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zoom RSS 映画評「人類資金」

<<   作成日時 : 2016/01/12 09:15   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2013年日本映画 監督・阪本順治
ネタバレあり

昨日の「利休にたずねよ」同様史実の謎を利用してこしらえた作品。
 史実の謎というのは、昔新聞をにぎわしたこともあるM資金で、一般に知られているのは投資詐欺事件においてである。原作を書いたのは福井晴敏で、「亡国のイージス」で彼の作品を映像化した実績のある阪本順治が再びメガフォンを取った。前述作で二人が意気投合した結果らしい。

細かい点でよく解らないところが多いが、大体以下のような梗概。
 M資金というのは、戦争末期以来日米が密かに持っているとされる金塊で、日米がこれを資金に財団を維持しているとまことしやかに囁かれている。
 そのM資金を詐欺の材料にしている佐藤浩市が、正体不明の若者・森山未來に呼ばれてさるビルに入る。ところが、若者以外は敵のようで襲撃されかかる。建物の下は地下道になっていて地下鉄まで走っている。これが財団の秘密アジトらしい。
 場所を変えて逢ったMと自称する人物・香取慎吾は、終戦時に未来の世界の為にとM資金を残した祖父の遺志を継いで世界の“持たざる人々”の為に有効に使おうとするが、日本側の財団代表・仲代達矢や彼と通じているアメリカのヴィンセント・ギャロの一味がそうはさせじと妨害に走り香取を拉致する。
 森山は東南アジア小国の平和的活動家の正体を現して国連で演説をぶとうとし、彼らの活動にいつしか共鳴した佐藤は進んで協力するようになる。

こうしたお話の中に、佐藤が活動資金を稼ぐためにロシアへ赴きファンドの仕事をしているオダギリジョーを騙そうとしたり、香取を補佐している岸部一徳が暗殺されたり、森山未來が妨害者と戦うアクションを繰り広げたり、サスペンスフルな見せ場が盛り込まれているが、要領良く作られていないから良く解らないのか、良く解らないから要領良く作られていないように見えるのか微妙な印象に推移する。いずれにしてもピントを合わせて観られなかった人には作者が狙ったほどサスペンスフルには感じられないはずである。

その解らなくなりがちな理由の一つとして、背景音楽の五月蠅さがある。昨今の映画特にサスペンス映画では台詞をマスキングするかのように大きな音楽が終始奏でられている印象があり、本作に限らず、音楽で台詞が聞き取れないことが少なくない。昨今の邦画で文句なく台詞が聞き取れた、という作品の方が珍しいくらいだ。

阪本監督は「亡国のイージス」同様にはったりを利かせているものの、邦画の悲しさで、どこか貧相な印象が残ってしまう。出演者の中では香取慎吾が弱い。

日本が製作する場合こういうはったり系のお話は、小説を読むに限る、という印象に終わるのは残念。奮起を願いたいが、なかなか上手く行かないものらしい。

日本映画も字幕が欲しいね。恐らく欧米人も自国の映画を観る時同じ思いをすることがあるだろう。そういう時母国語の字幕を出すオプションのあるDVDは有難い。

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人類資金〜史上最大スケールの地雷
僕たちは世界を変えることがでる。 But… 公式サイト。福井晴敏原作、阪本順治監督。佐藤浩市、香取慎吾、森山未來、観月ありさ、仲代達矢、岸部一徳、オダギリジョー、ユ・ジテ、 ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2016/01/12 09:58
人類資金/佐藤浩市、香取慎吾
『亡国のイージス』の阪本順治監督と作家の福井晴敏さんが再タッグを組んで挑んだ今作は戦後秘かに噂されてきた旧日本軍の秘密資金「M資金」を題材に「M資金」をめぐる陰謀に巻き ... ...続きを見る
カノンな日々
2016/01/12 16:21
人類資金 ★★★
『亡国のイージス』『大鹿村騒動記』などの阪本順治が監督を務め、原作の福井晴敏と共に脚本も担当したサスペンス。いまだ、その存在が議論されている旧日本軍の秘密資金、M資金をめぐる陰謀と戦いに巻き込まれていく男の姿を活写する。佐藤浩市、香取慎吾、森山未來をは... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2016/01/12 18:30
『人類資金』
□作品オフィシャルサイト 「人類資金」□監督・脚本 阪本順治□原作 福井晴敏□キャスト 佐藤浩市、香取慎吾、森山未來、観月ありさ、岸部一徳、仲代達矢、     オダギリジョー、寺島進、石橋蓮司、豊川悦司、ユ・ジテ、ビンセント・ギャロ     ■鑑賞日 ... ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2016/01/12 19:02

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
M資金・・・いまだに騙される人がいるのが不思議ですね。
それだけ欲深い人間が多いという事でしょうが。

山田洋次監督の『家族はつらいよ』が3月12日公開されるそうですよ。
ねこのひげ
2016/01/13 00:42
ねこのひげさん、こんにちは。

>欲深い人間
僕は、生活するに足るをお金を得ようと、見事に騙されました。
考えてみればさほどおいしい話でもなかったのに・・・
最近の奴らは、物凄く良いとは言えないところで、上手く人を騙す手段を得ているようで、困ったものですなあ。
しかし、数年分の資金を失ったのは痛い。
余力がある今のうちは良いですが、これが介護老人でもなった日には、「あの時失った金があれば」なんてならないとも限らないですからねえ、くわばら、くわばら。

>『家族はつらいよ』
まだ『母と暮せば』も観ていないのに。精力的ですなあ。
オカピー
2016/01/13 19:17

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