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zoom RSS 映画評「コーヒーをめぐる冒険」

<<   作成日時 : 2015/07/22 09:38   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2012年ドイツ映画 監督ヤン・オーレ・ゲルスター
ネタバレあり

現在のベルリン、仕送りをしてくれる父親に黙って二年も前に大学を辞めてモラトリアムな生活を送っている青年トム・シリングが、「勝手にしやがれ」のジーン・シーバーグみたいなスーパーショートな髪形の美人カトリナ・シュトラーがコーヒーを勧めるのも断る。
 これが不運の始まりで、その足で駆けつけた運転適性検査では見事に「資格なし」との判定、アパートに帰れば上の住人から愚痴をこぼされる。父親に退学の事実がばれて仕送りも停止決定。高級志向すぎて干されているらしい俳優の友人マーク・ホーゼマンとつるむうち、昔肥満だった同級生フリーデリッケ・ケンプターが出演する前衛演劇を観る羽目になり、その彼女から結局ヒステリー的に罵倒され、飛び込んだバーで或る老人に戦前の回想話を聞かされる。
 この老人が直後に倒れて運ばれた病院で夜を明かし、夜明けの喫茶店で漸くコーヒーにありつくことが出来る。

コーヒーが飲めないことが不運の象徴のように扱われる作劇で、値段が高くて折り合いが付かなかったり、機械が修理中だったり、営業時間が終わっていたり、自動販売機まで故障中だったり。
 これらはその前後に彼が経験する不運を代弁しているように見えるから、夜明けにやっと一杯にありついた時処世の難しさに辟易しかけた心優しきぐうたら青年の彼の心に希望が芽生える、といった解釈で大体良いのではないかと思うが、如何なもんでしょ? 

監督はドイツの新人ヤン・オーレ・ゲルスター、長編第一作とのこと。全体的印象としてはジム・ジャームッシュの「ストレンジャー・ザン・パラダイス」(1984年)を思い出させるが、映像感覚はヌーヴェルヴァーグに近い。その為に物語説明の最初にわざわざ「勝手にしやがれ」(1959年)を引用したのだが、監督をしたジャン=リュック・ゴダールよりは脚本を書いたフランソワ・トリュフォー(勿論ドワネルものだね)と相似している気がする。

現代ドイツ人のごく普遍的な人生をスケッチ的に描いた作品は殆ど観たことがなかったが、フランス人やイタリア人よりは日本人に近い印象を受け、親しみやすい。

ナチスがらみの挿話が二つ関わって来るのはドイツ人の深層心理に根付いた罪悪感を顕れだろうか。

因みに、原題は Oh Boy(おやまあ)。この感嘆句を上手く用いたビートルズの名曲"A Day in the Life"がモチーフになったとの由。だから一日のお話なのだ。好きな曲なので嬉しいね。

言わば「ヌーヴェルヴァーグをめぐる冒険」じゃね。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
生真面目で働き者というところが日本人と似ておりますね。
エスプレッソを飲もうとすると、邪魔が入り、映画の終わりでやっと飲めてENDという映画もありました。
ねこのひげ
2015/07/26 07:52
ねこのひげさん、こんにちは。

>エスプレッソ
そんな映画、あったような気がするけど、思い出せない。
年を取るとダメですね。
オカピー
2015/07/26 19:07

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