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zoom RSS 映画評「HELP!四人はアイドル」

<<   作成日時 : 2015/07/09 09:18   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1965年イギリス映画 監督リチャード・レスター
ネタバレあり

僕はビートルズ好きの映画ファンであるから、この作品は何回か観ている。何度も観ていると言いたいが、実際には五回目くらいである。先月NHK−BSが放映した「スパイダースの大進撃」という作品が本作の影響を多大に受けていると聞いたので録画、同作を観る前にご本尊を拝んでおくことにした次第。

ビートルズの映画出演第二弾で、第一作「ビートルズがやってくるヤァ!ヤァ!ヤァ!」でフォトジェニックな映像感覚でビートルズ・ファンは勿論映画ファンをも魅了したリチャード・レスターが引き続きメガフォンを取った。

インドの怪しい宗教の生贄が嵌める赤い宝石を付けた指輪を生贄となる女性から送られて嵌めていたリンゴ・スターが司祭とその一味に命を狙われるうちに、その指輪により世界征服を企もうと考えたマッド・サイエンティスト(ヴィクター・スピネッティ)のその子分にも追われ、ビートルズのメンバーこぞってアルプスに逃げた後、捜査を依頼したスコットランドヤード(ロンドン市警)に庇護される。かくして、新たな逃亡先カリブを舞台に、指輪を巡る三つ巴の争奪戦が繰り広げられることになる。

という誠に他愛ない冒険譚が「007」のパロディー気分で進行し、その狭間に「ヘルプ!」以下7曲の新曲が披露されるという仕組み。

前作に続いてミュージック・クリップの先駆けのような演奏場面が素晴らしく、アルプスを背景にした「涙の乗車券」Ticket to Rideはミュージック・クリップとして傑作と言うべし。

他愛ないと言ったものの、実はシュールな展開でシニカルな地口(洒落)や楽屋落ちも交え、少し後に始まる「モンティ・パイソン」に通ずる英国諧謔趣味があり、これを理解する人はビートルズ・ファンでなくても高く評価するはず。
 例えば、バッキンガム宮殿に匿われてそこで安いティーバッグが出される皮肉。創設メンバーのジョン・レノンとポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンが、ピンチ・ヒッターだったリンゴに自分たちが迷惑を蒙るので指を切るように迫り、「代わりのドラマーはいる」と言うのは余りにシニカルだったりする。戦車が活躍する場面もナポレオン戦争と第二次大戦が一緒になったような景色で相当面白い。

楽曲についてはポップな素晴らしい作品ばかりで、一曲だけ既成曲「シーズ・ア・ウーマン」She's a Womanが地下壕の場面で、「ザ・ナイト・ビフォア」The Night Beforeに挟まって紹介されているのが印象的。「ハード・デイズ・ナイト」A Hard Day's Nightのシンフォニー版が「007」のパロディー曲と共に背景音楽として使われてもいる。

プロモーション・ビデオという概念が殆どなかった時代の作品だから、「プロモーション・ビデオに過ぎない」というのは誉め言葉になる。ビデオもパソコンもなく、いつでもどこでもご贔屓が観られる今とは時代が違うのだ。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
『ヘルプ! 4人はアイドル』(1965)圧倒的な成功と、じわじわ蓄積される疲労と消耗。
 『ビートルズがやってくる ヤア!ヤア!ヤア!(原題 ア・ハード・デイズ・ナイト それにしてもよくこんなへんてこなタイトルをつけたものです。)』(1964)が興行的に大ヒットを収めた後、再びリチャード・レスター監督を起用して制作された、2作目のビートルズ主演映画がこの『ヘルプ! 4人はアイドル』でした。 ...続きを見る
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コメント(21件)

内 容 ニックネーム/日時
ビートルズの映画は第一作とこの作品をテレビで観ていますが、どちらもすばらしい、リチャード・レスターの名前はビートルズ映画で覚えました。アイドル映画というかロックバンド映画というのか、この種のものでこれを超えるのは出ないのではないかと思っています。監督の腕と、ビートルズという稀有な存在の相乗効果でしょうか。
nessko
URL
2015/07/09 21:01
nesskoさん、こんにちは(こんばんはですが)。

中学の時に「レット・イット・ビー」を含めた三本立てがあり、観に行ったのが最初です。オシャレでしたねえ。こういうのは逆立ちしても日本では作れなかった。

>リチャード・レスター
僕もビートルズ映画のレスター・・・というイメージですが、その後「三銃士」「四銃士」というのが立て続けに公開され、レスターの洒落っ気にやはり感心しました。

