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zoom RSS 映画評「ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス」

<<   作成日時 : 2015/11/13 09:39   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督フランシス・ローレンス
ネタバレあり

(正確には解らないが)「ハリー・ポッター」シリーズに始まる最終作を二回に分けて上映する形式は、一つはかつてのように3時間を超える映画が作りにくくなっていることが原因。大分前から言っているように、若い観客層が長い映画に堪えられないのである。他方、配収的に有利であるということが製作者側にあり、利害が一致してこうした形態に落ち着いたのだろう。
 いずれにしても、シリーズ映画にとんと興味のないオールド・ファンには困った現象というしかない。本作や「トワイライト」シリーズの場合最初から4部作と呼称するべきだが、原作の配分に従っているわけである。

ハンガー・ゲーム記念大会の闘技場から救出されたジェニファー・“カットニス”・ローレンスが、第13地区の秘密基地で目覚め、革命を目指すこの地区のリーダーのジュリアン・“コイン首相”・ムーアにたきつけられ革命のシンボルとしてプロパガンダに活躍するが、独裁政権のドナルド・“スノー大統領”・サザーランドは捕えている彼女の恋人ジョシュ・“ピータ”・ハッチャースンを逆に反戦プロパガンダに利用してその気分を殺ごうとする。勿論この“反戦”は民衆を隷属的地位に置かんとする欺瞞的な詐術に過ぎないわけであるが、彼を人質に取られている彼女としては革命を扇動する役目は荷が重く感じられてくる。

この心理的葛藤が本作の眼目であるから、それが面白く感じられるかどうかによって評価が分かれる。個人的には、第二作のドラマ部分がアクションの繋ぎ、サスペンスの起爆剤としてかなり上手く機能したのとは対照的に、観念的すぎて余り面白くなかった。人間の心理として、面白く感じられないと集中力を失い、集中力を失うと益々つまらなくなるという悪循環に陥る。

電力不足の為に彼らがプロパガンダ放送をして探知されないと思われる間に救出班が人質奪還に向うという一幕が一番面白い部分であるが、救出班の代わりに放送側ばかり映されるので、想像してドキドキするしかない。一般的な観客にこれは不満であろう。

前半にじっくり布石を置いてそれを後段で回収し(即ち、前半に溜めたものを後半で解き放ち)緩急をつけるというのが上手い娯楽映画の作り方とは言うものの、それを二本に分けてやるのは感心できない。いかにも勿体ぶりすぎで、作戦ミスじゃろう。救出班の言う「思いがけず救出が簡単に達成できた」背景には、必ずや政府側の陰謀があり、後編で明らかにされるはずである。
 この前編においても既に、恐怖により洗脳されたピーターがカットニスに襲い掛かっている。この続きは後編でね、ということで、全巻の終り。

参謀役のフィリップ・シーモア・ホフマンは本作公開直後に急死した。後編でもお目にかかれるのだろうが、この二本で見納めである。

町山智弘氏によると、今のハリウッド映画は中国市場をターゲットにした作品ばかりで、(故に)面白い映画が殆どない、とのこと。頷かせるものがある。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
原作もSF小説とは呼べない代物でありますが、アメリカでは大ヒットしたそうであります。
アーサー・C・クラークが懐かしい。
ねこのひげ
2015/11/15 09:19
ねこのひげさん、こんにちは。

>原作
ロマンスが絡んでいるので、明らかにYA小説ですね。

>アーサー・C・クラーク
比べるのが無理です・・・
来年辺り久しぶりに何か読んでみようかな。
有名な「幼年期の終り」も読んでいないし。
オカピー
2015/11/15 18:57

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