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zoom RSS 映画評「友よ、さらばと言おう」

<<   作成日時 : 2015/07/29 09:46   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2014年フランス映画 監督フレッド・カヴァイエ
ネタバレあり

このフランス製刑事映画を観ると、いかに香港映画がフレンチ・ノワールを勉強してきたかという認識を新たにする。今は香港製にこういうムードの作品が目立つので逆輸入のようにさえ感じるが、リュック・ベッソンを別にすればフレンチ・ノワールは概ねこんな感じである。
 邦題はアラン・ドロンとチャールズ・ブロンスンの友情で人気沸騰した「さらば友よ」(1968年)を意識しているが、その2年くらい後に森田健作が歌った「さらば涙と言おう」と一緒くたにした感じで苦笑い。

ヴァンサン・ランドンは飲酒交通事故で三人を事故死させたために刑事を首になり、出所した今はしがない警備員をしている。そんなある日、別れた妻に引き取られた息子マックス・ベネット・ド・マルグレーヴが東欧系マフィア(*下記参照)の殺人を目撃して、その一味から狙われた為、かつての相棒ジル・ルルーシュの助けを求めるが、寧ろ彼の方が相棒の捜査に協力する形で進む。
 やがて親戚の居る地方へ移動する為に乗り込んだフランス新幹線TGV車内に一味が乗り込んでいたため大騒ぎ、それを知ったルルーシュが車で懸命に追いかける。

コンパクトなのは良いが、余り感心しない。そもそもマフィアが犯人の顔をまともに見ていない少年をあそこまで執拗に追い続ける必然性に疑問が湧く。その場で殺そうとするのは解るが、作戦を練って警察署の駐車場で待ち伏せしてまで殺そうとするのは解らない。追いかけることで却って自ら正体を警察に特定させるようなものである。

お話の為のお話に終始すると言わざるを得ないが、結果的には前半少年が必死に狙撃犯から逃げ、それをさらにランドンが追うというシークェンスがサスペンスフルで本編中一番面白い。
 それに比べるとTGVでのドンパチは少し大味で、流れ弾などお構いなしに打ちまくる後味の悪さが印象に残る。ドロンが主演した「帰らざる夜明け」(1971年)で逃走犯を匿っているとは言え平凡な主婦シモーヌ・シニョレがいるにも拘わらず警察が総攻撃を掛けるのに首をひねって以来40年間フランス映画における官憲の悪い印象は変わらない。ドンパチの本場アメリカ映画でさえ官憲側は市民の生命を多少考慮するのだが。
 コンパクトに作ったつけで二人の友情が上手く醸成されていないのも弱い。

臨終のルルーシュがランドンに交通事故の真相を告げて事切れる一幕は「さらば友よ」より「冒険者たち」(1967年)か「ボルサリーノ」(1969年)に近い。ルルーシュは彼に事故の責任を転嫁したというのが真相なのだが、友情というより贖罪という感じ。

共同で脚本も書いている監督フレッド・カヴァイエがどの程度意識しているか不明ながら、内容故に日本の映画ファンが意識せざるを得ないドロン主演映画の友情描写には大分及ばない。それらと比較するのはおかしいよという考えもあるだろうが、フランスにおいて犯罪・刑事映画での友情を描くとあれば、ドロン映画がかなりリファレンスとされるはずだから、比較するのは、邦題を付けた日本人のせいとも言い切れまい。

(*)登場人物の名前から推せばロシアン・マフィアっぽいが、会話は余りロシア語らしく聞こえない。ロシア人という設定なら下手なロシア語と言うべし。全く聞き取れなかった(僕のロシア語力も相当怪しくなっているけれど)。

犯罪映画に情を交えるという点において、フランス人はアメリカ人より日本人に近い。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
『友よ、さらばと言おう』
(原題:Mea Culpa) ...続きを見る
ラムの大通り
2015/07/29 15:08
友よ、さらばと言おう ★★★★
ハリウッドリメイクもされた『すべて彼女のために』や、『この愛のために撃て』で高い評価を得たフレッド・カヴァイエ監督によるサスペンスアクション。愛する者のため全力で敵に挑むことをテーマに、かつて親友だった2人の刑事の絆を描く。過去の闇と向き合い家族を守る... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2015/07/29 19:48

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
フランスでジャポニスムが流行るのは似たような性格だからでしょうね。
漫画やアニメのみならず、弁当や盆栽、錦鯉まで流行っているそうで・・・
ねこのひげ
2015/08/02 07:20
ねこのひげさん、こんにちは。

とにかく、アメリカ人は相対的にドライですね。
フランス人は英国人とは違う意味で頑固ですが、情はわきやすい。
オカピー
2015/08/02 22:48

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