プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「プリデスティネーション」

<<   作成日時 : 2015/12/29 09:21   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 4 / コメント 2

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2014年オーストラリア映画 監督マイケル・スピリエッグ、ピーター・スピリエッグ
ネタバレあり

半世紀近く前から家にある文庫本「異星の客」もその後学生の時に買った「悪徳なんかこわくない」も未だに読み終えていないロバート・A・ハインラインの時空SF「輪廻の蛇」をオーストラリアのスピリエッグ兄弟が映画化。断然面白い作品であるが、ハインラインのアイデアの優秀さに尽きる。

爆弾テロリストを追って顔に重傷を負い皮膚の移植でイーサン・ホークの顔になった航時局員がバーテンダーとして、“未婚の母”というペンネームで婦人雑誌に投稿している若い男サラ・スヌークの破天荒な半生を聞く。捨て子の女児として孤児院に預けられて成長した彼もとい彼女が男と関係して妊娠して出産する際半陰陽であることが判明、結局男性として生きることになった後、赤子を誰かに盗まれてしまう。

という前半のお話も相当興味深いのだが、とりわけ優秀なのは、姿を消した恋人を殺したいという彼女もとい彼の話を聞いてバーテンダーが航時局員としての正体を現し、彼に復讐させようとする後半である。

奇想天外であるが、実はサラ扮する元ジェーンが生んだ子供に自分の名前を授けたと話す段である程度円環する仕組みには気付き、半ばその予想通りに進行したものの、それでも実に面白いお話であると感心させられた。タイムトリップものとしては実はパラレル・ワールドではなく完全なる巻き戻し型の「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」のほうが独自性があるのだが、本作はパラレル・ワールド型即ち本人が本人を見る形を抜群に巧みに応用した点が独創的で頗る面白い。

以下、本作を観ようと思っている未鑑賞の方は読まない方が無難。何が面白いのか多少具体的に記したいのでネタバレにならざるを得ないのだ。以下四行は白い文字にしてありますので、マウスの左のボタンを押したままドラッグさせて反転させる方法でお読みください。
 つまり、最初のジェーン、二番目のジェーン、バーテンダー、テロリストが全て同一人物という面白さである。最初のうち鶏と卵の話が出て来るのも伏線だが、ホーク自身の言う「自分の尾を永遠に食べ続ける蛇」が全てを言い表している。永久機関のように彼女若しくは彼はより理想的な歴史を構築する為に永久の時間の中で活動し続けることになる、という少し残酷なお話なのである。

主人公の最初の名前がジェーンであり、男性に変わってからの名前がジョンというのも英語にある程度詳しい方ならニヤッとするだろう。身元不明の死体などに付ける仮名が、男性の場合ジョン・ドゥー、女性の場合ジェーン・ドゥー。本作の場合、彼女若しくは彼が“誰でもない”という意味と考えられる。

巻き戻し型、パラレル・ワールド型というのは僕が勝手に考えたタイム・トリップものの分類。公にこういう分類があるわけではないのでご注意を。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(4件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
プリデスティネーション〜永遠の自作自演
公式サイト。原題:Predestination。オーストラリア。ロバート・A・ハインライン原作、ピーター・スピエリッグ、マイケル・スピエリッグ監督。イーサン・ホーク、サラ・スヌーク、ノア ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2015/12/29 10:19
プリデスティネーション ★★★
ロバート・A・ハインラインによる「輪廻の蛇」を基にしたSFサスペンス。時空を往来する犯罪者を取り締まるエージェントと出会い、その仲間になった青年が繰り広げる戦いと彼が抱える宿命を活写する。メガホンを取るのは、『アンデッド』『デイブレイカー』の双子監督マイ... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2015/12/29 15:08
存在の環/輪廻の蛇〜『プリデスティネーション』
  PREDESTINATION ...続きを見る
真紅のthinkingdays
2015/12/30 21:31
『プリデスティネーション』('15初鑑賞27・劇場)
☆☆☆☆☆ (10段階評価で 10) 3月14日(土) 109シネマズHAT神戸 シアター8にて 18:45の回を鑑賞。 ...続きを見る
みはいる・BのB
2016/01/01 12:39

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
SFの世界でも古典と呼ばれる小説がいまだに本屋に並んでいるということは・・・
いかにいまのSFがつまらないかという事でありましょうな。
ブライアン・W・オールディスの『地球の長い午後』など、お読みになったかたならあの映画の元ネタであるとわかりますな。

『スターウォーズ/ホースの覚醒』でもマックス。フォン・シドーという古典的名優が出ておられます。
それだけでも観る価値ありかな。
百年作になってもこの戦いは終わらない予定だそうです。
ルーカスの提出した原作は不採用になったそうです。
どんな内容だったのか読んでみたい気がします。
ねこのひげ
2015/12/29 16:03
ねこのひげさん、こんにちは。

中学になりたての頃読んだ難しいSFが原因で遠ざかったため、古典SFでも読んでいないのが多いですね。
「夏への扉」「鋼鉄都市」「幼年期の終り」は来年読もうと思っています。

「スター・ウォーズ」第一シリーズは、オリジナルと変ってしまったので、何となく再鑑賞する気が失せています。第1作だけは観ようかな。
新シリーズは勿論WOWOWで観ます。この作品が出る時第一シリーズを放送してくれると有難いですね。数年前にNHKが放映した時に第2作が雷雨で録画できなかったものですから。
オカピー
2015/12/29 21:00

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「プリデスティネーション」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる