどうしようもないですしね。
ねこのひげ
2016/01/24 12:47
ねこのひげさん、こんにちは。

自然ドキュメンタリーは良いですね。
人間を出すなら、本格ドラマにしてほしい。
オカピー
2016/01/24 21:32

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