>アイドル映画
その存在自体がコピーであったモンキーズについても、似たような映画を作られましたが、全然ダメでした。
仰るように、監督のセンスと、ビートルズ・メンバーの工まざるユーモア性が相まって優れた作品になったのでしょうねえ。楽曲の優秀性については言うまでもありません^^
オカピー
2015/07/09 21:39
 おひさしぶりです。

というかまだこの作品を書かれていなかったのが意外です(笑)
ぼくもオカピーさんと同じく、これと“ヤアヤアヤア!”と「レット・イット・ビー」のセットをビートルズ・シネクラブ主催の上映会で観ました。

躍動する彼らを観るだけで感激しましたよ。おっしゃるようにビデオもあまり普及していなかった時代ですから、映像作品への集中力は今のボクちゃんやお嬢ちゃんたちとは比べ物になりませんよね(笑)

TB入れときますね。ではまた!
用心棒
2015/07/11 18:53
まさにプロモーションビデオの先が下でありますね。
何度観ても楽しめます。
最近のCMもCMとは思えないのがふえてきてますね、映画にすればいいのにと思うようなのがあり、うれしいかぎりです。
ねこのひげ
2015/07/12 06:39
用心棒さん、お久しぶりです。

相変わらず毎日書いていますので、気が向いたらお寄りくださいね。
こちらもそちらに結構寄っているのですが、なかなかコメントできずに申し訳ございません。

僕の時代はそれこそビデオは放送局にしかなかった時代ですからねえ。動くビートルズは映画でしか観られなかった。
何が「プロモーション・ビデオにすぎない」だ!(と怒ったふりをするオカピー)

見た目は大分変わりましたが、精神年齢はあの頃と殆ど変わらない。精神年齢は多分高校生くらいで止まるんだなあ、と知りました(苦笑)。
オカピー
2015/07/12 17:29
ねこのひげさん、こんにちは。

>CM
車のCMにはなかなかセンスの良いものが多いですね。
僕らの子供の頃は、特にトヨタと日産がCMで馬鹿な競争ぶりを披露していましたが、もうそういう露骨なCMは日本ではほとんど観られませんね。
日本では今のところほとんどいませんが、海外ではミュージック・クリップやCM監督上がりの監督が結構いますね。
オカピー
2015/07/12 17:34
 こんばんは!
一緒に始めたころのお仲間たちもずいぶんといなくなってしまい、悲しくなりますが、茶飲み友達ならぬ映画マニア繋がりはずっと続けていきたいですね。生き残りのしぶとさを示してやりましょう(笑)

こうやって続けていれば、昔のお仲間たちも戻ってきやすくなるでしょうし、みなさんがまた書きたいと思うきっかけになるよう日々ダラダラと記事を書き続けていきます(笑)

ビートルズの面白さはモノやステレオなどテイクが各国で違うところですかね。曲によっては正規盤でも数種類のテイクがあるのでそれぞれ楽しめます。『ヘルプ!』もオデオンのシングル盤とアルバムのステレオ盤ではテイクも違いますし、聴き比べるのも一興です。

>プロモ
彼らにとってはアイドルとしての絶頂期の作品ですが、完成度はすでにかなり高いですね。彼らの作品を若い人たちが見ると既視感しかないのでしょうが、ゴダールの『勝手にしやがれ』と一緒で皆がこれを真似たために新鮮さが無いという逆切れのコメントしか出てこないのでしょうね。無知は恐いですねえ。

ではまた!
用心棒
2015/07/15 00:07
用心棒さん、こんにちは。

>お仲間たち
ブログの人気そのものが衰退しているということもあるでしょうし、個人的な事情でお止め若しくは休止中ということもあるのでしょうね。
僕も同じようなことばかり書いていますが、作品自体は別ですから、続けます。

>テイク
昔雑誌に載っていた方は、千枚以上ビートルズのレコードを持っていました。
お金があり家がしっかりしていれば僕もこれくらいやりたかったですが、そこまでの余裕はさすがになかったなあ。
昔のLP「レアリティーズ」に収められていた「アイ・アム・ザ・ウォルラス」の間奏に一呼吸入るバージョンが欲しいですね。他は殆ど「マジカル・ミステリー・ツアー」バージョンと変わらないだけに却って貴重でしてね。

>『勝手にしやがれ』
同じようなケースが『七人の侍』でもあって、本館で大論争をやったことがあります。
彼は『七人の侍』の登場人物が類型的と言うのですが、僕は「その後数多の作品が模倣したから、類型的に思われるのだ。映画はその時代の感覚で観て、評価しなければならない」と対応しましたよ。今はかなり自由に昔の映画が観られるのですから、もっと鋭意努力しなければならないですね。
オカピー
2015/07/15 21:16
 こんばんは!

