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zoom RSS 映画評「マップ・トゥ・ザ・スターズ」

<<   作成日時 : 2015/11/01 09:54   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2014年カナダ=ドイツ=フランス=アメリカ合作映画 監督デーヴィッド・クローネンバーグ
ネタバレあり

1970年代ならジョン・シュレシンジャー辺りが作っていそうな、ハリウッドをモチーフにした辛辣なドラマである。序盤の展開だけ観ると監督がデーヴィッド・クローネンバーグというのに首をかしげたくなる感じさえあるが、霊やセラピーが絡む部分、特に後半になるとこの監督らしいお話になっていく。

フロリダからハリウッドにやって来た妙齢のミア・ワシコウスカが、脚本を書いているという大部屋俳優ロバート・パッティンスンの運転する車に乗って界隈を見回るところから始まり、40年ほど前に焼死した女優の母親の伝記映画で母親役を演ずるのが念願のジュリアン・ムーアにバトンが渡され、俳優御用達のセラピストのジョン・キューザックの息子で生意気な少年俳優エヴァン・バードといった面々が紹介されていく。

この辺りの繋ぎ方が、序盤に名前の出て来るポール・トーマス・アンダースン監督の群像劇のように見えたので彼を意識したのかと思ったものの、一定以上の群像劇になっていかず、表面的には中堅女優ジュリアンと人気子役バードに代表されるハリウッド人種の嫌な部分をあぶり出すお話となっている。麻薬とは限らないが、特に薬に関する言及は辛辣であり、これが後半の幽霊絡みのお話に絡んでいる。幽霊は薬が生み出す幻影であろうということである。

ジュリアンは、キャリー・フィッシャー扮するキャリー・フィッシャーの紹介でミアを秘書に受け入れる。母親を火災で失っている彼女としては火傷の跡のある彼女に運命的なものを覚えたらしい。実際には程度の低い同情未満のものであることが終盤判明してミアに殺されてしまうのだが、彼女は若い時の母親の幽霊に悩まされている。同じように死んだファンの女の子の霊に悩まされるバード君は実は7年前に両親に追い出されたミアの弟で、その原因となったのが“結婚ごっこ”の末の彼女の放火。通常ならそう怒ることはあるまいが、二人の親キューザックとオリヴィア・ウィリアムズが実は兄妹で、セラピストの父親としては彼女たちが近親相姦の“結婚ごっこ”をしたのが気に入らなかった、という事実が判明して来る。
 結局、一連のゴタゴタに堪えきれず両親は絶命、二人は野外で“結婚ごっこ”をして睡眠薬を大量に飲む。というところで終了する。

タイトルは幾つかの意味が重ねられているようで、有名人宅案内地図ではなく、最後に死んでいく二人が見る星々への道という意味がメインらしい。

精神病的な人物を扱っているのがいかにもクローネンバーグらしいが、最終的に浮かび上がるのは成功した一家の真実が追放した娘の出現に暴かれていく過程の面白味で、その構成自体は、落ちぶれた大女優の現実を暴露するビリー・ワイルダーの傑作「サンセット大通り」(1950年)を踏襲している感じがある。ハリウッド運転手上がりの脚本家というブルース・ワグナーは意識して書いたのではないだろうか。

本作のビックリ賞は、女優の傲慢を描くための連続放屁シーン。個人的には実績のある演技派女優を使ってこんなものを入れる必要ないだろうと思う。また、キャリー・フィッシャーの体形にもビックリ。シモーヌ・シニョレまたはシェリー・ウィンターズ化邁進中なのであった。

クローネンバーグには「戦慄の絆」(1988年)という旧作がありますが・・・

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マップ・トゥ・ザ・スターズ ★★★
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ねこのひげも、ハリウッドに行った時、スターの住んでいる家々を案内してもらいましたが、スター本人を観ることはなかったですね。
むしろ東京の方が良く見かけるようです。
先日も、今井○樹さんが、座ってスマフォで誰かと話しているのを目黒のほうで見かけましたよ。
銀座でもある方とすれ違いましたしね。
まあ、ハリウッドでは歩くわけにはいかんでしょうけどね。
ねこのひげ
2015/11/01 10:03
ねこのひげさん、こんにちは。

20年くらい前に羽田空港に台湾のビジネス・フレンドの父親を迎えに行った時、同じ飛行機に王貞治氏が乗っていて、遭遇いたしました。「それでカメラマンが何人かいるのだな」と思いましたね。

1980年代初め、営団地下鉄で田原総一朗氏と思われる人物を見かけました。それからギタリストの渡辺香津美と思われる人物にも。
オカピー
2015/11/01 18:28

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