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zoom RSS 映画評「ザ・ベイ」

<<   作成日時 : 2015/10/08 09:22   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2012年アメリカ映画 監督バリー・レヴィンスン
ネタバレあり

POV映画は限りなく100%近く、ファウンド・フッテージ(撮影物発見⇒編集)ものという体裁を取らざるを得ない。物語として創意工夫が少なく一向に面白くないのに観客が勝手に想像をたくましくして怖がってくれた「パラノーマル・アクティビティ」シリーズなどはその典型である。リアル・タイムという形式も不可能ではないが、映画言語的に無理がある。
 いずれにしてもPOV−フッテージ形式ものにはうんざりしているので金輪際観るまいと思っていたが、「ナチュラル」「わが心のボルチモア」「レインマン」という僕が当時事実上の最高点(当ブログの採点方式では☆☆☆☆★相当)を付けた作品を三本も作ったバリー・レヴィンスンが監督をしているので、後学の為に観てみた。どうせ頼まれ仕事なのだろうと思ってハードルを低くして観たせいもあるが、意外と真面目に作っている。

少し物語を紹介。

独立記念日に湧くチェサピーク湾内にある小さな町クラリッジ。海洋学者の毒性に関する警告を町長が無視し、その後発見された損壊死体についてサメによるものと誤解があって対策を取らなかったことから、実は海から飲料水などから体内に入り急激に成長する寄生虫により町中が死体で溢れてしまう。

頼まれ仕事どころか、レヴィンスンおじさんは製作と物語案出にも関与していて、無気力な作り方をしていない。特に新味となっているのは、発見された数々の撮影物に関して当日レポーターとして現場にいた女性大生ケザー・ドノヒューが後日解説を付けるという体裁により編集性を強調していること。リアリズムを偏重する若者には不満が残るかもしれないが、寧ろ一般的劇映画によるドラマツルギーを加えたことでいい意味で“作り物のサスペンス”が生まれているのである。

結果が解っている観客と何も知らない登場人物との間の齟齬をサスペンスに上手く作用しているわけで、こういうのは実はサスペンスの神様アルフレッド・ヒッチコックが好んで(御大はショックが嫌いであった)用いたシチュエーションの応用であり、程度の低いショックに頼ってきた感のあるPOV映画としてはかなり見応えがある。と言っても、あくまでファウンド・フッテージものとしての範囲である。レヴィンスンの実績を知っている者としては、寂しさを禁じ得ない。

寄生虫単独で見れば「エイリアン」のヴァリエーションであるが、彼らが突然変異した理由として物質社会の問題を揺曳させることで、オリジナルの「ゴジラ」(1954年)同様に人間の営みに対して皮肉の目が注がれていないでもない。

人間批判や文明批判を加えたからと言って誉められる映画になるわけではない。それで面白く観られるかどうかが肝要なのでござる。

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ザ・ベイ  ★★
「レインマン」の名匠バリー・レヴィンソン監督が「パラノーマル・アクティビティ」シリーズのスタッフと手を組み、小さな港町で謎の疫病が拡がっていく恐怖をファウンドフッテージ・スタイルで描き出した戦慄の感染パニック・ホラー。(allcinema) 2012年/アメリカ/84分 ... ...続きを見る
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
そう、まさに映画は面白くなければ映画ではありませんです。
ねこのひげ
2015/10/11 17:52
ねこのひげさん、こんにちは。

一部にそういう偏った意見が跋扈しているので、書きました。
オカピー
2015/10/11 20:52

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