>アイ・アム・ザ・ウォルラス
『レアリティーズ2』のほうですよね。ぼく持っていましたよ(笑)
ぼくは『ペニー・レーン』の別テイクが好きで、曲の最後にポールが「ぺに〜れえん〜♪」と歌った後、通常テイクはシャリシャリしながらフェイドアウトしていきますが、ここに収められているヤツは途中にソロが入るピッコロ・トランぺットが鳴り響くヤツなんですよ。

最初は知らなかったんですけど、近所の図書館にこれのLPが在庫されていて、聴きに行ったときに『レアリティーズ2』を全曲掛けてもらい、当時は1984年だったので、まだアメリカ版やその他のイギリス版以外のLPが売られていました。

各国編集盤が発売されていた最後の年だったので、『ビートルズ・グレイテスト』とともに速攻で買いに行きました。保存用にDATからCDに録音してあります。

ヤフオクにブートのCDがリーズナブルな価格で売られていますので探すのもアリでしょうね。レコードプレーヤーが残っていれば、LPを買うのも良いかもしれませんね。

ではまた!
用心棒
2015/07/17 00:17
続きです。

>類型的
 大昔に大ヒットした映画に対して、最近見始めた人がいろいろ言うのは構わないのですが、的外れなコメントを一言二言浴びせかけて逃げて行くのはやめて欲しいですね。黒澤作品はとくに炎上しがちなので嫌になりますよ。ぼくも黒澤作品関連のサイトに出入りしていましたが、常に誰かがもめている状態で、いつのまにか行かなくなりましたもの(笑)

陳腐な表現とか若い人に言われたとすれば、逆説的ですが、最大の褒め言葉なのかもしれませんね。

ではまた!
用心棒
2015/07/17 00:23
用心棒さん、こんにちは。

>『レアリティーズ2』
僕は持っていなかったのですが、近所の後輩から借りて聞きました。
「ペニー・レーン」も憶えていますよ。
保存しなかったので、40年近く聴いていませんが。

安くてそこそこの音が出るアンプを買ったので、レコードプレーヤーが聴けるようになりました。LPでも良いですが、やはり重いな。家を軽くするのが使命なんですよ、今。

>逆説的ですが、最大の褒め言葉なのかもしれませんね。
その通りですね。そう思えば、大して腹が立たない(笑)
見当違いのコメントに腹が立つというより、努力も何もしないで適当なコメントをしていることに腹が立っているわけですがね。
オカピー
2015/07/17 21:45
ラストで大乱闘
警察隊がカイリ教の信者達を柔道の技で投げ飛ばす。
この映画は東洋の影響が感じられますね。
そもそもカイリ教が東洋っぽい
そして、アメリカ盤のアルバム「HELP!」も東洋っぽいインストゥルメンタルナンバーが多い

>キートンは古くならないけれど、チャップリンは古く感じるよね

なるほど。言いえて妙と言う感じです。

>今1980年代の映画を見ると、古色蒼然の印象を受けることが多いです。

当時のファッション。そして、妙に浮かれた時代
僕はあの時代が苦手です・・・
蟷螂の斧
2016/06/26 20:35
蟷螂の斧さん、こんにちは。

カイリ教なるは、インドかその辺りを模倣した感じでしたねえ。
故意か偶然か、インドはビートルズにとって重要な場所となっていきますから、面白いです。時期的にはこの映画の後だと思いますが。

僕はアメリカ版「HELP!」は買わずに、カセットテープに収めて聴いて
いましたが、どこかに行ってしまいました。暫く聞いていません。
USボックスを買えば、聞けますがねえ。ちと予算がねえ(笑)
当時は全部ビートルズの英国版だけあれば良いと思いましたが、これはこれで貴重えしたねえ。死ぬまでに買ってやる(笑)
オカピー
2016/06/26 22:06
>死ぬまでに買ってやる(笑)

