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zoom RSS 映画評「0.5ミリ」

<<   作成日時 : 2015/09/15 10:12   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2013年日本映画 監督・安藤桃子
ネタバレあり

奥田暎二がエグゼクティヴ・プロデューサー、細君の安藤和津がフード・スタイリスト、姉娘の安藤桃子が原作・脚色・監督、妹娘の安藤サクラが主演している安藤家をあげての一作。ついでに、妹娘の夫君・柄本佑の父親・柄本明も参加している。

介護ヘルパーのサクラ嬢は、介護先の老人(織本順吉)の添い寝することをその娘(木内みどり)に頼まれた結果、火事という不祥事に発展して仕事場を首になる。
 しかもコートを電車に置き忘れた為一文無しになるが、持ち前のサバイバル能力を発揮してカラオケ店でうろうろしている老人の金で時間を稼ぎ、コートを貰う。
 これに気を良くした彼女は、自転車をパンクさせている老人(坂田利夫)を発見、脅迫して家に入り込むと、、甲斐甲斐しく世話をして、おまけに投資詐欺を未然に防いでやる。老人ホームに入所を決めた老人は彼女に、名車いすず117クーペを残して建物に入っていく。
 次に彼女が狙ったのは、エロ本を万引きしようとした元海軍軍人(津川雅彦)。先の老人と事情が違い、こちらには認知症を患っている夫人(草笛光子)と別のヘルパー(角替和枝)がいる。先輩ヘルパーの連絡が元で姪(浅田美代子)が面倒を見にやってきた為結果的に追い出されることになる彼女は、自身もボケ始めているのを認識していた老人から過去の遺産を未来に引き継ぐ主旨のテープを貰う。
 次に出会うのは、最初の老人の孫のマコト(土屋希望)。ここからその一家が抱えていた大いなる秘密が明らかになっていく。

フーテンになったヒロインは出会った老人たちから雨露をしのぐ場所と食料を与えてもらう代わりに、孤独であったり問題を抱えたりしている彼らに何らかの希望を与えていく。多くの人が言うように彼女は天使(昔「雨あがりの天使」というフランス映画の佳品があったが、憶えている方いらっしゃるかな)なのであろう。
 超高齢化社会を迎えた日本の現状をモチーフにしているだけにトーンは暗いが、展開はコミカルであり一種の重喜劇と言って良いのかもしれない。

元介護ヘルパーのフーテンが得意技を活かして老人たちを救っていくという着想が大変面白く、3時間を超える長尺だから見応えたっぷりで、昨年の「キネマ旬報」第2位選出はダテではない。最初のエピソードは単なるきっかけかと思いこんでいた我々は終盤かの老人一家が抱えていた知られざる真実にびっくりさせられることになる。
 作者は完全にはその真実を明らかにしないが、僕の想像ではこういう秘密があった。老人は自分の娘と関係が出来、孫が生まれる。娘は父親の狂気から逃避すべくその娘に男装させる。男装した娘は一切口をきかない。母親がその母親から受け継いだ白いワンピースを赤に染めるのも父親との関係が原因なのではないか。老人の異常な性癖はヒロインに示す態度に思いを馳せると合点が行く。
 しかし、彼女からワンピースを受け継いだフーテン・ヘルパーはそれを一緒に旅をすることになった少女(マコトという名前は、女性にも使われるこがままある。演じる土屋希望(のぞみ)嬢ののぞみも男女併用できる)に渡す。津川老人の言った訓示「遺産を未来に残すこと」を守るのだ。
 ヒロインは一家の秘密を「知らなくても良い真実」と言い、それは彼女に子宮がないことも含まれる。彼女が詐欺師(ベンガル)に言った「女じゃない」というのは真実だったのだ。

生きにくい世の中を懸命に生きている人々(老人に限らない)の営みを捉えた近年日本映画の力作と言うべし。喜劇的とは言え、重苦しいので、☆★は程々にしました。

演技陣は好演揃い。主演の安藤サクラは言うまでもなく、坂田利夫の絶妙な演技が印象に残る。

車好きだった僕は東京への修学旅行が楽しみだった。トヨタ2000GTといすず117クーペが見られるのではないかと思ったからだ。117クーペは何台も見たが、残念ながらトヨタ2000GTは走っていなかった。

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0.5ミリ〜安藤サクラのはまり役
公式サイト。奥田瑛二製作総指揮、安藤桃子原作・監督。安藤サクラ、織本順吉、木内みどり、坂田利夫、津川雅彦、土屋希望、井上竜夫、東出昌大、ベンガル、角替和枝、浅田美代子 ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2015/09/15 11:31
0.5ミリ ★★★★
初監督作『カケラ』が高く評価された安藤桃子が、自身の介護経験を基に執筆した小説を映画化。ある事件に巻き込まれて全てを失った介護ヘルパーが、生きるために押し掛けヘルパーを始めたことからスタートする交流を通し、人と人とのつながりを描く。ワケあり老人たちを見... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2015/09/15 17:31

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
トヨタ2000GT・・・・200台ちょっとしか作られなかった車ですからね〜
よほどの幸運に恵まれないと行き会う事はなかったでしょうね。
ねこのひげは、数年前、走っているのを見てビックリしましたが、レプリカでしょうね。
ねこのひげ
2015/09/20 18:56
ねこのひげさん、こんにちは。

>トヨタ2000GT
結局「007は二度死ぬ」で見ただけだったなあ(笑)
200台では、出会うのは僥倖だったということですね。

ハイブリッドで復活しました(します?)が、それでは意味がない^^
オカピー
2015/09/20 20:32

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