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zoom RSS 映画評「ウィークエンドはパリで」

<<   作成日時 : 2015/11/02 09:28   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2013年イギリス映画 監督ロジャー・ミッチェル
ネタバレあり

「ノッティングヒルの恋人」が好調だったロジャー・ミッチェル(ミッシェルと紹介されているが、英国の人につき一応ミッチェルとする)の新作は「私が愛した大統領」に続いてまたまた不評ながら、僕と同世代の夫婦のお話であるので、個人的にはまあまあの手応え。

黒人女子大生に「髪のことより勉強に精を出せ」と言っただけで退職を強いられた哲学教授ジム・ブロードベントが、小学生教師の妻リンジー・ダンカンと共に、新婚旅行の地パリを訪れるが、かつて泊まったホテルは様変わりしていて興ざめ、高級ホテルのスイートルームに泊まることになる。首になった大学教授が払える金額ではないものの、高級レストランの食事代も払わずにとんずら、最終的にはホテルの費用も全額は払えないまま、カフェで一杯飲んでいると、前日偶然再会した旧友の学者ジェフ・ゴールドブラムがやって来る。

この監督さんはどうもジャン=リュック・ゴダールがお好きらしく、この幕切れで劇中紹介されている「なはればなれに」(1964年)三人の男女にオマージュを捧げるダンス・シーンを取り込み、三人の男女の犯罪をコミカルに描いた同作をパロディー的に扱っている。Le week-endというフランス風の題名も「ウイークエンド」Week-end(1967年)を意識した可能性が高い。

パリでのんびりと楽しもうとしたのに次第にパートナーへのそれぞれの思いが浮かび上がっての顛末を描いているが、青春を謳歌している最中の若者に酸いも苦いも味わってきた初老の似たもの夫婦の心境など興味の湧きようもないであろうし、裁ち切るような幕切れは年を取っていても一般的な人々には理解しがたいであろうし、ゴダールを知っている年季の入ったシネフィルでも半分以上の方には面白くないであろう。

が、フランスを舞台に国民性の違う英国人夫婦が思いがけず羽目を外す模様に人生に対する英国人らしい辛辣な気分が横溢していて、僕などにはこれがなかなか面白い。本作は英国で大ヒットしたというが、同じ年に「ラブ・パンチ」という初老の(元)夫婦がフランスでドタバタする英国映画が作られている。英国には結婚生活に閉塞感を抱いている中年夫婦が多いのであろうか。そうした鬱積する気分を長年英国とライバル関係にあるフランスで雲散霧消させようというわけでもないのだろうが、偶然であってもこうした作品が続くことは興味深い現象と言うべし。

エリック・サティに少しジャズを取り込んだような音楽も面白く、気に入った。

こんな映画がヒットする英国が羨ましい。日本の映画界は子供文化に席巻されている。

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コメント(2件)

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英国は大人の時間と子供の時間が厳格に分かれてますからね。
夜中に子供がウロウロしていることはないですからね。
大人が楽しめる映画が作れる環境があるということでしょう。
ねこのひげ
2015/11/03 04:34
ねこのひげさん、こんにちは。

そういう社会学的な分析もできるかもしれませんね。

来年、甥がイギリスの大学に留学する予定なので、後で聞いてみると面白そうです。
オカピー
2015/11/03 21:15

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