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zoom RSS 映画評「バルフィ! 人生に唄えば」

<<   作成日時 : 2016/01/22 09:31   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2012年インド映画 監督アヌラーグ・バス
ネタバレあり

面白いつまらないは別にして、マサラ・ムービー・スタイルに拘っている限りインド映画は本当の意味で一流にはなれない。昨今は踊りがなく、アメリカのバラッド形式に似た歌曲で芝居を進行させる形式の作品が増え洗練されてきているが、かつてのサタジット・レイの作品のように楽曲による心情説明が一切なくなった時インド映画は真の意味で映画先進国となる。物語の独創性から言えば既に欧米を凌いでいる。
 本作は、やはり歌曲で心情を説明する形式を取っているが、お話も話術も面白く、撮影も優秀なので、サタジット・レイを別にすれば僕が観たインド映画ベスト1の位置を占めるかもしれない。

1972年、両親の決めた金持ち青年と婚約している美人シュルティ(イリヤーナ・デクルーズ)が、生まれついての聾唖の若者バルフィ(ランビール・カプール)と知り合い、自らの運命を悲しまない生き方に惹かれるが、親の決めた結婚を選ばざるを得ない。
 1978年夫との愛のない生活に埋もれていた彼女がバルフィと再会、これにより脅迫と誘拐の容疑者になっていたバルフィを追い詰めてしまう。
 彼は運転手を首になった父親の治療費捻出ができようかと、強盗に失敗した後、元の雇い主である富豪の自閉症の娘ジルミル(プリヤンカー・チョープラ)を連れ出していたのだ。結局営利誘拐はせず何とか彼女を大事にしてくれる施設に送り返そうとするが、彼を慕って離れようとしない彼女と一緒に過ごすうちに愛情が募っていく。しかし、ジルミルはバルフィが再会したシュルティに嫉妬して行方をくらましてしまう。

というお話が、現在のシュルティや、バルフィに振り回された警官などの回想で進行し、過去の中に大過去が混じる為、観ていて混乱してくる部分もあるが、アウトラインの理解には支障がないレベル。

ギャグとしては「街の灯」(1931年)の開巻場面から借用したシーンを始め、チャップリン的なところが少なくない。線路を使ったアクションは「キートン将軍」(1926年)へのオマージュであろう。

それ以上にタッチが興味深い。ウェス・アンダースンやジャン=ピエール・ジュネのようなとぼけたファンタジー趣味があるかと思えば、ジュゼッペ・トルナトーレに通ずるところもある。聾唖青年の行動が時に「ライフ・イズ・ビューティフル」(1998年)のロベルト・ベリーニを彷彿とする。そう言えば、ベリーニはイタリアのチャップリンとも言われているのでしたな。
 とにかく、アヌラーグ・バスという監督は、古今東西の映画を勉強していることを伺わせ、映画好きであれば、さらに楽しめるはず。ジルミルはロジェ・ヴァディム「花のようなエレ」(1971年)の聾唖少女エレ(グウェン・ウェルズ)に見た目も似ている。まさかあの凡作から借用したことはあるまいが。

自閉症の娘を演じたプリヤンカー・チョープラはミス・ワールドとかで、大変な美人。イリヤーナ・デクルーズも大変な美人。インドの風景と併せて目の保養になる。

昨日に続いて本作を他人がどう思っているか調べていたら、また主人公に対する倫理観で批判する人に出くわした。批判に値する作品もあるが、値しない作品もある。本作は後者であろう。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
始めは
関根勤さんが面白い映画があると言ってから日本で公開されだした記憶があります。
B級映画としての紹介でしたね。
経路が変わっているという事で、興味を惹かれたようですがそこから脱却しないとね。
やめるとインド映画でなくなるかな?
ねこのひげ
2016/01/24 12:54
ねこのひげさん、こんにちは。

僕は、インド映画と言えばサタジット・レイのモノクロ映画群でしたので、マサラ映画というのは後から入って来たものです。

マサラ映画のスタイルを取ると、とにかく長いですよ。話が面白いのでご巻かれてしまうことが多いですが、実は無駄も相当多い。
ダンスや歌がなくてもインド映画らしさを残すことは出来ると思いますよ。それがこれからの製作者や監督の腕の見せどころですね。
オカピー
2016/01/24 21:30

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