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zoom RSS 映画評「ブラック・ライダー」

<<   作成日時 : 2015/11/09 09:23   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
1972年アメリカ映画 監督シドニー・ポワティエ
ネタバレあり

僕が映画ファンになった頃映画界でもブラック・パワー旋風が吹きまくっていて、色々なジャンルに黒人が主役を張る作品が増加中であった。西部劇もその例外ではなかったと言いたいが、実際には余り作られず、シドニー・ポワティエが主演と共に初監督も務めた本作ぐらいしか記憶にない。その本作にしても今回が初鑑賞、なかなかTVに出なかった珍品である。

南北戦争終了後、北軍兵士だった黒人ポワティエは、自由な新天地を求めて移動する元奴隷のグループに手を貸している。それを面白く思わない元南軍将校キャメロン・ミッチェルの一味は移動グループを襲撃、案内人のポワティエも追われて馬をダメにし、そこで川で水浴していたインチキ説教師のハリー・ベラフォンテの馬を盗む。
 結局二人は意気投合し、ミッチェル一味に奪われたグループの開拓資金に充てる為に細君ルビー・ディーまで巻き込んで銀行強盗をやらかし、一味と保安官ジョン・ケリーに窮地に追い込まれる。が、最初は戦わないと宣言していたインディアンたちに救われ、グループは新天地にたどり着く。

本作の面白味は、黒人とインディアンとが手を組んで白人に対抗するという点に尽きる。しかし、様相はそう単純ではない。
 確かに共に彼らの権利や自由を阻害するのは白人だから利害関係は共通しているわけであるが、アメリカン・ニューシネマ時代の作品であるから白人でも保安官はリベラルで一味に黒人の邪魔をさせまいとするし、インディアンに言わせればポワティエが北軍として戦ったように自分たちに損害を与えたという意味において黒人も白人と大差がないのである。
 しかし、未来を考えてインディアンは黒人を助けるのであり、それは1960年代から現実に進行していた公民権運動と連関している。インディアン――開拓時代ではなく1970年代ならネイティヴ・アメリカンと言うべきであろうが――の人権運動もあったから、本作は当時の社会環境を反映した一種の社会派映画と考えられないこともない。

娯楽映画としては、進行ぶりに間延びするところがあって面白くなりきれず、爽快感が余り出て来ないので、大量の☆★は進呈しかねるが、異色作として名前を憶えておく価値はあると思う。

アメリカではインディアンが悪党扱いされている「駅馬車」(1939年)は放映しにくいと聞く。映画作りの教科書みたいな作品なのに・・・全く馬鹿らしい。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
オカピーさん、こんばんは。
この作品は、わたしが小学生2年か3年か4年のとき、映画館で観ましたよ(笑)。
確か、「新・猿の惑星」か「猿の惑星/征服」と併映だったと思います。
おやじと観に行きました。ほとんど憶えていませんが、ハリーヴェラフォンテ(当時は誰だかわからず牧師とだけ理解して観ていたように思います)が、聖書からピストルを取り出す場面です。いやあ、もう一度観てみたいですよ。
シドニー・ポワチエは、ドロンほどではありませんが、本当に大好きな俳優ですしね。
当時の作品はどんな娯楽作品でもリアリズムに近づけて作っていたと思いますから、そこからいろんなことを考えさせられます。オカピーさんの記事からそんなことが感じられました。
では、また。
トム(Tom5k)
URL
2015/11/13 22:56
トムさん、こんにちは。

>映画館で観ましたよ
おおっ。
すると、わが地方にも来たかもしれませんが、記憶にないデス。
公開時期を調べたら「猿の惑星/征服」とほぼ同じ時期なので、このコンビネーションだったと思います。
地方はロードショーと言っても二本立てで、本当のロードショーと名画座の中間くらいの存在でしたよね。今はシネコンでどこへ行っても同じ。

>聖書からピストル
仕込み杖ならぬ仕込み聖書でしたね。マカロニ・ウェスタンでもあったなあ。

>リアリズム
意識としては今以上にリアリズム指向があったでしょうね。
定着した結果、今ではファンタジーにおいても面倒臭い作品が増えました。
オカピー
2015/11/14 18:42
これは、文芸坐のイショク西部劇とかいうタイトルで観たことがありますね。
テレビでも一度・・・どこかでやっていた記憶があります。

日本でも以前は放映したのにしない作品がありますね。
批判の嵐にさらされる作品は避けるようで・・・コメントでケチばかりつけるのがいますからね。
ねこのひげ
2015/11/15 09:09
ねこのひげさん、こんにちは。

>文芸座
僕が豊島区に住んでいたのはもう少し後だったのでしょうねえ。
群馬の田舎で文芸座の料金を観ると、二本立てで何と150円。この田舎でさえ700円くらいはしていたのに。
もう一本は何だったのでしょうか?

>批判
アメリカのTVタバコを吸うカットもカットする、とは映画「サンキュー・スモーキング」の説。本当かな。
権利意識過剰でどうでも良いことまで管理したがる。極度のリベラル派は何か勘違いしている。
オカピー
2015/11/15 18:45

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