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zoom RSS 映画評「アナーキー」

<<   作成日時 : 2015/12/16 10:19   >>

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☆☆(4点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督マイケル・アルメイダ
ネタバレあり

原題が"Cymbeline"だからウィリアム・シェークスピアの現代翻案版だろうと思って観てみた。その通りであった。

シェークスピアは普遍性の高いテーマを扱ってきたから、時代を移して映画化してみたいという欲求にかられるのはよく理解できるが、現代を舞台にする場合はいかにテーマが普遍的であっても仕掛けがさすがにこのIT時代には適合しないことが多く大きな改変が必要となる。
 しかし、面倒くさいことにシェークスピアを扱う人には台詞を変えたくないという御仁が多いので、それが実現できない。バズ・ラーマンが映画化した「ロミオ&ジュリエット」(1996年)では、手紙のすれ違いが電話(1996年は携帯電話が普及の端緒についた頃と記憶する)のある時代にはかなり苦しく思えた。
 本作の場合はかの作品でも大きな仕掛けとなった仮死状態にする薬が少し問題になるが、現代に全くそぐわない大仰な台詞自体がそれ以上に大きなネックとなる。

現代、麻薬王シンベリン(エド・ハリス)は、後妻(ミラ・ジョヴォヴィッチ)の意向に沿って、彼女の息子クロートン(アントン・イェルチン)を娘イノジェン(ダコタ・ジョンスン)と結婚させようとしているが、子飼いにしていた青年ポスチュマス(ベン・バッジリー)が娘と結婚した挙句に単独で逃亡を図った為に怒り心頭に達する。
 ポスチュマスは逃亡先で警官ヤーキモー(イーサン・ホーク)と彼女の貞操を巡る賭けをする。ヤーキモーはこっそり盗み出した“証拠品”で嘘の報告をし、それを信じたポスチュマスは彼女を殺そうと暗殺者を送る。が、暗殺者は主人のポスチュマスが血迷っていることに気付いて彼女を逃がす。
 この流れの中で、のこのこ山中にやって来たクロートンがシンベリンのかつての関係者ベラリウス(デルロイ・リンド)が引き取っていたシンベリンの実の息子二人に殺される。

と、この辺りまでは何とかお話が解る。しかし、一連の騒動の中に警官が絡んでいるとは言え、これにより何故に取引で均衡を保っていた麻薬王と警官の協力関係が瓦解し、双方の間に激しい抗争が起きるか僕の頭ではよく理解できないのである。クロートン殺しの犯人が警察である確証はどこにもないではないか。「ロミオ&ジュリエット」の場合は仕掛けの部分で気になることがあってもお話の理解には支障がなかったが、僕の頭の悪さだけでなく、「ハムレット」の現代翻案版という実績のある監督マイケル・アルメレイダの進行ぶりが隙間だらけでたどたどしい為に、このような結果になったと考えられる。
 そこがよく理解できないから、双方に多数の死傷者が出た後、真相が判明して双方が和解し、若夫婦がそのまま立ち去っていくラストが全くピンと来ない。

シェイクスピアを翻案する時はせいぜい近代までに。麻薬王を王の代わりにするのも無理。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
「アナーキー」というタイトルもよくわからんですけどね。
アメリカ人の自由に関する話では、政府も政治家もいらないと思っている連中が多いとか。
自分たちの事は自分たちで守るからほっといてくれという感覚らしいです。
だから銃規制は無理だそうで・・・・
ねこのひげ
2015/12/21 02:45
ねこのひげさん、こんにちは。

>タイトル
解らんですね。
僕は当初作風のことかと思いましたが、警察が麻薬王とつるんでいるということでも指しているのかな。

>銃規制
本当にアメリカ人はバカ(笑)
開拓時代とは違うのですからねえ。
230年も前に作られた憲法の条項を変えんとダメですかねえ。
戦後の日本で一度に大量に殺傷された事件の数よりアメリカの3か月での事件数の方が多いのじゃないでしょうか?
オカピー
2015/12/21 18:46

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