プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「舞妓はレディ」

<<   作成日時 : 2015/07/19 09:32   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 6 / コメント 2

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2014年日本映画 監督・周防正行
ネタバレあり

社会派エンターテインメント映画が続いていた周防正行監督としては「Shall We ダンス?」までのタイプに回帰したような作品である。

両親の祖父母に育てられた関係で鹿児島弁と津軽弁をいっしょくたにして喋る少女・上白石萌音が舞妓になろうと、京都は下八軒のお茶屋・万寿楽を訪れ、偶然居合わせた言語学者・長谷川博己に興味を持たれたことから、女将・富士純子や姐さんの田畑智子と草刈民代に付いてしっかり修業することになる。長谷川は呉服屋社長の岸部一徳と、彼女が一人前の舞妓になれるかどうか賭けをする。

うっかりしていた僕はここに至って漸く本作がミュージカル映画「マイ・フェア・レディ」(1964年)の舞妓版であることに気付いた。「舞妓はレディ」というタイトルで既にそれを表明しているのに僕が迂闊であった。
 そうなれば当然本作にはミュージカル的仕掛けが用意されることになる。ああそれなのにそれなのに(笑)、酷評派は「ミュージカルにしたのが失敗」などと監督の狙いや目的にも気づかずに的外れなことを抜かしている。全く洒落の解らない無粋な連中である。ミュージカル嫌いの連中からも当然良い評価は得られない。何でも楽しめるように生まれた僕は何と幸福者であることか! 
 実際には舞妓のお話を考えている時にダジャレに行き着いてこのストーリーを案出したのか、それともダジャレが先にあって舞妓の映画になったのか不明なのであるが。

いずれにしても、花街というカラフルな世界がテーマであるから、カラーと楽しさが似合うミュージカルに仕立てたことに全く問題はない。

本歌取りという意味では、溝口健二の「祇園囃子」(1953年)からも少し拝借しているような気がする。「祇園囃子」は売れっ子芸者の小暮実千代が元仲間の娘・若尾文子を舞妓(そして芸者)に育てるというお話であった。本作のイライザ(「マイ・フェア・レディ」のヒロイン)ばりのヒロインは草刈民代にとって姐さんに当たる芸者の娘と最終的に判明する(本当は最初から知っていたらしい)わけで、この辺りはそのものである。本作と「祇園囃子」とを合わせて観れば舞妓・芸者のことが少しは解る・・・という職業紹介のお楽しみの一編でもある。

パロディーという意味では「マイ・フェア・レディ」の「スペインの雨」に相当する「京都の雨」に爆笑。他にも自作「Shall We ダンス?」の楽屋落ちまであって楽しい。「だいじょうぶ3組」で僕を泣かせた(笑)上白石萌音は誠に可愛らしく好演適役。

九鬼周造「『いき』の構造」でも読んでおくれやす。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(6件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
舞妓はレディ ★★★
『Shall we ダンス?』など数々の名作を手掛けてきた周防正行監督が、舞妓をテーマに撮り上げたドラマ。周防監督が20年前から考え続けてきた企画で、とある少女が舞妓を夢見て京都の花街に飛び込み、立派な舞妓を目指し成長していく姿を歌や踊りを交えて描く。主演は、半年... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2015/07/19 11:52
14-341「舞妓はレディ」(日本)
京都に降る雨は、盆地やさかいやろか  京都の歴史ある花街・下八軒(しもはちけん)。そこでは舞妓不足が深刻な問題となっていた。今いる舞妓は10年目になる百春ひとりだけ。  そんなある日、田舎から出てきた少女・春子が老舗のお茶屋・万寿楽に舞妓志願にやって来る。  女将の千春は、鹿児島弁と津軽弁丸出しの春子を追い返そうとするが、偶然居合わせた言語学者の京野が春子に興味を持つ。そして、“あの訛りでは舞妓は無理”という老舗呉服屋の社長・北野と春子が舞妓になれるか賭けをすることに。そのおかげで、... ...続きを見る
CINECHANが観た映画について
2015/07/19 16:45
舞妓はレディ
公式サイト。周防正行監督。上白石萌音、長谷川博己、富司純子、田畑智子、草刈民代、渡辺えり、竹中直人、高嶋政宏、濱田岳、中村久美、岩本多代、高橋長英、草村礼子、岸部一徳 ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2015/07/19 22:46
『舞妓はレディ』
□作品オフィシャルサイト 「舞妓はレディ」 □監督・脚本 周防正行□キャスト 上白石萌音、長谷川博己、富司純子、田畑智子、草刈民代、渡辺えり、        竹中直人、高嶋政宏、濱田 岳、岸部一徳、小日向文世、妻夫木 聡■鑑賞日 9月14日(日)■劇場 T... ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2015/07/20 10:19
舞妓はレディ
かなり好みは分かれるかもしれませんが、(実際、「Shall we ダンス?」の熱烈ファンなダンナさんが、ミュージカル仕立てになって脱落)斬新で楽しい作品でした。願わくば、出演者全員に「見せ場を!」との、旺盛なエンタメ精神と、徹底した作り込み、と斬新さに、三谷幸喜の「ザ・マジックアワー」を連想。ヒロインの、上白石萌音。ちょっと素朴な存在感で、だけど、歌って踊れるところと成長ぶりが素敵でした。異色の存在感だけに、その後に注目です。また、女将の若い頃として、「カノジョは嘘を愛しすぎてる」で、発掘され、... ...続きを見る
のほほん便り
2015/07/22 13:13
『舞妓はレディ』('14初鑑賞69・劇場)
☆☆☆−− (10段階評価で 3) 9月22日(月) OSシネマズ神戸ハーバーランド スクリーン2にて 15:20の回を鑑賞。 ...続きを見る
みはいる・BのB
2015/07/26 13:00

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
『舞妓はレディ』→『マイ・フェア・レディー』・・・『江戸川乱歩』→『エドガー・アラン・ポー』でありますね(笑)
楽しい作品でありました。
周防さんはこういう方がいいですね。
江戸川乱歩は没後50年だそうで、だれか映画化しないかな?
今の時代では無理か・・・・
ねこのひげ
2015/07/20 06:18
ねこのひげさん、こんにちは。

周防監督は才人ですね、若い頃ロマン・ポルノをやらされていた人は実力者が多い。

>江戸川乱歩
生誕100年の時には随分作られましたが、今はそういう時代ではないのかな。
乱歩と言えば、TPP次第では日本人作者の著作権にも影響があり、来年フリーになる筈だった乱歩や、谷崎潤一郎ともども、20年以上先になってしまう可能性があります。
TPPがこちらに関連しないように僕は祈っているのですが。
オカピー
2015/07/20 21:18

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「舞妓はレディ」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる