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zoom RSS 映画評「噛む女」

<<   作成日時 : 2015/08/27 09:47   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
1988年日本映画 監督・神代辰巳
ネタバレあり

1980年代終盤、一般映画の性描写が激しくなり、アダルトビデオなるものが人気を集めた為ににっかつがロマンポルノを諦め、その系譜に連なるロッポニカなる新路線を始めた。神代辰巳監督が結城昌治の同名小説を映画化した本作が第一弾で、今回初鑑賞と思いきや、四半世紀前に観ており、当時の記録を観ると面白った(面白った、とはニュアンスが違う)ようだ。しかし、すっかり忘れておりましたなあ。

学生時代に自主製作映画を作った後AV監督を経てビデオ制作会社を経営している永島敏行が、TVディレクターの友人・平田満が頼まれて出演したTV番組で見たという同級生の余貴美子から電話を貰い、アヴァンチュールを楽しむが、何の恨みか無言電話に始まり、窓ガラスを割られ、車のタイヤをパンクされたり、脅迫を受けるようになる。耐えがたくなって依頼した興信所の調査でその名前の同級生が死んでいることを知るが、数日後細工された妻・桃井かおりの自動車に乗って高速道路で事故死する。

原作がいつ書かれたのかは知らないが、本作製作前年に日本公開された「危険な情事」にそっくりなシチュエーションなので、関連性を追及したくなる。
 そうでなくても、色々な映画から拝借するのが大好きな神代監督は、様々な映画タイトルを随所に示し、永島がTVで「晩春」を見ているシーンもある。TVの横に文芸誌「海燕」があって、彼の映画青年の本性を表現している。神代氏は自分の旧作「恋人たちは濡れた」(1973年)まで繰り出し、これはジョージ・ロイ・ヒルが「リトル・ロマンス」(1979年)で自作「明日に向って撃て!」(1969年)を映画館の場面で出したのに似ている。その「恋人たちは濡れた」は恐らく「明日に向って撃て!」がモチーフの一つだったのであろうし、その意味では、もしかしたら「リトル・ロマンス」からも拝借しているのかもしれない。

お話の基本は「危険な情事」であるが、こちらは妻の一種の独占欲が物語の綾を成している。つまり、余は彼女と示し合わせて無言の脅迫をしていたことが判明するが、子供を生(な)した後役目は終わったとでも言うように夫から心が離れたように見えた妻は、最終的に死んでも良いから夫を独占したかった模様。相棒たる余が自分の車に細工をするのは計算外だったかもしれないが、死んだ方が結果的には良かったのであろう。だから、或いはそこまで計算して余を巻き込んだ可能性もあり、そうであれば見た目以上に怖いお話である。

家族揃って遊園地へ行くシークエンスで、オーヴァーラップを駆使してシーンを繋ぐ華麗なシークエンスが見られるのが、映画マニアのお楽しみ。鏡やガラスの反射を利用したシーンが多いのにも要注目で、「人生は虚像」とでも言いたげな作者の人生観が反映されている気がしないでもない。

「噛む女」が誰か知るためにも観る価値がありますよ。わたしゃ、日活の回し者ではないですが。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
AVもアイドルよりかわいいのが出たりしているから驚きますけどね。
どれも似ているから相当いじっているんでしょうが。
ねこのひげ
2015/08/30 11:56
ねこのひげさん、こんにちは。

可愛い娘も多いですが、早死にしたり、不幸な目に遭ったり・・・
あの業界も大変なんでしょうねえ。
オカピー
2015/08/30 21:39

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