プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「テレーズの罪」

<<   作成日時 : 2015/07/01 09:01   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 4

☆☆★(5点/10点満点中)
2012年フランス映画 監督クロード・ミレール
ネタバレあり

クロード・ミレールが監督、オドレー・トトゥが主演ながら正式には日本劇場未公開扱いになる。が、この作品に関しては未公開でも十分僕の鑑賞対象である。というのも20世紀フランス純文学の問題作、フランソワ・モーリヤック「テレーズ・デスケイルー」の映画化だからだ。この小説は40年くらい前高校生の時に読んでいたが、内容はすっかり忘却の彼方であった。ちゃんと読んでいなかったことが今になって露呈する。

1920年代後半、大地主の娘テレーズ(オドレー)は政略結婚的にこれまた大地主の息子ベルナール・デスケイルー(ジル・ルルーシュ)と結婚する。子供を儲けた後、何の不満もない筈なのに、彼が病気治療の為に使っている砒素を多く飲ませて殺そうとするが医師に気付かれて果たせない。が、家名を重んずる夫は偽証して彼女を免訴に導くと、暫く仮面夫婦を演じた後使用人に見張らせて彼女を軟禁、やがてパリに解き放つ。

これより半世紀前エミール・ゾラ「テレーズ・ラカン」のテレーズは愛人が出来た為邪魔になった夫を殺すが、こちらのテレーズの夫殺しにははっきりとした理由がない。自分ですらよく解らず、殺そうという強い目的意識も見られない。恐らく漠然とした不自由から解き放たれたいといったところだろうが、そこに動機のはっきりした「テレーズ・ラカン」に比べて現代性、現代的恐怖がある。殺しが未遂に終わり、大事件化しないのも現代的だ。敢えて“恐怖”という言葉を使ったものの、モーリヤックの頭にあったのは恐怖ではなく【神を持たない人間の悲劇】らしいが、残念ながらこの映画版を観ただけでは物語の表層しか解らず、余りピンと来ない。

ミレールはこの後亡くなり、遺作となった。

僕の少年時代は人気作で二種類の文庫版があったはずだが、現在では手に入れにくいらしい。時は流れるね。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
SF小説の方は、古典が新作を押しのけて、書店の本棚に並んでますけどね。
クラークなどの活躍した時代の作品は壮大ですからね。
チャンバラSFよりは、読んで気持ちがいいです。
ねこのひげ
2015/07/05 07:42
ねこのひげさん、こんにちは。

図書館に行っても、SFとミステリーはクラシックを含めて大人気で、純文学の古典の多くは書庫であります。だから、僕は書庫から借りることが多いですね。
オカピー
2015/07/05 18:42
「あの日、欲望の〜」記事に
お立寄りありがとうございました。
別口でこちらの記事におじゃまを。
原作本、kindle版(400円)で出てます。
私は、今、読んいる最中でございます。
読後、気が向きましたら記事に。
正剛さんの千夜千冊もご参考までに。↙
http://1000ya.isis.ne.jp/0373.html
で、映画化された本作ですが、
どうも、物足りなく、隔靴掻痒気味。(笑)
vivajiji
2015/09/11 10:36
vivajijiさん、コメント有難うございます。

>正剛さん
うーむ、立派な文章ですなあ(笑)
満更当方の書いたことも間違いではないと解り、満足しました^^

>隔靴掻痒気味
この作品を評価するに一番適切な言葉でしょう。
うん、物足りなかった。

>kindle版
多分、これは新潮文庫版で我が家にあります。高校生の時に買ったはず。
うっかりして家ではなくアマゾンを探しましたが・・・(笑)
オカピー
2015/09/11 21:12

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「テレーズの罪」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる