プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「白と黒のナイフ」

<<   作成日時 : 2015/07/04 09:43   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1985年アメリカ映画 監督リチャード・マーカンド
ネタバレあり

映画がアトラクションになりきる前まだまだ多分に映画らしかった時代の法廷ミステリーである。およそ30年ぶりの再鑑賞。

出版王の孫娘が殺される。孫娘と言っても中年で、遺産相続を受けることになるその夫ジェフ・ブリッジスが逮捕され、新進の女性弁護士グレン・クロースを雇うことになる。
 グレンは今回事件を担当する検事ピーター・コヨーテの下で働いていたことがあり、彼が証拠の隠蔽工作をするのを知っているので、検事時代から知り合いの頼りになる探偵ロバート・ロジアを雇って証拠集めを入念に行う。
 かくしてコヨーテとの間で虚々実々の駆け引きを繰り広げる裁判が始まるが、その間にブリッジスに接近しすぎた離婚女性のグレンは彼と恋に落ちてしまう。

裁判模様に関しては、ビリー・ワイルダーの傑作「情婦」(1957年)とまでは行かないにしても、相当楽しめる。中でも夫婦の愛情関係を巡る証言者が次々登場する場面が白眉であるが、反面、舞台が法廷を離れると弱体という印象が強く、特にグレンがブリッジスと簡単に恋に落ちてしまうのが職業倫理に照らして腑に落ちない。

最後はどんでん返しの一幕であるが、そのどんでん返し自体にどんでん返しがあるかと思って観ていたら、どうもそのままの解釈で良いらしい。「らしい」というのは、真犯人がここで解る仕掛けになっているのに、倒れた真犯人の顔が判然としないのである。伏線となる特徴のあるタイプライター発見を受けての展開だから、犯人は大方の思っている通りで正しいと思われるものの、それでは余りに芸がないと思い当方は別人を考えていたため別人にも見えたのだ。やはり別人ではなかったですか。いずれにしても、配役か見せ方を工夫しないと瞬間的に解らず、少々まずい。

何だか文句が多くなったが、1990年代以降のはったり、まやかし、インチキの目立つサスペンス映画に比べてぐっとオーソドックスで、古い人間にはこちらのほうが安心して観られて楽しめる。若い人にはかなり不満が残るだろう。世代で映画に対する価値観が大分違って来ているのだ。

タイプライター印字の特徴が証拠となるのは大昔からよくある手段。しかし、「ありふれたタイプライター」という設定だから、これだけでは犯人と断定できないのですがね。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
タイプされた文字の一部が欠けている所から使用されたタイプライターがわかるという探偵物はよくありますが、それが犯人に直結はしないですね。
個人所有であっても、他人が使っている可能性がありますからね。
刑事の家に犯人が忍び込んで、刑事のパソコンからメールを送って被害者を誘き出したとう小説もありましたよ。
ねこのひげ
2015/07/05 07:51
ねこのひげさん、こんにちは。

本作の場合は、tの位置が特徴的なのですが、タイプライターの持ち主は出版社関係ですから別に不思議ではなく、だから別の犯人も考えたのですが。

>他人が使っている
今週アップ予定のデ・パルマ監督「パッション」という作品では、殺された女性が加害者とされる女性のパソコンから自分宛てに脅迫文を送ってから、殺されてしまうというプロットがありました。
オカピー
2015/07/05 18:54

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「白と黒のナイフ」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる