プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「観相師−かんそうし−」

<<   作成日時 : 2015/11/06 08:45   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 2

☆☆☆(6点/10点満点中)
2013年韓国映画 監督ハン・ジェリム
ネタバレあり

邦画も韓国映画も大衆現代劇は殆ど観る気が起こらない。余りにも減らしたので、「時代劇なら良かんべ」と手を出した。

近年欧米映画は上映時間の短縮化(厳密に言えば大作とそれ以外の作品の差別化)が図られ、日本映画も一時よりは短めになって来た印象がある中、韓国映画は相変わらず長い。勿論相対的なものであって、面白ければ構わないわけであるが。

15世紀中盤の李氏朝鮮、5代文宗(在位1450-52)が観相を重視していた為、娼館女将ヨノン(キム・ヘス)に雇用されて大評判になっている観相師ネギョン(キム・ガンホ)が、左議政のキム氏(ペク・ユンシク)に重用され、義弟ペンホン(チョ・ジョンソク)を秘書に、官僚登用試験に大活躍、思わぬ出世を果たすことになる。が、文宗の弟・首陽大君(イ・ジョンジェ)が兄亡き後即位した少年王・瑞宗(在位1452-55)に代わって王になろうとクーデターを画策、ネギョンはこの陰謀に官僚になったばかりの息子ジニョン(イ・ジョンソク)共々巻き込まれてしまう。

首陽大君が瑞宗の側近を排除して7代世宗になったクーデター事件を素材に、観相師一家のフィクションをアングルとして加えて再構築したお話。従って、過去は勿論未来までも言い当ててしまう超人的観相師を主人公にしたからにはその面白さが最大限発揮されなければならない。
 前半の腐敗官僚を指摘する辺りはそれなりに面白いし、運命を変えようと眠っている首陽大君にこっそりホクロを付けるサスペンスも悪くないものの、それによって大君の運命が全く変わらないため朝鮮史に全く疎い一般観客は肩すかしを食らう。史実を変えるわけには行かないと、父親同様に観相に興味を持ち始めた瑞宗がそれによって大君の反逆に気付くという流れにして帳尻を合わせた形だが、ホクロにより運命を変えた娼妓の前段を踏まえているだけにドラマとしてはチグハグになった。

大君のクーデターに大貢献した側近が晩年になってネギョンの「首を斬られる相」を恐れているところから物語が回想形式で始まり、その予言が外れたと思わせておいて、生前の罪により「墓を掘り起こされて首を斬られた」という字幕で納得させるのは面白い。こちらは史実を上手く利用して、良い意味での肩すかしを食らわせたわけである。

史実だけでは朝鮮史に興味のない外国人にあくびが出るだけだろうから、観相師が100%生かされているとは思えないものの、退屈させない出来栄えと言えると思う。
 韓国映画恒例の「前半はコメディー・タッチ」という垢抜けない構成を避けていれば★一つ余分に進呈できたが、韓国大衆にはこれをやらないと受け入れられないようだ。この悪弊が続く限り僕は韓国(大衆)映画の質が高いとは口が裂けても言えない。多分その作劇手法と上映時間の長さとは無縁ではないだろう。

古代ギリシャから2500年間「演劇(映画)のトーンは一貫しなければならない」と言われているのだが、韓国ではお構いなし。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(3件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
観相師-かんそうし-
【概略】 人々の運勢から殺人犯まで暴く天才観相師・ネギョンは、宮中の要職に抜擢される。だが、王の弟・首陽大君に「逆賊」の相を読み取り…。 史劇 ...続きを見る
いやいやえん
2015/11/06 15:46
14-390「観相師 −かんそうし−」(韓国)
目は心を表す  顔を見ただけで性格から寿命まで全てを見抜いてしまう天才観相師ネギョン。田舎での貧しい生活から抜け出すため、都の芸妓ヨノンに招かれて観相業を始める。  すると運勢ばかりか殺人事件の真犯人も暴いてしまい、たちまち評判となって、宮廷内にもその名を轟かせることに。やがて、“虎”の異名を持つ有能な高官キム・ジョンソの信頼を得て宮中の要職に抜擢される。  ところが、宮中では王位を巡って水面下で壮絶な政争が繰り広げられており、恐ろしい陰謀が渦巻いていた。  そんな中、王の弟・首陽... ...続きを見る
CINECHANが観た映画について
2015/11/07 23:51
観相師-かんそうし- ★★★.5
15世紀の朝鮮王朝に起こった史実を基に、人の顔を見るだけで性格から寿命までわかるという「観相」が絡んでいたという創作を交えた歴史ドラマ。図らずも政府に入り込んだ天才観相師が政府の覇権争いに巻き込まれていく様子を描きだす。主演は、『JSA』などのソン・ガンホ... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2015/11/09 13:41

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
史実に嘘(創作)部分を入れて作ると作品として面白くなりますね。
笑をいれる意味はないと思いますが、手塚治虫さんの漫画でもよく使われて嫌いな部分ではありました。
ねこのひげ
2015/11/08 08:10
ねこのひげさん、こんにちは。

コメディ・リリーフやその類の表現はくどくならない限りは良しとしますが、韓国映画のこの極端さは、アリストテレスを出すまでもなく、芸術的にダメですね。
例えば、我が邦の「男はつらいよ」のように、笑いの中に悲しみを、悲しさの中にユーモアを感じさせることができれば、純粋に優れた作品と言えるのですが。
オカピー
2015/11/08 19:07

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「観相師−かんそうし−」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる