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zoom RSS 映画評「マダムと泥棒」

<<   作成日時 : 2015/09/22 09:45   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1955年イギリス映画 監督アレクサンダー・マッケンドリック
ネタバレあり

コーエン兄弟の「レディ・キラーズ」(2004年)のオリジナルのブラック・コメディー。二回目であるが、一回目もそれほど昔ではない。せいぜい20年前だろう(笑)。

昔の映画だから布石(時に伏線なり)が抜群で、ロンドンの一人暮らしのばあちゃんケティ・ジョンスンが警察へ行きいつも通りにけったいなことを言って相手にされない、という開巻直後のエピソードが鮮やかに幕切れと繋がる。勿論ある程度映画を観てきた方ならそうなると予想できるが、「予想できるからつまらないとは限らない」と口を酸っぱくして言ってきた通り、本作は膝を打つ面白さである。予想できたから味わえる面白さと言っても良い。

中年男性アレック・ギネスが彼女が募集していた間借り人として部屋を借りたいと現れる。クラシック演奏家に偽装しているが、実は泥棒集団のリーダーで、残る四人即ちセシル・パーカー、ハーバート・ロム、ピーター・セラーズ、ダニー・グリーンもやって来る。部屋での打ち合わせを誤魔化すためにクラシックのレコードを掛けるが、おばあちゃんがお茶を運んだり、飼っているオウムの為に手を借りるなど何度もやって来る為計画の打ち合わせがなかなか捗らない。
 といった辺りは小手調べ的な可笑しさで、それが本格的になるのは、いよいよ襲った現金輸送車から奪った金を駅に転送しておばあちゃんに引き取ってもらってから。

現金を手にして去り際に、少し知恵の足りないグリーンのヘマで楽器ケースの中に現金があるのを見られてしまったおばあちゃんを仕留めようということになるが、人情家が多いこのグループ、なかなか目的を達しきれず、結果的に仲間内で殺し合うことになり、生き残ったギネスも神の罰か何かで死んでしまう。
 この一連の騒動が行われるのがおばあちゃんの家の裏庭近くを通っている線路をまたぐ橋で、汽車から出る煙を上手く使って相当楽しめる。殺人があっても可笑しいものは可笑しい、余りに現実的に見ても損をするだけだ。

最初に述べたように、老女が事件を警察に告げるが信じてもらえない。彼女は富豪になって、物乞いに大きな額面の札を渡して相手にびっくりされる、というとぼけた幕切れが気が利いている。

老女と犯罪を組み合わせたブラック・コメディーにはフランク・キャプラの「毒薬と老嬢」(1944年)という傑作があるが、大いにとぼけたタッチには寧ろ英国出身アルフレッド・ヒッチコックの米国製「ハリーの災難」(1956年)に通ずるものがあり、やはりこののんびりしたおとぼけ感は英国ならではと感心させられる。アメリカ映画ではもっと理に落ちてつまらなくなってしまう。

当時の有望新人セラーズより先輩の七変化役者ギネスがさすがに上手いものの、雰囲気から舞台経験豊富とふんだケティ・ジョンスンのとぼけた味が一番の収穫。クレジットされていないが、イングリッド・バーグマン主演の「ガス灯」(1944年)にも出演していたらしい。

監督はアレクサンダー・マッケンドリック。「海賊大将」(1965年)など四本見た監督作の中ではこれが一番優秀と思う。

9月のNHKは不作だが、10月は少し良い。NHKはWOWOWの使い古しみたいな準新作ではなく、古い映画にもっと注力すべきだ。時代劇と西部劇だけが古い映画ではないぞよ。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こういう洒落た作品をもう少し作って欲しい物です。
深夜映画で『ハングオーバー!』をやっておりまして、つい見てしまいましたが、やっぱり下ネタ羅列は参りますね。
下ネタを削除して作れば、なんども観たくなる娯楽映画になった気がしますがね。
ねこのひげ
2015/09/23 06:40
ねこのひげさん、こんにちは。

>『ハングオーバー!』
基本的設定に見るべきものがありましたが、下ネタはどうもね。
昔は「下ネタで笑いを取るのは下の下」と言われていましたが、最近の西洋人は構わない。
最近は、昔と違って、日本人の方が上品ですね。
オカピー
2015/09/23 19:05

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