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zoom RSS 映画評「ザ・インタープリター」

<<   作成日時 : 2015/09/07 10:10   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2005年アメリカ=イギリス=フランス=ドイツ合作映画 監督シドニー・ポラック
ネタバレあり

トゥモロー・ワールド」に続くWOWOWおこぼれ大作シリーズ第2弾。開局以来メジャー洋画の殆どを放映し続けるWOWOWであるから、滅多にそのおこぼれをNHKで観るというパターンはないのであるが、今年は2本もあった。

アフリカ南部の独裁国家マトボの言語を話せる国連通訳ニコール・キッドマンがバッグを取りに戻ったブースで偶然にも国連本部ビルで演説をすることになっている同国大統領(アール・キャメロン)暗殺の話を聞いてしまう。彼女はそれをアメリカのシークレット・サービスに伝えると、担当官ショーン・ペンは彼女の過去から狂言ではないかと疑うが、「嘘発見器」でも怪しいところがない為に、同国警護官を含め準備に取り掛かる。
 それでも彼は彼女から洩れる嘘に気付きそこをついた結果彼女から家族がマトボ国政府の仕掛けた地雷で死んだ過去に始まる真実らしき言葉を引き出すと、妻を交通事故で失ったばかり立場から同病相憐れむ関係になり、同国クー族の習慣に倣って復讐はしないという彼女の言葉を信じるようになる。そうこうするうち、大統領が演説をする日が訪れ、彼女が故国に戻ると思い込んでいたペンの前で暗殺未遂事件が発生する。

10年前に公開された旧作であるからこの結末部分も明かしてしまうと、暗殺に失敗した狙撃犯を警護官が撃ち、待機室に移動させられた大統領に兄の死で復讐の気持ちが蘇ったらしいニコールがピストルを向け、そこへペンが駆けつけて彼女を説得するのである。
 さらに詳述すると、暗殺未遂事件は大統領側が悪評を誤魔化す為のインチキであり、大統領は糾弾されることになる(だろう)。

大統領側の意図は明確であるが、ニコールの行動は今一つ明確でない。彼女は兄が政府側に殺されたと知ってそれまでの決意を翻したのか、それとも最初からチャンスを狙っていたのか? ペンが序盤の「バッグを取りにブースに戻った」という彼女の証言を思い出して彼女が国連本部ビル内にいることを察知する箇所がある為に解りにくくなっているのだ。個人的には大いに引っかかった。

しかるに、本作が世間受けしなかった理由はそこではなく、シドニー・ポラックが起用された理由であろう“二人の互いを慰藉し合う関係”の描写の、ポリティカル・サスペンスとのバランスと考える。描写の割合が圧倒的に少ない一方で力点がこちらにあるように感じられる結果、どっちつかずの印象が生まれてしまってはいないか。ポラックが監督であることを前提に考えれば、男女関係に重心を置いてサスペンスをちりばめていった方がしっくりするかもしれない。硬派の監督例えばジョン・フランケンハイマーなら逆となる。

それでも、実際にはそれほどつまらないわけではなく、オーソドックスなポリティカル・サスペンスがお好きなら一応観て良いと思う。

シンバブエにマトボという場所があるので、どうもシンバブエの実態がモチーフらしい。

ペンは銃より強し。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
シドニー・ポラックは映画ファンになった中学生の頃からよく作品が出ていて、どれも安心して観られた印象があります。映画監督としては好印象持ってますが、じゃあ何がよかったの? と聞かれると、すぐには作品名が出てこなかったりする。
うまいのだけれども、地味な監督さんになるのでしょうか。
nessko
URL
2015/09/07 11:45
nesskoさん、こんにちは。

>シドニー・ポラック
僕も同じような印象があります、
野球用語でいえば、長距離バッターではなくシュアなバッター。
実際にもどちらも重要なわけですが、世間で騒がれるのはやはり長距離バッターですよね。
オカピー
2015/09/07 21:46
去年の春ごろに観たんですが、忙しくなって記事出来なかった映画です。
プロローグと本編との関係が終盤まで繋がらなくてイライラしたり、ペンの重たい演技が鼻についたりと、最初はお勧め度★二つ〜三つ程度の印象でしたが、2度目で『謎めいていたニコールもカッコ付けすぎ感のあったショーン・ペンの心の揺れもよ〜く分かった』と★四つに変更するとツイッターには書いていますネ。
なかなかこういう地味な作風は一般受けは難しいですよね。特に最近は。
十瑠
URL
2015/09/08 08:29
十瑠さん、こんにちは。

当方の評価を十瑠さん流に翻訳すると、★二つくらいでしょうか?
ポラックは真面目な作風は個人的には好みですし、☆☆☆★にしようかとも思いましたが、世評受けせずとももっとポラック風を押したほうが良かったようが気がしています。

>一般受け
映像が華美であること、登場人物が共感を呼ぶような人物であること、この二つが受ける要素になっているようですね。
それも時には良いと思いますが、そんなのばかり見せられても、我々のようなベテランは困ってしまいます。
僕などは四十数年映画を観続け「人間は弱く愚かである」という人間観を植え付けられていますので、愚かな人間を見ると反面教師的に捉えますがね。
オカピー
2015/09/08 19:20
理論的にはわかっていても感情では許せなくてやってしまうという事でありましょう。
人間の複雑さを描こうとしたんでしょうね。
最近の単純な方々には受けないのでありましょう。
ねこのひげ
2015/09/13 06:35
ねこのひげさん、こんにちは。

そういうことかもしれません。
多分兄の死で復讐心が復活したのでしょうね。
オカピー
2015/09/13 19:05

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