金がない僕はyoutubeです・・・

>インドはビートルズにとって重要な場所となっていきます

「セクシー・セディ」事件もありました

一昨日はビートルズ来日50周年記念日。
昨日は初好演記念日。
今日は7月1日版。そろそろ公式映像を公開して欲しいです。
蟷螂の斧
2016/07/01 21:52
蟷螂の斧さん、こんにちは。

ボンビーはつらいよですね。

>「セクシー・セディ」
あの曲の歌詞の本当の意味を知ると、ジョンの猛烈な怒りぶりが解りますよね。
この曲がリクエストでラジオで流れるのを聞いて驚きました。個人的には好きな曲ですが、シングル盤が出なかった「ホワイト・アルバム」の曲は、有名な数曲を除くと、余りラジオでかかりませんからね。

>公式映像
そうですね。
日本公演は、マイクが動いて歌いにくそうで、残念な思いを抱きました。あのうるさい中で演奏しながら歌うのは至難なだけに。
オカピー
2016/07/02 21:13
>ビートルズ来日公演

知人女性Uさん(1950年生まれ)が、武道館で見たそうです
羨ましいです

>マイクが動いて歌いにくそうで

まあ、そのおかげで7月1日版も存在した事に感謝すれば良いのでしょうか・・・?
EMIさん。お願いしますよ

>シングル盤が出なかった「ホワイト・アルバム」の曲は、有名な数曲を除くと、余りラジオでかかりませんからね。

それでも、かかってしまうのがビートルズの凄さです

蟷螂の斧
2016/07/03 16:56
蟷螂の斧さん、こんにちは。

今となっては歴史的事件に立ち会ったという感じなので、大変なことですよね。

僕の兄は、「愛こそはすべて」の生放送の時中学3年生だったはずですが、歌謡曲にしか興味がなかった人なので知らないらしい。
しかし、兄の友達がやって来た時に「見た」と話していたので、「兄貴と違う」と思うと共に羨ましかったですね。

>EMIさん
お願いしますよm(__)m

>ホワイト・アルバム
ファン以外に知られた曲は少ないですけれど、名曲がいっぱいですね。
「ハッピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン」なんて、歌詞が桑田佳祐みたいに助平ですが、好きだなあ。
オカピー
2016/07/03 21:49
>兄は、「愛こそはすべて」の生放送の時中学3年生だった

見たお友達が羨ましいです

>「ハッピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン」

ビートルズの最高傑作だと言う人もいます

>ホワイト・アルバム

アナログ盤時代。僕はC面が一番好きでした。シンプルなロックンロールが多いし。
当時のビートルズがテレビのライヴで演奏して欲しかったです
蟷螂の斧
2016/07/04 07:23
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>ビートルズの最高傑作
ある意味そう思います。
大学に進学する前後、この曲を一番口ずさんでいました。で、大学のクラスメートが口ずさんでいるのを聞いて嬉しく思ったのを思い出します。

>C面が一番好き
右に同じで、多分この面を一番聴いたでしょう。
へヴィ・メタルの元祖とも一部で言われている「ヘルター・スケルター」の新鮮さは今でも変わらず、同じ人が「マザー・ネイチャーズ・サン」を歌っている妙。
賑やかなこの曲に静謐な「ロング・ロング・ロング」が続く妙。地元の後輩がここがスリリングだと言っているのに僕も頷きました。
オカピー
2016/07/04 10:32
>賑やかなこの曲に静謐な「ロング・ロング・ロング」が続く妙。

「♪いつびな ろおん・・・ろおん・・・ろおん・・・ろおん・・・たあい・・・」
癒されます。そして後輩さんのコメントは鋭いです
 
>大学のクラスメートが口ずさんでいるのを聞いて嬉しく思った

何と言う良いクラスメート

>バッキンガム宮殿に匿われてそこで安いティーバッグが出される皮肉

あれこそ、英国流ジョーク?
間諜X72
2016/07/07 21:24
間諜X72さん、こんにちは。

>後輩さんのコメント
鋭いでしょ。
今、東京から戻って、郵便を配達しています。

>クラスメート
同志のようでした。
彼は「戦艦ポチョムキン」のモンタージュが凄いとも言っていたと記憶します。

>英国流ジョーク
典型でしょうね。
日本人はお堅いのでこういうのは諧謔が出て来ません。
オカピー
2016/07/08 22:07

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